楽天市場は大手ECモールとして広く名前が知れ渡っており、人々が通販利用に使う国内最大級のネットショップです。
楽天では販売側として出店し、商品を売ることも可能ですが、それには手続きや準備が必要です。しかし、初めて出店する個人(個人事業主)は、「出店利用したいけどやり方がよくわからない」「審査に通るか不安で楽天にするか迷っている」というケースも珍しくありません。
そこで、個人が出店する場合に必要な審査前の準備や用意すべきもの、料金プランの選び方、審査通過前後の手順などを紹介します。楽天でショップ運営を始めるのに必要な情報を本記事ではまとめています。
目次
楽天には個人でも出店できる?
楽天は法人に限定されない個人(個人事業主)の出品が認められています。しかし、Amazonやヤフー(ヤフーショッピング、PayPayモール、ヤフオク)、メルカリなどに比べて、審査が厳しく設定されていることが知られています。そのため、準備なしに始めようとしても審査で落とされるため、きちんとした法人企業が出店するのに比べて難易度が高いといえるでしょう。
また、楽天は届出を出さず一切事業をしていない個人が、副業やお小遣い稼ぎなどで出店することができないような仕組みで運営していることです。他のショッピングモールならスマホのSMS認証や税の申告に必要な情報入力、身分証明だけで済むところが、審査に法人登記や個人事業主の開業届などが求められます。
要するに、楽天にとって出店者は、プロフェッショナルに限定した販売・運営者のことを指します。たとえ個人でも、個人事業主としてなら出店できるため、審査基準をクリアできる個人は問題なく出店できるということです。
そのうえで、個人で実際の店舗を所有しないケースであっても、最低限、オフィスや自宅などの商品事務管理をパソコンで作業できる環境があれば十分に出店可能です。
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楽天に個人が出店するメリット・デメリット
楽天に個人が出店する場合のメリットやデメリットが存在します。そこで、まずはメリット・デメリットを把握することから始めましょう。
メリット
個人が楽天に出店するメリットは、大手ショッピングモールならではの集客力による恩恵が受けられることです。特にセール期間中の売上は数倍と大きく高まる傾向にあり、広告などを自ら出さなくても楽天がセールを周知するため、短期間で集客効果を得られます。
また、他にもメリットとして、楽天は出品初心者にも優しくサポートを受けられることです。過去の出店経験を活用した複数の事例が示されており、出品までの仕方もサポートが丁寧な説明を受けて進められます。
さらに、大手にしかない信頼感があることは、出店時の安心して個人情報や顧客と金銭のやり取り(決済)ができることにも繋がります。個人にとっては、独自のECサイトを立ち上げてもブランドとして大きく成長するまでには時間がかかりすぎます。しかし、楽天への出店は、それ自体が知名度のあるショップ運営です。
言い換えれば、審査の厳しいショップに出店することにより、周囲に対して信頼感を示せるのです。よくわからないECサイトは不信感がありますが、楽天の出店にはユーザーの不安がほとんどないのは大きなメリットでしょう。
デメリット
メリットとは反対に、個人が楽天に出店するいくつかのデメリットがあります。まず、費用面について、ランニングコストとなる月額の利用料や出店にかかる費用が他と比べても高めに設定されていることです。楽天で十分に利益を出せる法人企業に比べて、個人で運営する場合にはデメリットとなります。
次に、最近になって初めて新規出店した場合、競合との争いが激しいことです。成功のノウハウや経験は、長く上位を維持している企業が出店する中で経験を蓄積します。その中でも飛び抜けた上位の競合他社が、人気をすでに勝ち取っています。
同じモール内で競争が発生し、検索窓や口コミでの勝負となるため、ある程度の集客テクニックや情報の収集も競合以上に必要とします。人気店がある同じ商品やジャンルで個人出店が勝負するには価格勝負しかなくなり、利益的にも厳しいでしょう。このような後手にまわることのデメリットもあるのです。
最後に、いくつかの取り扱い商材に制限や禁止があることなどです。広くさまざまな商品を販売したい場合に、「この商品は出店ができない」「事前に審査が必要」など、出品時の手間や自由度の制限を受けることもデメリットです。メインとなる商品や一部でも取扱商品に禁止のものが必要な場合に、出店自体ができず大きなデメリットとなることもあります。必ず、出店の前に取扱商材のチェックが不可欠です。
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個人事業主が楽天に出店するためにすること
個人事業主が楽天に出店する前に準備しておきたいことについて説明しましょう。
開業する
まず、個人事業主が楽天に出店するためには、あらかじめ「個人事業開業届」を地域の税務署に出しておく必要があります。楽天ではこれを出していない個人(事業主でない人)は正式な申し込みができない仕組みです。
また、法人でも申し込みはできます。法人の場合、銀行融資・借り入れや税金対策などの目的で個人事業主が法務局に申請して法人登記するケースもあります。もちろん、個人事業主の段階で楽天市場に申し込みはできるので問題はありません。
しかし、法人登記をしていれば公に法人であることを示せるため、楽天市場の場合は出店審査に有利でしょう。特に、主業として販売業務をしているような場合は、プロフェッショナルを求める楽天の出店者像のイメージに合致します。
実績をつくる
楽天は出店審査の厳しさから、審査を通過するためにできる方法として「実績をつくること」が挙げられます。楽天に出店することだけを目的に開業して、一切の販売や商品在庫の実績がない人は、副業感覚の申込者として審査が不利に働きます。
そこで、審査に通過するためにできることがいくつかあります。
まずは最低限の審査資格である「個人事業開業届」を提出して、個人事業主として事業を開始できる状態にします。届けがないと個人は実績に関係なく審査に落とされます。
次に、商品を管理するための倉庫を確保します。商品の流通事業に実体を持たせるためです。一般的に個人は、固定費の問題がつきまとうため、アウトソーシングで倉庫管理の委託業者に依頼します。器を用意できたら、実際に商品を卸します。卸売業者から仕入れる場合や転売用購入する場合など、必要に応じてさまざまな入手方法から選ぶことです。
ただし、ドロップシッピングのように商品を仕入れずとも販売できる方法もあります。そこで、楽天審査の場合は在庫の実績をつくるために、実態のある在庫あり仕入れの方法で取引をしましょう。
また、必要に応じて他のECサイトを構築・開設し、「商品を販売している」という実態を作り出すのもありです。もちろん、あくまでも「商品在庫を保有している実態のある販売者」という立場を明確にするためです。販売実態の方は、難しければ手を付けなくても良いでしょう。以上の方法で審査を通しやすくします。
必要な書類を準備する
個人事業主として立ち上げ、商品在庫を用意したら、実際に申し込みに入る前に、書類を準備します。用意に時間のかかる書類もあるため、時間に余裕を持って準備し、リスト化してチェックを入れましょう。
特に、以下は確実に用意できるように入手します。
- ウェブフォームから可能な「出店申込書」
- 審査に必要な書類
- 商品の事業許可・資格・認可
- 販売予定商品の画像(撮影した商材)
- 印鑑証明書
- 住民票
- 実店舗ある場合は撮影した画像(お店の写真)
個人が楽天に出店する際の料金プラン
楽天では、個人や法人が別のプランにはなっておらず、サービスの制限などですべての料金が決まります。つまり、料金自体は事業区分では変わらず、同じ料金です。そこで、主な3つプランや過去に廃止されたプランなどについても解説します。
ライトプラン
「ライトプラン」は、2021年1月まで提供のあった、すでに廃止済みの出店プランです。4半期(3か月)の期間で契約できるシステムで月々の出店費用が39,800円(税抜)です。システム利用料の項目では、費用が5%(3.5~5.5%)前後、5,000商品までの上限で画像容量が500MBというプランでした。すでに廃止済みで利用することはできませんが、これに近いプランが、次に説明する「がんばれ!プラン」です。
がんばれ!プラン
ECショップ運営の経験が少なく、楽天出店を初めて利用する個人におすすめな月額2万円以下の低額利用できるプランが「がんばれ!プラン」です。
月額出店料が19,500円(税抜)のシステム利用料3.5~7.0%と幅が広く、登録可能商品数(5,000商品)や画像容量(500MB)がライトプランと同じです。しかし、システム利用料は比べるとわかるように、7.0%で上限が高く、以前は使えたライトプランの上限5.5%より負担が大きいケースもあるでしょう。
以上、年間一括支払いのできるプランにおいて一番下の条件に制限されるかわりに、負担する月額料金が最も低いのが特徴です。もちろん、年間一括の料金が234,000円(税抜)で初期登録費用が6万円ですべてのプラン(3つ同じ)で一定のため、294,000円(税抜)が年間一括払いにした場合の楽天市場における初回費用です。
スタンダードプラン
毎月の費用負担を減らしたい個人におすすめなのが「スタンダードプラン」です。大手法人の取扱規模ではなくても、それなりの商品数を捌いて取引をしたいケースに最適です。
初心者向けの「がんばれ!プラン」では商品数が5,000商品までしかなく、規模が大きいと足りないことから、4倍近い商品登録が可能なプランとして「スタンダードプラン」が選べます。
プランの詳細としては、月額5万円(税抜)の出店料、システム利用料が2.0~4.5%の範囲、2万商品まで可能で5GBの容量があり、全体的に「がんばれ!プラン」の制限を開放して条件を引き上げています。
特に月々かかる費用の中でもシステム利用料の安さが特徴です。「がんばれ!プラン」では100万円までの売上に6.0~6.5%のシステム料がかかっていたのに対し、「スタンダードプラン」は4.0%~4.5%のシステム料となっており、2%近く毎月の負担を抑えられます。
ちなみに、楽天市場ではパソコン経由とモバイル経由ではシステム料が異なり、モバイル経由のほうが安い仕組みです。さらに、年間一括とは別に半年に1回、分割2回支払いの形で払えるため、初回の費用負担を減らせます。
メガショッププラン
個人による出店の中でも、かなり大規模に商品を取り扱っており、無制限に利用したい事業主におすすめなのが「メガショッププラン」です。特に、かなり広いジャンル・種類の商品を数万点登録して販売する場合にも向いています。
出店料金は月額10万円(税抜)と「スタンダードプラン」で設定されている金額の2倍です。システム利用料では同じ2.0~4.5%です。パソコン経由とモバイル経由のパーセンテージも基本的に同じです。逆に、最大の違いとしては、無制限扱いの「登録可能商品数」と「画像容量」です。どちらも無制限に設定されています。
ちなみに、「メガショッププラン」はたくさんの商品を登録して、多くの売上をあげられる個人を対象としています。そのため、注意点としては、商品2万点以上など、制限を超えて使う個人でなければ、倍にした費用が無駄になってしまうことです。
無制限部分以外は同じで料金が安い「スタンダードプラン」でも対応可能なら、「メガショッププラン」は不要となるためです。最初に大量の商品登録がない場合は、個人がいきなりこのプランで契約することはまずありません。様子を見て不足する場合のみ切り替えるとよいでしょう。
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楽天に個人が出店する流れ
個人が楽天に出店するまでの流れについて一通り解説します。ここで、流れをしっかり押さえておきましょう。
流れ①Webから出店申し込みをする
楽天市場のホームページからWebフォームの出店申し込みをします。具体的には、「楽天市場への出店・開業案内」のトップページを開いて、「出店申込」のボタンから入力フォームを開きます。
フォームの入力項目は、以下のような内容です。
まずは事業形態の区分に「法人」・「個人事業主」を選択する部分があります。
続いて、
- 「会社名」
- 「本社所在地」
- 「代表電話番号やFAX番号」
- 「代表者名」
- 「店舗運営責任者情報」
- 「郵送物等の送付先住所」
- 「連絡先電話番号」
- 「連絡先メールアドレス」
などを入力し、「取扱商材ジャンル」についてもカテゴリを選択します。最終的に、必要な情報(必須の項目)をすべて入力します。
流れ②RMSアカウントを開設
楽天の出店を使えるようになる目安となるRMSアカウントがシステム上に開設されます。RMSとは、「店舗運営システム」を意味するRakuten Merchant Serverの頭文字を取った略語で、楽天独自の用語です。
RMSアカウントの開設は、およそ2~4週間程度の期間が目安です。開設が完了したら、出店用アカウントにログインします。
流れ③開店準備をして開店前審査を受ける
RMSアカウントの開設とログインが完了したら、次に開店準備を実施します。そのためには、ECサイト開設サービスではよくある決済方法や配送の仕方などを設定したうえで、開店前審査を受けます。
期間は準備まで含めて2週間~1ヶ月ほどです。場合によっては2~3ヶ月かかることもあるでしょう。なぜなら、審査を受けるまでの準備条件が設定されており、店舗運営ルール検定試験で80%以上の得点による合格が必要となる条件です。
- 決済(自動振替設定口座や振込口座を登録)
- 店舗運営ルール検定試験合格
- 配送の設定
- 商品の登録
- カテゴリページの制作
- 看板画像の制作
以上をすべて満たして初めて開店前審査を受けられるのです。
流れ④審査完了したら運営スタート
後は、審査に通過すれば自分の楽天ショップを開店することが可能です。困ったときや活用方法を模索したい際は、楽天側のECコンサルタントによるサポートも受けることができます。
ライフエスコートの「楽天コンサル&運用サービス」とは
株式会社ライフエスコートでは、「楽天コンサル&運用サービス」を展開しています。楽天運用担当者が抱える課題、問題を洗い出し、具体的に解決していきます。
- 店舗のアクセス数が伸びず困っている
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22年間コンサルティングをしてきた中で実際にこういったお悩みを毎日のように聞いてきました。売上総流通金額累計1,000億円以上を作ってきた私たちの22年蓄積したノウハウを最大限活かし、EC運営担当者の悩みを具体的に解消しています。
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まとめ
今回は、楽天の出店について個人でも可能なことやメリットやデメリット、必要な準備や申込み方法、出店までの流れなどについて解説しました。
他の大手モール出店やショップ開設に比べて、審査のハードルが高く、入念な準備なしでは審査に落ちることもあります。しかし、出店さえできれば「楽天市場」の名前を借りて、シェア1・2位を誇るブランドと知名度を得られ、集客の恩恵を受けた状態で販売できることがメリットです。
料金プランや出店までの流れを確認して、必要な条件をクリアしたうえで審査を通過し、出店できるように諸々の準備をします。そのためにもまずは、事前に実績づくりや開業届による個人事業主化や法人化などを進めましょう。
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