【ECハウツー7日間】メルマガ講座はこちらから

ECサイト、モール運営の基礎知識。二重価格表示について学ぼう!

ネット通販やモール型ECで「当店通常価格1,000円のところを50%OFFで500円に!」といった、1つの商品に対して2つの価格がついている広告表示やバナーを目にすることはありませんか。この表示方法は、ネットショップや実店舗でよくありがちな表記の1つですが、こうした表示を「二重価格表示」と言います。

この「二重価格表示」は、ネットショップに関わらず、広告やマーケやセールスに携わる方ならば知っておかなければいけない常識です。自社商品の良さをアピールすることは大切ですが、ユーザーに誤解を与えてしまうと法律違反に該当してしまう恐れがあります。この記事では、商品価格を表示する際に注意したい「二重価格表示」についてまとめました。

二重価格表示とは

二重価格表示とは
二重価格表示とは、商品やサービスを提供する際に、実際よりも著しく有利であると思わせる表示のことを言います。二重価格表示は、販売価格の安さ、お得感を強調することができるため、消費者(購入者)に対して強いアピールになります。

一方、「通常販売価格」による販売実績が極めて少なかったり、安く感じさせるための実態のない価格だった場合、消費者は、通常どおりの価格であるにもかかわらず「お得な価格である」と誤認して商品を購入してしまう可能性が高まります。

このうような二重価格表示は、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)という法律の第4条第1項第2号に定められています。違反した場合、内閣総理大臣から措置命令が出され、その命令に違反した者は2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます。

不当な表示の禁止

不当な価格表示の禁止
景品表示法で示されている通り、法律では商品の詳細や価格について誤解を招く恐れがあるため「不当表示」と定められています。不当表示は次の2つに分けられており、二重価格表示は、このうち「商品やサービスの価格や取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示」を指します。

優良誤認表示の禁止

優良誤認表示とは、自社商品が商品を実際のものよりも著しく優良であると誤認される表示をいいます。加えて、商品やサービスの品質・規格その他の内容について、事実に相違して競争事業者のものよりも著しく優良であると誤認される表示も優良誤認表示に該当します。

具体的な例としては…

【例1】(実は)ブランド牛ではないのにブランド牛と表示する。
【例2】(根拠がないのに)痩せられると表示しているダイエット食品
【例3】(他社も採用しているのに)独自の技術で生産しましたと表記する など

具体的な例としては…
【例1】(実は)ブランド牛ではないのにブランド牛と表示する。
【例2】(根拠がないのに)痩せられると表示しているダイエット食品
【例3】(他社も採用しているのに)独自の技術で生産しましたと表記する など

有利誤認表示の禁止

有利誤認とは、商品やサービスの価格や取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示をすることを言います。また、優良誤認表示同様、競業他社と比べ著しく有利であることを誤認させる表示も該当します。ユーザーに誤解が生じてしまう可能性があるため、このような表示は禁止されており、二重価格表示はこちらの有利誤認表示に該当します。

具体的な例としては…

【例1】平均よりも高い価格を設定したところから値引きをする
【例2】価格に別途追加費用があることを表示しない
【例3】粗悪品の割引販売なのに「市価の3割引」と表示 など

「二重価格表示」だと考えると「どこの表示と二重なんだ?」と分からなくなりますが、「有利誤認」を軸に考えると、何が問題なのか一目瞭然に分かります。

その他、誤認されるおそれがある表示の禁止

一般消費者に誤認されるおそれがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示は以下のようなものがあります。ネット通販、ECサイトに関するものだけピックアップしてお伝えします。

①商品の原産国に関する不当な表示
②無果汁の清涼飲料水等についての表示
③おとり広告に関する表示

参考:消費者庁 表示に関するQ&A
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation/#q11

二重価格表示のルール

二重価格表示のルール
では、どのように表示をしたら景品表示法に違反しないのでしょうか。それは、過去の販売価格と比較し価格を表示する二重価格表示について、同じ商品で「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較した価格にする場合には、表示に問題はありません。

この「最近相当期間にわたって販売されていた価格」は、販売されていた期間や商品の一般的な価格変動の状況などにより、それぞれの事案ごとに検討されます。
一般的に割引前の価格として表記してもよい期間のルールは以下の通りです。

【不当表示にならない】
◎セール開始日より8週間前から、4週間以上その価格で販売していれば、割引前の販売価格として表示できる。
◎販売期間が8週間未満の場合、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができる。

【不当表示になる】
×実際に販売した最後の日から2週間以上経過している場合には、過去の販売価格として表示することは、原則としてできない
×販売期間が2週間未満のときは、過去の販売価格として表示することは、原則としてできない

参考:消費者庁 二重価格表示
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price/

モール型ECにおける二重表記問題

モール型ECにおける二重表記問題
楽天市場で起きた不正な二重価格表記問題やアマゾンジャパンに対して行った景品表示法の措置命令を受け、各モール型ECでは、二重価格表記についてかなり慎重な動きがみられます。モールによっては、販売実績を自動計算しているところや、エビデンスの表示など細かいルールが設定されていますので、モール型ECに出店する際は細かく確認する必要があります。自社ECサイトに関しても同様のことが言えます。

楽天市場の2重表記について

楽天市場のショップで商品価格を二重価格表示をする際のシステム上の設定は、元の値段を表示させる項目として「当店通常価格」「メーカー希望小売価格」「旧価格」という方法があります。それぞれの表示方法及び表示条件を下記にて説明させていただきます。

その1:当店通常価格を使うケース
直近2週間でその価格の販売実績があり、かつ、以下のいずれかにあてはまるものであること。

・過去8週間のうち合計で4週間その価格での販売実績がある
・販売期間が8週間未満の場合、合計で販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績がある

その2:メーカー希望小売価格
【エビデンス】
メーカーにより小売業者の価格設定の参考となるもので、あらかじめ、メーカーによる新聞広告、カタログ、ウェブサイト、商品本体への印字等により公表されている価格であることです。注意点として自社PB(プライベート)商品の場合は、メーカー希望小売価格として2重表記できないケースが多いです(他店へおろしていない為公表ではない)。

表示するためには、ショップにて対象の商品ページ上に、ルールに従ってメーカー希望小売価格が設定されているというエビデンスを掲載することです。具体的には、商品についている値札画像をアップして設定します。

その3:参考小売価格
製造業者、卸売業者、輸入総代理店等、小売業者以外の者が設定したもので、カタログやパンフレットに記載するなどして当該商品を取り扱う小売業者に広く呈示されている場合の価格表示です。その表示条件とは、楽天市場が保持している、小売業者や消費者に広く呈示されている参考小売価格のデータを、ショップがJANコードを用いてシステム上で商品ページに引用すること。

その4:旧定価
再販制度の対象となる「定価」の定められた書籍のうち、時限再販などによって「定価」の対象外となった書籍における「定価」が定められていたときの価格。その表示条件とは、楽天市場が保持している書籍の旧定価のデータを、ショップがISBNコードを用いてシステム上で商品ページに引用すること。

不当な表記をしていると、楽天市場の運営管理部門のパトロールに見つかります。また、不適切な商品を発見された場合には、各商品ページのヘッダーにございます「不適切な商品を報告」のリンクから、楽天市場の運営管理部門まで通報可能です。
https://ichiba.faq.rakuten.net/detail/000006830

二重価格表記を理解し、信頼されるECサイトを目指しましょう

この記事では、二重価格表記や景品表示法についてお伝えしてきました。法律に関わる内容のため少し難しく感じたかもしれません。しかし、これらの知識はECサイト運営する上でとても重要となります。

不当表示による措置命令や課徴金もダメージがありますが、何よりも企業イメージの損失、大切なお客様からの「信頼」を失うことを忘れてはいけません。この記事でご説明させていただいた法律に基づくルールを知らず、キャンペーンやプロモーション、販売を行ってしまった場合、気づかない間に「景品表示法違反」になっていたなんてことも考えられます。

株式会社ライフエスコートでは、ECサイトの運営に関する様々なご相談を受けてまいりました。売上を伸ばすキャンペーンの打ち出し方、プロモーション方法なども熟知しております。ますはお気軽にご相談ください。

現場で役立つプレゼント付き!最新ECノウハウで実践力が身につく! ECハウツー7日間 無料メルマガ講座に登録する

ABOUT US
多賀井隆之
2005年にEC支援フルサービスの提供をスタートのを皮切りに、2010年には完全自社で撮影できるスタジオ等を設立。実績は、一部上場企業ECサイト運用、輸入タイヤ通販会社経営、現在では別会社で小型家電をOEMで作りD2Cサイトを運営し、常にノウハウを検証しながら顧客へ売上改善、在庫最適化、作業効率化などを提供中

独立行政法人 中小企業基盤整備機構が提供する「EC・IT活用支援パートナー制度」に登録