アパレル業界に属していれば、一度は聞いたことのあるZOZOTOWN。
自社のアパレル商品の販路拡大や認知向上に向けて、ZOZOTOWNへの出店を検討している経営者・広報担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、運営会社となるZOZOの事業形態をはじめ、ZOZOTOWNのへの出店方法や費用、メリット・デメリット、売上向上のための運営ポイントについて解説します。
目次
運営会社ZOZOに関する3つの事業形態
ZOZOTOWNは人気アパレルブランドを中心に取り扱っているECサイトです。ZOZOTOWNへの出店数は、2022年3月時点で1,486店舗にのぼります。
ZOZOTOWNの事業は、受託ショップ・買取ショップ・ZOZOUSEDの3つで構成されています。それぞれの事業形態の特徴は、以下の通りです。
①受託ショップ|出店側が在庫を持つ形態
受託ショップは、ZOZOTOWN出店の審査を通過した企業がテナントを出店して、販売する形態です。
商品はZOZOTOWN側の倉庫で管理して、発送についてもZOZOTOWNが請け負います。ただし、それらの在庫は出店側が保有している状態となります。受託ショップの形式では、受託販売にかかる手数料がZOZO側の売上となります。
ZOZOTOWNへの出店は、基本的にこの受託ショップの形式を利用します。
②買取ショップ|ZOZO側が在庫を持つ形態
買取ショップは、ZOZOTOWN側がブランドから商品を仕入れて販売する形態です。
受託ショップとは異なり、ZOZO側が在庫を保有します。複数のブランドから商品を仕入れており、2022年3月段階では24店のショップが展開されています。
この形式では、販売した商品代金がZOZO側の売上となります。
③ZOZOUSED|個人からの中古買取形態
ZOZOUSEDは、ZOZOTOWN側が中古品を買取して販売する形態です。
買取ショップと同様に、ZOZOが在庫を保有します。ただし、買取ショップとは異なり、買取をする対象は個人となります。販売した商品の代金がZOZO側の売上となります。
出典:ZOZO『ビジネスモデル』
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ZOZOTOWNへの出店方法は2つ
ZOZOTOWNの出店方法には、ZOZOTOWNへ直接テナント出店する方法と、出店企業と契約する方法の2つの種類があります。
ここでは、それぞれ2つの方法を紹介します。
①ZOZOTOWNへのテナント出店
ZOZOTOWNのテナントに直接出店するためには、申請をして審査に通過する必要があります。ZOZOTOWNの審査には出店基準が定められており、主にブランドの「知名度」「売上」「商品数」などが挙げられます。これらの審査に通過すると、初めてZOZOTOWNへの出店が可能となります。
②出店企業との契約
ZOZOTOWNへ直接テナント出店する以外にも、既に出店している企業と契約して、商品をショップに展開してもらう方法があります。
小規模なアパレル会社の場合、出店のための審査に通りにくい可能性があるため、こちらの選択肢を検討します。手数料や具体的な契約内容は、企業によって異なります。
ZOZOTOWNへ出店する2つのメリット
アパレルブランドの商品をインターネット上で販売するにあたって、ECサイトはZOZOTOWN以外にも存在します。それにもかかわらず、ZOZOTOWNが多くの出店数を誇っている理由は、ブランドにとってメリットがあるためです。
ここでは、ZOZOTOWNへ出店するメリットを2つ紹介します。
①ブランドアピールができる
「ZOZOTOWNへ出店している」という事実だけで、ブランドのアピールにつながります。
ZOZOTOWNには出店の審査があり、一定以上のブランド力が求められます。そのため、「出店している」=「一定の基準を満たしている」と判断されるのです。
さらに、2020年1月に実施されたFastaskの調査では、ZOZOTOWNを知らないと答えた人は7.8%であり、逆にいえば90%以上の人がその存在を知っていることになります。
国内で非常に知名度の高いECサイトのため、ブランドの宣伝効果も高いといえます。
参考:Impress『利用率が一番高いファッションECサイトはどこ?「ZOZO」「ユニクロ」「SHOPLIST」利用状況まとめ | Fastask定点調査レポート 』
②商品発送の手間を代理してもらえる
ZOZOTOWNに出店すると、商品在庫をZOZOTOWNに預けることになります。
商品保管や商品が売れた際の発送手続きは、すべてZOZOTOWNが担当します。自社で在庫を管理したり、発送したりといった労力がかからないため、倉庫のレンタル費や人件費などのコストを削減できます。
ZOZOTOWNへ出店する3つのデメリット・注意点
ZOZOTOWNは数多くのブランドが出店しているECサイトではありますが、出店前に気を付けておきたいことがあります。
ここでは、出店に関わる3つのデメリット・注意点について解説します。
①ZOZOTOWNへの出店費用・手数料が高い
ZOZOTOWNへ出店するための初期費用は、200万円ほどと言われています。
そのため、出店するにはまとまった資金を用意しなければなりません。
また、売上手数料は20%~40%ほどと言われています。手数料はZOZOTOWNと企業との契約によって異なりますが、売上の多くを占めることとなるため、綿密な利益管理が欠かせません。
②キャンペーン開催・クーポン発行で利益が減る可能性がある
ZOZOTOWN側が開催したキャンペーンによって商品の販売価格が割引されると、売れた際に受け取れる利益が減少する可能性があります。
また、ZOZOTOWNではクーポン発行がされていますが、クーポンは出店企業が負担することになります。そのため、利益をどれだけ得られるのか、計画的に出店する必要があるといえるでしょう。
③出店の審査基準がある
ZOZOTOWNへの出店には、一定の審査があります。
具体的な審査基準は公式で発表されていませんが、前述したように「ブランドの知名度」「売上」「商品数」などが関係すると言われています。知名度が低く、商品数が少ないブランドなどは、そもそも出店すらできない可能性もあります。
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ZOZOTOWNを3つの他社と比較
ZOZOTOWN以外にもECサイトは数多く存在します。
ここでは、ZOZOTOWNと有名3社を比較します。
ZOZOTOWN | 楽天 | Amazon | Yahoo!ショッピング | |
---|---|---|---|---|
特徴 | 発送の手間を代行してもらえる | ショップの規模によって3つのプランを選択できる | 商品数が少なくても出店しやすい | 利用料が比較的安い |
月額出店料 | 販売手数料:約20~40% | 月額出店料:1万9,500円~10万円 | 月額出店料:100円~4,900円 | なし |
売上手数料 | 2.0%~7.0% | 8%~45% | なし |
①楽天|3つのプランから選択できる
楽天には3つのプランが用意されており、企業の規模に合わせてプランを選択することが可能です。
毎月の出店費用は1万9,500円~10万円がかかります。
さらに、R-Messeの利用料として、月額固定費が3,000円~5,000円が発生します。
手数料はプランや支払い方法によって異なりますが、システム利用料として、月額売上高の2.0%~7.0%を支払う必要があります。ZOZOTOWNと同様に出店審査があるため、条件に満たして初めて出店できます。
出典:楽天『月額コストと手数料の詳細』『運営スタイルに合わせて選べる出店プラン』
②Yahoo!ショッピング|初期費用無料で利用料が安い
Yahoo!ショッピングの特徴は、初期費用が無料になる点です。
登録時にかかる初期費用だけでなく、毎月固定費として発生する月額システム利用料や、売上に対するロイヤリティも無料となっています。
ただし、商品が売れた際には、事前に設定している料率に基づいて、ストアポイント原資負担、キャンペーン原資負担、アフィリエイトパートナー報酬原資、アフィリエイト手数料が発生します。
出典:Yahoo!ショッピング『料金・費用について』
③Amazon|少ない商品数で出品しやすい
Amazonは、少ない商品数でも出品しやすい点が特徴です。
小口出品の場合は、商品1つの出品に対して100円の手数料がかかります。大口出品の場合には、商品数に関わらず毎月4,900円の出品手数料が発生します。
また、商品が売れた際には、商品代金に応じて販売手数料が定められており、商品カテゴリーによって料率が異なります。多くの商品では8%~15%となりますが、Amazonデバイス用アクセサリーに対しては45%が設定されています。
出典:Amazon『出品にかかる費用』
ZOZOTOWN出店後の「売れる」運営方法8選
ZOZOTOWNへの出店が決まったとしても、そこはゴールではなくスタートです。ZOZOTOWNは手数料が高めに設定されているため、商品の販売数を増やしていかに利益を出すかがポイントとなります。
ここでは、出店後の「売れる」運営方法を8つ紹介します。
①定期的に管理画面をチェックする
ZOZOTOWNに出店すると、管理画面が使用できるようになります。その管理画面では、商品の売れ行きや他者との比較データを確認できます。定期的に管理画面をチェックして、売れ筋や売れてないものを把握したうえで、施策を見直すことが重要です。
②在庫管理を徹底する
ECサイトで利益を出すためには、在庫管理を徹底することが大切です。在庫切れになっていると商品は売れないため、販売機会を逃してしまいます。
現在の在庫状況を常に確認しつつ、これからどれだけ売れるかどうかを予測して、在庫切れを起こさないようにすることが重要です。
③トップページを更新する
ZOZOTOWNのテナントのトップページは、できるだけ見栄えをよくすることも大切です。
トップページは、ユーザーのアクセス頻度が多い箇所の一つです。購買意欲を高めるような見栄えのよいデザインにすることで、商品購入へと誘導しやすくなります。
また、セールやシーズン情報など、古い情報を残したままにしないように、定期的に更新することも欠かせません。
④商品画像でコーディネートを載せる
商品画像を掲載する際は、単品のものだけではなくコーディネートを一緒に載せましょう。
コーディネートを載せていると、閲覧している商品だけでなく、他の商品との「合わせ買い」を誘発しやすくなります。定期的にコーディネートの組み合わせを変えることで、さまざまな商品との売上相乗効果を高められます。
⑤クーポン配布やタイムセールを実施する
他のブランドに商品が埋もれないようにするために、クーポンの配布やタイムセールを定期的に実施することが重要です。
クーポンの配布やタイムセールは、お得感や限定感が生まれることによって、ユーザーの購買意欲を高められます。また、売れ行きの悪い商品や、在庫を抱えている商品を値下げすることで、過剰在庫を解消できる場合もあります。
ただし、クーポンや値下げは出店側の負担になることに注意が必要です。
⑥検索されやすい商品名にする
販売する商品をECサイトに登録する際、検索されやすい商品名に設定しましょう。
ユーザーのなかには、ZOZOTOWNで商品を検索するのではなく、GoogleやYahoo!といった検索エンジンで検索をして流入する人もいます。
商品の種類やジャンル、デザインなどが分かるような商品名に設定しておくことで、検索エンジンに表示されてユーザーの目に留まりやすくなります。
⑦インターネット販売専用の商品を用意する
インターネット販売専用の商品を用意することも有効です。
実店舗と同様の商品をZOZOTOWNで販売する場合、実店舗の販売価格と合わせるためにセールを実施するのが難しいといった場合があります。インターネット販売専用の商品をつくることで、単体で価格を調整しやすくなります。
また、ネット販売限定の商品は、ユーザーに「今しか買えない」といった希少価値を与えられるため、購買意欲を刺激できます。
⑧WEAR.jpやSNSを利用する
WEAR.jpやSNSを利用すると、外部からのアクセス数を増加できます。
WEAR.jpは、一般ユーザーやアパレルブランドがファッションコーディネートを投稿できるアプリです。コーディネートの登録と一緒に、着用している商品のECサイトのリンクを掲載できるため、ZOZOTOWNへの流入を促せます。
Instagramでは、ファッションアイテムやコーディネートの写真を投稿する際に、ハッシュタグを付けることで、ハッシュタグ検索をしたユーザーの目に留まり、ZOZOTOWNのページへと誘導できる可能性があります。
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ZOZOTOWNの出店に関する6つの質問
ZOZOTOWNの出店に関する主な質問とその回答は、以下の通りです。
①そもそもモール出店のメリット・デメリットは?
主なメリットは以下の3つです。
- 集客力がある
- 運営サポートに期待できる
- ECサイトの構築が容易
主なデメリットは以下の4つです。
- 利用料の負担がある
- 価格競争が起きやすい
- ブランドのオリジナリティを演出しづらい
- 出店側が顧客情報を得られない
②ZOZOTOWN側での儲けの仕組みは?
ZOZOTOWNの事業のメインは「受託ショップ」による販売事業です。販売された商品の手数料がZOZOの手元に利益として入ってきます。商品をZOZOで製造せず、製造コストが発生しないため、売上に対する利益率が高くなります。
さらに、同事業形態ではZOZO側が在庫を保有しないため、在庫リスクを抱えずに運営可能です。在庫リスクを抱えないことによって、儲けを生み出しています。
③ZOZOTOWNでの在庫リスクは?
商品が売れなければ、出店側が在庫リスクを抱える可能性はあります。ただし、受注生産システムである「Made by ZOZO」が近年開始されました。このシステムを使えば注文を受けてから生産できるため、在庫を抱えるリスクを低減できます。
④ZOZOTOWNの商品画像のサイズは?
ZOZOTOWNの商品画像のサイズは、1,500px × 1,800pxです。
該当のサイズでなければ、商品画像を撮り直すかリサイズしましょう。
⑤ZOZOTOWNに問い合わせるためのメールアドレスは?
問い合わせメールアドレスは以下の通りです。
メールのほかにも、チャットボットや公式Twitterの問い合わせ窓口があります。
詳しくは、以下をご確認ください。
⑥ZOZOTOWNはユーザーにとって何がすごい?人気の理由は?
ZOZOTOWNはブランドが厳選されており、ユーザーが知らないブランドであっても、アイテム名や商品カテゴリから商品を検索できるといった魅力があります。
また、コーディネートが掲載されているため、トレンドを掴みたいユーザーに向けたファッションカタログとしても活用できます。
ほかにも、ZOZOMATやZOZOGLASSの利用で、ECサイトながらも自分の体にあった買い物がしやすいといった点も人気の理由といえます。
まとめ
ZOZOTOWNは、販売手数料は比較的高く設定されていますが、ユーザーからの認知が高いため、ブランドのイメージアップにつながります。
運営する際は、自社に合った事業形態を選定するとともに、適切な利益管理を行う、商品画像や訴求方法を工夫することが売上につながるポイントです。ブランドの認知拡大や売上向上に向けて、ZOZOTOWNへの出店を検討されてはいかがでしょうか。
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