ECサイトを運営している担当者にとって、CVR(コンバージョン率)の低下は大きな課題です。自己流の改善策は効果を示さず、どのような方策が正確なのかわからないという方も多いでしょう。実際、CVRを改善するには、小手先のテクニックではダメで、顧客目線の適切な改善策が必要です。
そこで、ECサイトのCVRが低い原因とその改善方法・対策について紹介します。この記事を読めば、ECサイトにアクセスしたユーザーの離脱やカゴ落ちなどを防ぐ方法などもわかることでしょう。
目次
ECサイトのCVR(コンバージョン率)の考え方
ECサイトにおいてCVR(コンバージョン率)とは、どのように考えるべきなのでしょうか。ここではCVRの定義や計算方法の基本的事項を説明します。
CVRの定義
CVRとは、アクセスしたユーザーのうち、どれだけの人が商品の購入や会員登録をしたのかを示す指標のことです。ECサイトの場合、特に商品の購入をもとにした計算で算出したCVRを指標とするのが一般的です。その理由として、ECサイトは商品を販売して、売上で成り立っている商売だからです。資料請求や問い合わせなどの指標では自社ECサイトの購買力の現状を測定するのに向いていません。
CVRの計算方法
ECサイトのCVRの数値を求めるには、以下のような計算式を使います。
計算式:CV数(購入者数)÷訪問者数×100[%]
例えば、広告をクリックして訪問したユーザーが100人で、そのうちの10人が商品を購入すれば、10÷100×100で10%のCVRとなります。つまり、約1割の人が購入につながっている点をこの指標から始めて目安の数値として捉えることができるのです。単純にCVRが増えれば購入者数も増える計算です。
業界別、ECサイトのCVRの平均値
業界別のCVRは個々の会社によっても数値が異なるため、主に国内・海外などでは平均値により算出されます。
業界別CVRの平均値
業界全体でCVRの平均は約2~4%となっています。ECサイトの中でCVRが高いのは美術工芸品やペットケア、産業用エレクトロニクス、ヘルスケアなどです。いずれもCVRが2%のラインを超えており、全業界の中でもトップクラスに入ります。
- ベビー・子供用品 0.87%
- 飲料食品 1.00%
- スポーツ・レクリエーション 1.18%
- 自動車・バイク 1.36%
- アパレル 1.41%
- インテリア・ギフト 1.55%
- キッチン・家電用品 1.72%
- ヘルスケア 2.02%
- 産業用エレクトロニクス 2.70%
- ペットケア 3.53%
- 美術工芸品 4.01%
飲料食品やアパレルなどが低いのは、そもそもECサイトで買うのがメインではなく、通常の小売店(スーパー、コンビニなど)でも商品を買うことができるため、ECサイトでの購入に特別感がないためです。むしろ、割高なケースもあるなどして、宅配で届けてくれるという以外のメリットはそれほど高くありません。
また、アパレルではどうしても試着が難しく、CVRは飲料食品より高いとはいえ全業界の中でも低水準です。反対に、キッチン・家電用品は商品が大型で配送してもらったほうが楽なため、通販に頼る人も結構多いのです。そして何より、美術工芸品やペットケアの商品などは実店舗の専門店が少なく、普通の量販店では置いている商品の種類や数も限られるため、ECサイトでの購入を目指して流入する顧客が多く、CVRが上がりやすい傾向にあるでしょう。
ECサイト業界のCVRの平均値
ECサイト業界のCVRの平均値は通常1?2%程度とされています。これは、100人のアクセスで1~2人が購入まで至る割合です。全業界のおよそ平均程度か、あるいは少し低めといえるため、ECサイトのCVRが高いとはいえないでしょう。
逆にいえば、自社のECサイトがこの1~2%基準に届いていない場合は、CVRを分析し、高い業者の運営手法の考察を通して改善策を施すことが必要です。コンサルタント会社に依頼して改善策を検討してもらうのも1つの手です。
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ECサイトのCVRが低い原因
では、ECサイトのCVRが低くなるのはなぜでしょうか。ここでは、ユーザーとの関連性から主な原因を3つ取り上げます。
デザインや環境ニーズのすれ違い
ECサイトのCVRが低くなる場合、デバイス環境にあっていないデザインが訪問したサイトを閉じる原因になっていることがあります。本来、ECサイトは顧客が商品に対するある程度固まったイメージを前提として訪れるのに対し、企業側が顧客に押し付ける形でサイトを勝手にデザインするため、こうしたすれ違いが起こりやすくなります。
特に数秒でサイトを閉じている結果がアクセス分析ツールなどの結果で示される場合は、離脱しやすいECサイトとして要注意です。顧客のサイトに対するニーズを見直す必要があるでしょう。
ターゲットユーザーのズレ
ECサイトはサイトの商品リンクやランディングページ、検索ページのキーワードによるリスティング広告など、さまざまなところから顧客を集客します。しかし、ECサイトのCVRが低いときは、購入まで至るような客層を集められておらず、適切なターゲットの広告集客を行えていないことを意味しています。例えば、極端な例としては、女性用化粧品のECサイトに男性ばかり集めるようなものです。
こういったズレはECサイト設計時のターゲティングが不十分なケースや事前リサーチができていないケースがほとんどです。そして、実際に集めたいターゲットが集められないキーワードの集客方法などに問題があることも珍しくありません。そのキーワードから実際に集められる客層がどういった客層かを把握せずに上位表示や広告表示だけ狙い、CVRが低くなるという失敗が起こるのです。
カゴ落ちの多いサイト設計
ECサイトではデザインやズレも少ないのにCVRが低くなるというケースもあります。これは、サイト内の手順や機能が、カゴ落ちの比率が多いサイトによくある設計の仕方になっているパターンです。
ようするに、サイトにアクセスして商品をカートに入れた後、サイトを離れてしまい二度と戻ってこないのです。実際、多くのユーザーは一度訪れたサイトをもう一度尋ねることはなく、初めて訪れたECサイトでも同じことがいえます。
サイトに問題がなくても顧客の購買意欲や買い物の即決に至るまでの工夫が足りず、ECサイトの基準としてはギリギリ合格点でも、それ以外の部分でCVRが低くなる原因を作ってしまっているのです。
ECサイトでCVRを高めるには、結局のところ購入客数を増やすしかありません。それを促進するようなキャンペーンの展開やカゴ落ち防止のリマインダーやサイトの画面表示などをしてカゴ落ちを減らすしかありません。
以上、どの理由でCVRが低くなっているのかを見極めることで、全く異なるアプローチからECサイトを改善するヒントを得られるのです。
ECサイトのCVRの改善方法・対策
ECサイトの運営をする中で「現状の問題点が理解できていない」、「CVRを少しでも改善したい」という場合に、改善方法とすぐに取り組める対策についてここでは説明します。
ページスピードの短縮化
ページスピードはECサイトのページが表示される速度のことです。Googleの調べでは、上位表示されるサイトの多くは3秒以内であり、1秒遅れるごとにCVRが20%減少することが判明しています。
もし表示時間の影響でCVRが低下している場合は、ページスピードを短縮することで改善することができます。最近はスマホデバイスに最適化されたページの表示がメインとなっているため、スマホの表示速度を意識すると良いでしょう。
ページスピードの短縮化には、サイト設計を見直してファイルなどコンテンツが重くなり過ぎないようにします。特にデザインはCSSを最適化してページの表示速度を送らせないような配慮をすることです。このようにして、ページスピードの短縮はターゲットにかかわらずCVRの向上に貢献します。
ECサイト内の充実
ECサイトでCVRの低下が起きる要因の中に離脱の多いサイト構成や情報量が少ない場合があります。例えば、画像がなく、商品をイメージできない、説明文が1~2文で簡易すぎて説明しきれておらず、評価・レビューなどもほとんどどないといったケースです。上記の場合のCVR改善には、「画像・説明文のコンテンツを増やす」、「評価・レビューを取り入れる」などの施策をすることが有効です。
サイト内の情報力が増えて顧客の不安が減れば、購入まで繋がりやすくなります。また服や靴などのアパレル用品は画像や説明文が具体的であるほどイメージしやすくなるため、別のサイトに商品画像を見に行って離脱されるということも起きにくくなります。
以上が個々のターゲットに即した対策となるのです。また、レビューが多ければそれだけ自社サイトでの購入に安心感を与え、CVRを低下させていた原因を減らし、購買力を高めるでしょう。
カゴ落ちの予防・見直し
原因のところでも示したように、カゴ落ちはCVRが低くなることに大きく影響します。改善策としては、入力フォームの負担を減らすことです。クレジットカードのようにたくさんの項目に入力作業が必要となると離脱する確率が高まります。
また、クレジットカード以外の決済方法の複数用意やスマホ(ペイ支払い)・電子マネー系の支払い方法の拡充など決済完了まで不都合のないECサイトづくりが求められます。それにはサイト設計の段階でしっかりとカゴ落ち対策の設定をしておき、デザインやコンテンツ、ターゲットの集客では補えないCVR低下の要因を事前に改善します。
キーワード、ターゲットの見直し
ターゲットのズレやニーズのすれ違いなどが起こらないように対策することも重要です。ECサイトで先にどの商品を取り扱うのか決まっているのであれば、サイト設計やデザインの段階でどのようなサイト構成がその客層にイメージされているのかを明確化し、ターゲットユーザーの想定を外さないことです。
そして、実際にアクセス数となる集客面ではキーワードを根本的に見直し、集客層のターゲットと商品が一致するようにします。中でも予算も時間も限られる中小のEC事業者は、広告費を効率的に対象のターゲットだけ引っ張りたいため、CVRを高めるためにどういった客層を狙うのか事前にリサーチして絞り込むのがベストです。
コンテンツの充実は、集客における適切なターゲットユーザーの獲得の後になるため、集客だけ後回しだと不十分で、集客面の対策も同時に進める必要があります
できる改善から始めてみよう!
今回はECサイトのCVRについて業界別の平均値や低い原因、改善方法・対策などについて解説しましたが、いかがでしたか?
ECサイトはCVRが低い傾向にあり、1~2%を下回る場合は改善策を施す必要があるでしょう。また、これまでの内容を参考に、基本的なルールを前提とした作成の手順をステップごとに説明します。
アクセスツールでCVRの細かな情報を収集する
CVRは簡単な計算式で求められますが、低下した原因を特定するには有用なツールを活用して、ユーザーの挙動をセクションごとに調査・分析する必要があります。単純にアクセス後の即時離脱が目立つのか、それともしばらくサイトに滞在してカゴ落ちしているのかなどを明らかにするのです。
改善策を施す
次に、CVR低下の原因に適した改善策を施します。特に各改善策から「サイト設計」、「ターゲット」、「デザイン」、「コンテンツ」など、どの項目を改善するのか明確化することで効率的にサイト改善を進められるでしょう。
結果が出たところで再び改善策の実施でPDCAを回す
改善策は一度切りで効果を表すことは少なく、継続的に改善策を施していくことが重要です。改善効果が薄ければ、そもそも低下の原因がズレているか完全に間違っている可能性もあるため、原因の特定からもう一度検討し直してみましょう。
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