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ピッキングミスの原因は何?改善・防止策について考察します

自社のピッキングミスを減らしたいが、具体的にどうすればよいかわからない、ミスの防止策が上手く機能しない、ミスの原因がそもそもわからない、などの悩みを持つ経営者や現場担当者の方は多いでしょう。

ピッキング作業で生じるミスは、「十分に注意していれば防げるはず」と個人の責任にされてしまうこともあります。ところが、ヒューマンエラーが絡むピッキングミスを人の認知機能だけで完全に防止することは非常に困難です。1週間、1ヶ月、1年と繰り返す単純作業の中で人が一度もミスしないことのほうが稀でしょう。

中でも物流や販売の仕事では、人の認知や注意力だけに頼らないピッキングミス対策をする必要性が高まっています。そこで、「ポカよけ(ミス防止)」の仕組みづくりや機械を必要に応じて導入することが重要です。この記事では、ピッキングの仕事内容やピッキングミスの原因、改善・防止策などを紹介します。

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ピッキング作業とは

ピッキング作業とは
ピッキング作業は、必要な商品を必要な数だけ集めて次の工程(検品・梱包)に渡すことです。英語の「pick=選び取る・摘む」を意味する流通業界の用語です。ピッキング作業をする人のことをピッキングスタッフと呼ぶことがあり、派遣や契約社員は長時間の作業を行うことも珍しくありません。

ピッキング作業には種類があり、「シングルピッキング(摘み取り式)」・「トータルピッキング(種まき)」・「マルチピッキング」などが挙げられます。シングルピッキングは、受注伝票に記載された商品を必要な数だけ集めてくる方式です。倉庫内をピッキングスタッフが歩きまわって商品を摘んで集めることからそう呼ばれます。トータルピッキングはシングルの1受注ではなく、複数の受注をまとめて商品を集めてまわります。そして、マルチピッキングはシングルとトータルの両方を併せ持つ方式です。仕分けもその場で行うため、トータルピッキングしながら、シングルピッキングを行うイメージです。

ピッキングと呼ばれるさまざまな仕事は、企業によって内容がそれぞれ異なるのが特徴です。例えば、ベルトコンベアを使用して商品を流す、カートを押して商品を集める、箱詰めまでまとめて行うなどです。商品伝票を見ながら集めるのか、音声指示で行うのかでも大きく異なるでしょう。

ピッキングでミスが起こる原因

ピッキングでミスが起こる原因
ピッキング作業は正確性とスピードが求められることからちょっとしたミスが起こりやすいでしょう。そのため、ピッキング作業は気づかぬうちにミスが起こっているケースが多々あります。ミスが発見されず、そのまま商品が出荷されてしまうことも珍しくありません。そこで、ピッキングミスが起こる3つの原因について説明します。

現場に「ポカよけ」の仕組みがない

ピッキングは基本的に人の認知機能が大きく影響する作業です。伝票番号と商品を照合してピッキングする場合、「間違った商品を選んでいないか」「数量は正しいか」などを人が直接的にチェックして作業を行う必要があるのです。しかし、人の集中力や注意力というのは長く続かないため、どうしてもヒューマンエラーというのは発生してしまいます。

最悪なケースでは、ピッキング作業のミスを個人の責任としてすべて押し付けてしまうことです。環境やその日の体調によって、人はミスをしたりしなかったりします。したがって、ミスをすることを前提とした予防策や仕組みを構築しなければピッキングミスの問題は解決しません。むしろ、現場監督や上長に怒られたり、ラインを止めてしまう抵抗感からミスを申告するのを嫌がって、企業が致命的なダメージを受けることにもあるでしょう。それくらいピッキングミスの回避は企業にとっての重要事項です。

ミスを犯しても言い出しやすい環境を作り、全くミスが起こらないラインは逆に「ミスを隠しているのではないか」と経営者が疑うトヨタ方式のほうが正しいという見方です。ピッキングミスの傾向や回数を把握して次に活かし、全体でミスの出にくい環境を作ることに力を入れるためには、正確な原因把握こそがその第一歩です。

作業を行う人によって配置や手順が異なる

中小企業によくあるピッキングミスの原因として、ピッキングスタッフが変わることでミスが起きたり起きなかったりすることです。普段からピッキングに慣れている人や内輪の事情を知らないと作業できない環境では、アルバイトや派遣社員などピッキング作業を初めて担当するスタッフが環境に馴染めず、混乱してミスをします。

ようするに、ピッキング作業は出荷が多いほど沢山の人の手が必要なので、人が増えるほどミスの可能性が上昇します。そこで、ミスは起こり得るものとし、環境や業務内容を見直すことを優先します。これにより、ミスが作業場(倉庫の配置や陳列、商品番号の整理等)の環境に依存していることが浮かび上がるのです。

人手に頼って機械を導入していない

ピッキングミスの原因はヒューマンエラーですが、機械を導入している企業ではピッキングミスを最小限にすることができます。機械は「単純作業をミスなく行うのが得意」という性質を利用するのです。反対に、必要な場面で必要な機械を導入していない企業は、人的な作業に頼り切りになってしまい、ピッキングミスが起こる原因となります。

例えば、ピッキング作業に機械導入の一切ない中小企業の現場担当者や経営者はピッキングミスを防ぐために声出しや精神論を改善策として持ち出す場合があります。しかし、ミスをしないための作業を増やすことでむしろ、作業効率が悪化する可能性が高くなるでしょう。

実際、声出しや精神論、ダブルチェックでピッキングミスは完全に防げないことを理解し、そのうえで対策や原因を把握することが重要です。ヒューマンエラーが起こりやすいシチュエーションは必ず作業工程のどこかに存在するため、そのときミスしやすい作業に代わって機械を導入していないことがミスを繰り返す原因になっている事があります。

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ピッキングミスにより生じるトラブル

ピッキングミスにより生じるトラブル
ピッキングミスはさまざまなトラブルや問題を引き起こします。具体的にどのようなトラブルや問題が生じるか、企業の信頼やコストなどの面から説明します。

企業の信頼を失う

ピッキングミスは気づかれないまま商品が発送されて、相手方のクレームや信用の低下に繋がります。特に繰り返しミスが起こるようなケースでは企業の信頼を失ってしまう可能性が高まるのです。問題はミスをしたことではなく、繰り返しミスが起こるような体制を放置していたことです。ピッキングミスはミスを繰り返して蓄積していくことで解決策を明確にし、早期に対策を講じることが求められます。

しかし、個人への責任追求や人の能力を超えた完璧な集中力をピッキング作業に求めても何の解決にもなりません。蓄積したミスからそれを人為的なものではない、別の方法によって改善する仕組みを内部に作ることが必要です。特にミスが特定の人物に限らず、多くのスタッフの間で頻発する場合は要注意です。

それをせず、「人員の数だけ増やす」、「スタッフの責任を問う」、「声出し作業を増やして確認の手間を更に増加する」といった方法では、その企業はピッキングの現場において問題が解決しないままとなるのです。「なぜ発生するのか?」までチーム単位で深く考えて、対抗策を用意する事が重要です。

余計なコストが発生する

企業が信頼を失わないことはもちろん大事ですが、もっと直接的な問題として返品対応や手続き、発送の費用が余分にかかるというコストの問題が発生します。例えば、洋服を1枚だけ入れるところを重ねて2枚発送してしまい、それを回収するコストを考えてみましょう。まず、お客様からのクレームにより、商品が2重に入っていたことがコールセンターに報告が上がります。そうすると、商品の回収に発送のコストが生じます。

次に、缶詰と洗剤を間違って商品発送したケースを考えてみます。まずは商品を回収し、新たに本来送るべきだった商品を再送します。先程の例よりも回収と再送で発送コストが生じます。発送コストは必ずしも宅配利用の費用に限らず、ピッキングから梱包までの全工程において人件費が発生します。ミスがなければ本来発生しなかったコストが生じることを前提にミスを対策することは業務効率の観点からも優先すべき事項です。

作業負担が増える

中身の商品を誤発送すると余計な作業や発送の手間が生じます。トラブルの対応としてコールセンターや担当者に入ったクレームに対応する手間が1つ目です。次に、再発送を指示する現場の手間です。従来の発注に加えて、ミスによって生じた再発送を手配する手間や商品を用意するピッキングまでの一通りの作業もコスト同様に人的な手間が発生します。

しかし、問題は同じ工程で同じミスの可能性が残る現場から同じ作業をさせるという懸念が残ることです。同じミスを繰り返してしまうと信頼だけでなく作業負担も同様に増えます。それが一度のミスが起きたからどの場面を改善すればミスしないように問題が解決するのかを現場担当者や経営者が把握していないことです。この場合、意図しないタイミングで際限なく手間が増えてしまうため、対症療法のようにミスをカバーする作業が余分に発生するのです。

ピッキングミスの防止・改善策

ピッキングミスの防止・改善策
ピッキングミスは人が作業する時の注意力だけで完全に防ぐことはできません。そこで、ピッキングミスを起こさないための防止策、改善策について説明します。

ピッキング作業のルールを標準化する

作業を行う人によって配置や手順が異なることでミス発生の原因を防ぐには、ピッキング作業のルールを標準化します。基本的に、担当する人が異なることで起こるミスは、手順や方法が異なることで発生すると考えます。ようするに、その場の雰囲気や作業のしやすさによって、作業する人の独自ルールが適応されているわけです。

社内に統一されたピッキング作業のルールが存在しない以上、その人が独自に作業をしてしまう、担当者の好みによって作業の手順が決められてしまうのは避けられません。そこで、会社・企業単位でピッキング作業のルールを標準化することでピッキングミスを起こさないための防止策とするのです。新たに作業に加わったスタッフが作業しても間違わないくらい簡単なルールがあると人員が足りないなどの問題を改善しつつ、ピッキングミスの手間を減らすことが可能でしょう。

棚の配置や商品位置を改善する

ルールがないという原因でミスが発生する場合は標準化したルールに従えばミスが防げます。しかし、ルールを用意したのにミスが起こる環境が存在します。例えば、商品位置や整理整頓が不十分で作業効率が悪くなり、ミスが発生するケースなどです。どこに何があるのかわかりにくい倉庫などが該当します。

その場合、ピッキングミスを防止するためには、倉庫を整理して番号やカラーリング(カラーの強調)で商品を仕分けする、同じ棚で似た商品を扱わないなど、ミスを予め防ぐような仕組みを環境の方に用意することです。これをロケーション管理と呼びます。棚番を付けて、その数字を大きくするなども改善策の一つです。

上記の方法で商品を集める作業をスムーズに行うことが可能です。特に過去のピッキングミスを蓄積・解析して起こりやすいミスを事前に防止するための取り組みがあれば、セオリーに関係なく改善策を企業内(現場)で実行してみるというのも一つの手段です。

入庫作業の正確性を高める

ピッキング作業は、企業と配送業者の中間にあたる位置として倉庫内の作業が行われます。すなわち、ピッキングのために商品を入庫する作業が発送ラインの最初にあるわけです。どれだけピッキング作業を正確にしたとしても入庫の段階でミスが発生していれば最終的なミスを防ぐことができません。

そこで、入庫作業の正確性を高めるような工夫も同時にしていかなければなりません。例えば、手書きの伝票をやめる(バーコード化する)ことで細かいミスを防ぐ方法です。ピッキング作業のミス回避(標準ルールによりミスを防ぐ)を応用して、入庫作業でもルールを標準化してミスを防ぐことができるでしょう。

倉庫の作業効率を高める

作業しやすいように倉庫は入庫の前からきれいに片付けておき、清掃なども十分に行うことです。倉庫がクリーンで作業効率が良ければミス防止にも直結します。特に狭い倉庫で作業を強いられるピッキングスタッフは倉庫内の環境悪化によってミスを誘発します。十分な空間(エリア)の確保は入庫作業と同時に改善策として提案できるでしょう。

情報が行き渡るようにする

ピッキングミスは個人の問題にしてしまうとそのミスが他のスタッフに共有されず、どんなミスが起こりやすいのか知ることができなくなります。そこで、情報共有を徹底することにより、ピッキングミスの細かな事柄を同じピッキングスタッフに共有しやすくするのです。注意喚起することによって、意識的に防げるところは防ぎ、ヒューマンエラーで生じたミスは仕組みで防ぐという体制が最善でしょう。

例えば、新しい商品が追加されて、前回とは倉庫内の配置や番号が変更された場合は、

掲示板や朝礼などを利用して情報共有し、すぐに分かるようにしておく
作業スピードの目標や注意点などを明確にする

以上の情報が伝わっておらずミスが起きた場合は、伝達の仕方を工夫するなどして、情報が行き渡るようにするのです。

ピッキングミスが出にくい環境を整えよう

今回の記事は、ピッキングミスの原因や改善・防止策について説明しました。ピッキングミスの原因は、現場のミス予防策が機能しておらず、人のチェック機能に任せきりになってしまうことです。ピッキングミスが起こり、間違った商品が発送されてしまうとクレーム対応や管理業務の手間が増え、全体の業務効率を低下させます。

できる限りミスを予防し、次の検品工程にミスなくスムーズに引き渡せるような現場の仕組みづくりが必要です。そのためには、ミスが出にくい環境を整える(商品の配置を変える等)、機械などを導入してミスを防ぐなどの手段が考えられます。企業が現場にミスを減らす仕組みや工夫を用意することによってピッキングミスの発生を防ぎましょう。

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多賀井隆之
2005年にEC支援フルサービスの提供をスタートのを皮切りに、2010年には完全自社で撮影できるスタジオ等を設立。実績は、一部上場企業ECサイト運用、輸入タイヤ通販会社経営、現在では別会社で小型家電をOEMで作りD2Cサイトを運営し、常にノウハウを検証しながら顧客へ売上改善、在庫最適化、作業効率化などを提供中

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