自社のECサイトを構築する際にUI/UXデザインの検討をすることが一般的です。しかし、アイコンの配置や写真の位置、文字、操作・機能性などさまざまな要素があるため、意見がすぐにまとまらないことも少なくありません。特にPC・スマホの操作性向上は、ECサイトを運営する企業にとっては欠かせません。
どうしてもユーザー体験の価値向上には、Webサイトのイメージや理解が人々に共有できて使いやすいことが求められるのです。そこで今回は、ECサイトにおけるUI/UXデザインの重要性や知っておきたい9つの改善ポイントについて紹介します。
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目次
UI/UXデザインとは
UI/UXはWEBやスマホ関連の話題でよく登場しますが、EC担当者の中には詳しい意味を知らないという方もいるでしょう。そこで、ECサイトにとって重要となるUI/UXデザインについて解説します。また、一般的なデザインとの違いについても取り上げます。
UI(ユーザーインターフェイス)とは
UIは、“User Interface”(ユーザーインターフェイス)を省略した言葉です。例えば、パソコンやスマホの画面上に表示される「デザイン」や「操作する」ことを総じてUIと呼びます。これはユーザー(利用者)と製品をつなげる接点です。そして、UIはユーザーがデバイスを使いやすくするのに必要なものといえます。
使いやすさはUIのデザイン次第という部分もあるため、ECサイトの改善などにはUIデザインが注目されます。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは
UXは“User Experience”(ユーザーエクスペリエンス)の略で「ユーザー(顧客)体験」を意味します。例えば、製品を使ってそのデザインや使いやすさがすごく「心地がよかった」「満足した」という経験も1つのUXです。その結果として、ユーザーがした体験がUXとなるのです。ECサイトのデザインに限らず、さまざまな場面でUXが使われます。
UI/UXデザインと一般デザインの違い
UI/UXデザインは本来、UIがUXのデザインや使いやすさを高める役割があります。つまり、UIの先にはUXがあり、UIがなければUXもありません。UXに優れていると、そのECサイト(ひいては企業)に対し顧客が高い評価をします。「心地よい」「わかりやすい」というUXを一度体験した顧客により、リピーターが定着しやすくなるのです。
一方、これがただの一般のデザインだった場合、芸術的な要素があるのみです。イラストレーターや写真家が創作して掲載したところで、いくらデザインが優れていても、商品を選ぶ際に、購買意欲や買いやすさにはつながりません。しかし、そのECサイトを使っているユーザーにとって重要なボタンのデザインや配置などはユーザーが快適に使えるためのデザインであるため、質を高めるほど売上に影響してくるのです。それがUI/UXデザインとの根本的な違いです。
ECサイトにおけるUI/UXデザインの重要性とその背景
ECサイトはWEBデザインにおいてUI/UXデザインの方を重視するケースが増えています。そこで、一般的なデザインよりもUI/UXデザインが重要であるとされるようになった背景があるのです。
美的センスは重要ではない
UI/UXデザインはユーザー体験の質を高めることを目的としています。UI/UXデザインは、美的センスを極めることではなく、ユーザーにとってのデザイン性が使いやすさを補助することにあるのです。
ECサイトに一般的なデザインではなく、UI/UXデザインが重視されるのは、ユーザー体験の向上で売上に貢献するためでしょう。
意識させないことを重視
一般的なパソコン・スマホデバイスによるECサイト閲覧者にとって、使いやすさを求めることは先程も述べました。そのうえで、UI/UXデザインは本来、それをデザインとして意識するよりも、まったく「意識させない」ほうがユーザーにとって優しく、利便性の高さにつながります。
例えば、ECの商品販売においてカゴ落ち防止機能や検索のしやすさ、デザインそのものの使いやすさは売上にも大きく関わってきます。それが直感的で使いやすいほど、そのECサイトを通じて自然に買い物を意識せず行えるのです。
実用性を高める基礎
UI/UXデザインは、使いやすさの追求に直結します。使いやすさを示す指標として、通常は視認性が優れているボタンやフォント、デザインのことですが、広く認識が共有されているボタンアイコンの大きさ・形状や配置・距離感、動作に合わせた全体のレイアウト、カテゴリごとの分類などが挙げられます。
以上が、実用性の高いUIの基礎を形作っているのです。そのように設計したUI/UXデザインは使いやすくてユーザーに心地よい体験をもたらします。
デザインとして見た目が使いやすいようにフィットするだけでは、実用性を高めることはできないでしょう。使ったときの感触や時間的なラグ、指やマーカーの窮屈感などを解消して、最適にコントロールできるからこそ、UI/UXデザインの重要性が高まるわけです。
ECサイトのUI/UXではどのようなことが求められているのか?
ECサイトはUI/UXに何を求めるのが適切なのでしょうか。ここでは、UI/UXを成功に導く具体的な要素について詳しく説明します。
閲覧時の安心感
ECサイトのUI/UXは、「このサイトなら使いやすい」という安心感が生まれることが求められます。訪問ユーザーにとって、ECサイトにしばらく滞在できる安心感がなければ離脱されても仕方ありません。
これは現実のスーパーやコンビニでも同じことがいえます。入ったときに、ここで何を買えて、どんな接客を受けられて、中を歩き回れることを客が最初から知っているからこそ、ある程度自由に商品を閲覧し、買うことができるのです。
ECサイトでも閲覧時のUI/UXがあまりにも不自然であったり、他と違いすぎてECサイトであることさえよくわからないようなサイトはユーザーが滞在しにくいのです。
閲覧時に安心感を与えれば、とりあえず離脱する確率を下げることができます。EC事業者にとっては、どれだけサイト離脱を防止できるかが重要課題でしょう。それを考慮してUI/UXを設計することは、成功に導く具体的な要素となり得るのです。
快適性
視覚的な要素が顧客をECサイトに留めることだとすると、その先に買い物を実際にするための要素がECサイトの快適性です。それにはUI/UXが大きく関係し、その使いやすさはまさにユーザー体験で感じるECサイトに対する価値そのものです。
快適に買い物ができると人は、「商品を探す」、「閲覧する」ことが容易となり、購入まで進みやすくなります。カゴ落ちは、決済までのECサイトの使いやすさによって減らすことができるため、快適性が成功を左右するといっても過言ではないのです。
もちろん、魅力的な商品がなければ売れにくい(あれば売れやすい)ことは確かですが、商品以外の要素をUI/UXとして成功に導く具体的な要素として働くのです。UI/UXを使用感の速さやタップのしやすさなど考慮して開発・設計することが求められます。
対応力
ECサイトはブランドの特徴や商品のテーマによってUI/UXデザインが異なります。必要に応じてデザインを修正し、ユーザー属性に適したものを選んで対応できることもUI/UXに求められます。
UI/UXデザインを考える時、他のECサイトを参考にすることがありますが、それだけで十分ではありません。確かにボタンや商品のは位置・レイアウトは共通する部分を取り入れることは自社のECサイトにも重要ですが、ジャンルや売り方、ECサイトの客層などによってUI/UXに若干の変更を加えていくことが適切なのです。
ECサイトのUI/UXデザインにおける9つの改善ステップ
UI/UXの基本を押さえたところで、今度はECサイトのUI/UXデザインにおける9つの改善ステップをそれぞれステップごとに説明します。サイトを検証し、テストを繰り返して適切なUI/UXデザインを目指しましょう。
ステップ1. 安全性を提供する
ECサイトではいかにサイトユーザーが安全を確信することでブランド価値を高めます。誤選択や誤タッチをしにくい操作性もその1つです。そして、公式のサイトであることをわかりやすいようにするため、UI/UXデザインによる統一感をもたせることも重要です。
ステップ2. 商品写真を活用する
商品を販売するため顧客に商品イメージを伝えて、購入後の満足度につながる要素が商品写真です。撮影した写真を活用し、商品の魅力を伝え、色や形をはっきりさせることで安心して選ぶことができます。近頃は、写真に加えて動画映像を商品・サービスの紹介に使用するケースもあり、活用の幅が広がっているでしょう。改善点としてすぐにも取り組みやすい部分です。
ステップ3. デザインを意識させすぎない
ECサイト訪問者にとってデザインカラーの多用はせず、最低限の注意を集めるレベルにすることでサイトからの離脱を抑制することができます。特にUI/UXデザインはサイトデザインがしっかりしていることが適切なため、できるだけ意識させすぎないように改善しましょう。
ステップ4. わかりやすさ、読みやすさの追求
商品ページや検索後の表示ページでは、商品のわかりやすさを優先します。ECサイトの中でユーザーが取る挙動は、商品を探して気に入ったものをカートに入れ、購入することです。そのとき、カートに入れる作業を「わかりにくい」や「読みにくい」と感じさせないことです。
長い説明や難しい語句を避け、ダイレクトに伝えたい情報だけを優先するデザインにします。難解な語句やごちゃっとしたデザイン性をやめるだけで改善策としても十分です。
ステップ5. 各デバイスへのフレキシブルな表示対応
近年は、ガラケーやパソコンだけでなく、スマホやゲーム機、テレビなどさまざまなデバイス機器によるECサイトへのアクセスが行われます。その際、表示画面がフレキシブルに対応できれば、視覚的にも操作にもストレスを感じさせないようにできるのです。
UI/UXデザインに焦点を当て、サイトデザインすることでユーザー体験としての価値が高くなるように設計できるのです。デザインのフレキシブルな表示対応を視野に改善しましょう。
ステップ6. 選択肢を減らし、選びやすい工夫を施す
商品はECサイトのおすすめ・注目商品やカテゴリとして売り込むときに数が多すぎるとユーザーが混乱します。キーワードからは目的の商品が探しやすく、デザインとして視覚的に特定の商品を買いやすくする工夫をするだけでも大きな改善が見込めます。
さらに、商品区分やカテゴリを単純に増やして複雑にするのではなく、シンプルにして少ないカテゴリから顧客を流入しやすくしておくと、混乱も少ないのです。余計なことはできるだけ省略し、使いやすいユーザー体験をしてもらいましょう。
ステップ7. 越境ECでは各国の風土に対応する
日本では馴染みがなくても、越境ECや海外のモール出品による細かな対応が必要となります。色や取り扱う商品(取り扱い禁止されているアイテムなど)を「ローカライゼーション」することで、国ごとにUIを設定できるのです。越境ECをこれから目指している事業者はすぐにでも改善ポイントに取り組むべきでしょう。
ステップ8. 費用の明示・正確性
ECサイト運用で避けたいのが費用の不正確な請求です。商品を購入する顧客には金額面での安心感が必要です。間違った費用の提示やよくわからない費用が勝手に計上されているとユーザーは不安になって会計を取りやめてしまいます。これがカゴ落ちにつながるわけです。
費用の正確な表示はUI/UXの設計段階で十分に検討する必要があり、それが欠けていることに気づいたらできるだけ早く改善に着手しましょう。
ステップ9. 購入後のことまで使いやすさを視野に入れる
UI/UXは閲覧から決済完了までの画面上の問題で完結されることが多いですが、実際にはユーザー体験はその後も続いています。もしUI/UXデザインとして優れていても、実際に購入した後、自宅に届いてその箱を開封したときに、満足度が低下するような事が起これば、使いやすさの低下は免れません。
カスタマーサポートの充実についても同じことがいえます。購入後のことまで使いやすいことを視野に入れてこそ、UI/UXデザインの改善を施す意味があるでしょう。
自社ECサイトのデザインをお悩みご相談ください。
今回は、UI/UXの重要性や改善のポイントについてまとめました。最近は、ECサイトのスマホ利用者が上回るケースも出てきており、Googleもそれに対応してパソコンよりスマホの検索結果を優先しています。
そのため、ECサイトは、スマホ利用者が利用しやすいデザインや使い勝手の良いものを用意する必要が出てきます。それにはUI/UXデザインがスマホを通じて価値を最大化できるようなECサイトの改善をすることです。
タップや画面が小さくても見やすく、操作も快適なUI/UXデザインにすることは、ユーザー体験の価値を引き上げることに加え、売上をアップするのにも一役買ってくれるでしょう。
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