ECサイトを立ち上げて運営していく過程で、競合分析・調査という言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。最近では、ツールを使った分析方法や検索エンジン対策向けのSEO調査、顧客データを分析する手段など、さまざまなマーケティング手法が登場しています。
しかし、マーケティングに詳しくない人やECサイトのショップ運営自体が初めてで調査・分析がわからない人もいます。その人にとって、具体的に「競合分析・調査」が何をするものなのか深い理解が得られていないのです。
実際に売上や価格の調査を重要として調査や分析をすすめるケースもありますが、それでは競合他社から勝ち抜くには不十分でしょう。
そこで、調査の目的や進め方のポイント、キーワードを使って項目別に分析・調査ができる3つのツールについてそれぞれ解説します。
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目次
ECサイトにおける競合分析・調査とは?
ECサイトでは、マーケティングで普段行われる競合分析・調査をどのようにおこなうのか知られていません。そこで、ECサイトにおける競合分析・調査とは何か、タイミングがいつで頻度はどのくらいで行うのが一般的なのかについて説明します。
競合分析・調査の意味
競合分析・調査とは、実践的なマーケティング手法において、競合他社を調査・分析することです。競合調査では実際に調査をして、デジタル・アナログを問わず数値や文字にまとめる作業が挙げられます。
上記で判明したデータは、競合分析で調査した内容を目的にあわせて分析するのです。しかし、分析と調査は別々ではなく、あくまでも調査と同時にある程度の分析も同時に進行しているのが一般的でしょう。
もちろん、分析・調査は時間と手間のかかる作業ですが、調査する社数によっても労力が変わってきます。ある程度絞り込んで調査したい会社だけを狙い撃ちするのが効率的です。さらに、競合分析・調査の結果を社内で共有することで、自社サイトの他社との位置づけや目的、課題、改善点などを共有できるというメリットがあります。
競合分析・調査の内容
競合分析・調査の内容は、具体的に他社のブランディング(シェア商品・ブランド価値)の把握、価格相場の比較、取扱商品のリストアップなどをして、競合性を明らかにします。
ECサイトでは、中小・零細企業の進出が多く、取り扱いも大手モールに比べて専門的で商品・サービスが特定のものに特化しやすいのです。そのため、競合他社は、「近いペルソナ・属性・顧客ターゲット層などを対象としている」場合や「同ジャンル商品で顧客ターゲットは違うが同業の競合他社」に該当する場合、「取扱商品の代わりとなるような商品のある」場合などを対象に調査・分析します。
例えば、高齢者をターゲットとしたサプリメントを扱うECサイトでは、スポーツ向けや若者向けにも健康系サプリメントがあり、それが競合他社となりえます。ターゲットは高齢者ですが、健康サプリメントというジャンルを扱っていることで同業の競合相手になるわけです。これらの調査を通じて、知りたい情報を集めて分析し、自社の方針を明確にします。
タイミングや頻度
競合分析・調査のタイミングは、基本的にECサイトの「立ち上げ前」に徹底的に行います。なぜなら、立ち上げに失敗する企業は、十分な調査なしにサイトを立ち上げて売上が伸びず、事業に失敗してしまうからです。
上記の調査の必要性は、ネットのECサイトに限ったことではなく、現実の店舗開店でも同じです。コンビニや飲食店は似たような場所に並んで、あるいは向かいに建つ傾向にあります。
それは、最初に費用をかけて徹底調査したコンビニなどの企業が、集客に適した場所を地理的かつマーケティング的に考慮してベストプレイスで開店しているためです。最初に、周囲にコンビニなどの同業者があれば、それは競合他社となりえます。そこで、他社を調査してサービス内容も競争力で勝つように工夫しています。
ECサイトでも、最初に調査して、どのくらい競合他社が強いのかを調べ、勝負できる部分を探すところから始めます。それができるのは最初の調査だけです。後で変更しようとしてもブランディングを変更するハードルの高さに阻まれて、急な方針転換が難しいのです。
また、立ち上げ後に売上が伸びない場合には、改善に向けて再び競合分析・調査をして、現在の運営の仕方に反映します。そのため、定期的に競合分析・調査が必要となり、競合他社が変化したときに対応できるようにするのです。
競合分析・調査の目的は?なぜ必要なのか。
競合分析・調査には、費用や手間をかけるだけの目的があります。そこで、なぜ競合分析・調査を行う必要があるのかについて3つの目的を説明します。
市場の把握
まず競合分析・調査の初歩的な役割は、市場を正確に把握することです。市場がどの方向を向いていて、取扱商品がどの程度のシェアを占めるのかなどは、自社にとっての死活問題です。そのうえで、市場を反映した商品販売を展開し、顧客ニーズに差別化を加えてサービスを提供します。
商品やサービスの差別化をしない売り方は、最終的に他店との価格競争になってしまい、中小・零細企業にとっては不利となってしまうでしょう。競合分析・調査でその差別化に必要な点を一度明らかにしておくのです。
自社の改善(強み・弱みの把握)
市場の把握ができたら、分析結果から改善を試みます。特に問題や課題のある部分の事業改善は優先して実施します。自社にある強みと弱み、他社が強みとしているところなどを比較して、自社の強みを展開していけるような改善策を生み出すためにも必要です。
経営判断の材料にする
以上の競合分析・調査は自社の方針に照らし合わせて、経営者や担当者が今後の運営方針を判断するための材料となります。ECサイトをどのように集客して、どこを目立たせてブランディングしていくのか、すべては経営判断にかかっています。
その際に、何の判断材料もなく決定すれば、判断を間違って事業に失敗することも多いですが、客観的なデータをもとに調査・分析をして、そこを根拠におくことによって、リスクの少ない(成功に向かうため)の判断を下せるのです。
また、担当者がプレゼンなどで経営者を説得するケースでは、主観的な感覚論よりも客観的なデータに基づいた説得のほうが効果は高いでしょう。
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失敗しないECサイトにおける競合分析・調査の進め方
競合分析・調査の意味や目的がわかったところで、競合分析・調査の進め方についても流れを各ステップにわけて説明します。また、各ステップでどのような調査・分析を進めるのかについても解説します。
ステップ1.目標を定める
最初に競合分析・調査をスタートさせるための目標(終着点)を決めます。例えば、現在のままECサイトを構築したとして集客は成功するのか、価格帯やブランドの勝負で勝てるのか、などを明らかにするところまでと決めるのです。
そうすれば、際限のない調査ではなくなり、おのずと範囲が絞られ、調査の手間も費用も抑えられます。特に調査規模と時間、調査範囲、分析手法などはあらかじめ決めておくと効率がよいのです。
ステップ2.他社のピックアップと分析項目の決定
次に、競合分析・調査のメインとなる競合他社のピックアップと分析項目を決めます。ECサイトの場合はメインキーワードとなる検索上位の通販サイトや広告などで集客を図るサイトを10社ほどピックアップします。
その後、分析項目として会社概要や顧客のターゲット層、顧客ニーズ、価格相場、ブランディングの仕方、アフターサポートの体制、ECサイトのコンテンツ(SEOや運営のあり方など)を項目に加えます。どの項目を最終的に調査するかは、自社の知りたい情報(差別化の部分)とすりあわせて決定しましょう。
ステップ3.競合を実際に調査
調べる相手と調査項目が決まれば、あとは号令一つで調査を開始できます。手動調査にツール使用を念頭に置いた調査など、競合他社を徹底解剖します。表面的な調査で不明な部分は、実際にサービスの利用などを通じて覆面調査やアンケートの調査形式にすると効率的でしょう。
ステップ4.ツールの使用とフレームワーク分析
競合分析・調査はたとえ数社の調査であったとしても、かなりの労力を必要とします。検索エンジンを調べて、SNSに他社のSNSまでとなれば「手軽に調査しよう」とはいきません。それに一般の検索エンジンから流入するだけのSEO調査とは根本的に異なり、デジタル広告にまで調査範囲は及びます。それを個人の労力だけで網羅するのは大変なことです。
そのため、後で紹介するツールが使えそうなところは使用して、作業を効率化します。さらに、フレームワーク分析に当てはめることで、チェックリストにした数字や文章だけではわからない、具体的なマーケティングの調査結果を比較分析込みで明らかにできます。
競合分析・調査に役立つツール
最後に競合分析・調査に役立つようなツールを以下に取り上げて、ツールの概要や機能、魅力などを簡単に紹介します。
SimilarWeb
マーケティング分野でも有名な「SimilarWeb」は、強豪の調査・分析をURL入力から簡単に行えるWEBサイト向けの調査ツールです。検索サイトから見つかるサイトの傾向やターゲット分析などが可能です。
また、Googleアナリティクスと連携させることでさまざまな調査結果を表示し、検索キーワードなどを詳細にチェックすることもできます。総じて、SNSや上位キーワード表示、さまざまなカテゴリの業界分析などをまとめて表示するのです。効率的な競合分析・調査に役立つツールです。
ユーザーテストExpress
課題を明らかにして、数値だけではわからないことを調べてくれるのが「ユーザーテストExpress」の特徴です。URL入力後にモニタの条件選定で具体的に調査を作成し、被験者を集めてアンケートが完了するのを待ちます。
結果的に調査労力を削減・効率化して知りたいことを具体的に形にし、自社の問題や課題、他社の強みを発掘するという魅力があるのです。特に顧客ニーズやターゲット層の特徴は、数字だけではわからない部分があり、それを補填的にカバーする意味でも使いやすいでしょう。
GRC
検索順位チェックツールとして2000年代から登場した代表的な調査ツールが「GRC」です。簡易な検索エンジンの競合サイトを調査するのに使われており、そのツールをECサイトの競合調査としても使うことができます。
調査対象の検索エンジンは「Google」・「Yahoo」・「Bing」の3つで、順位履歴や広告数、チャートグラフによる視覚的な表示機能などが特徴です。ボタン一つで実施できるため、大掛かりな最初の調査・分析に比べると、普段からSEOの競合調査・分析として取り組めるでしょう。
まとめ
今回は、ECサイトの競合分析・調査について、その概要や調査の目的、進めるときのポイント、役立つツールなどについて解説しましたが、いかがでしたか?
ECサイトは多くの競合他社が、特定の地域・エリアとは関係なく検索サイトやSNSなどで営業をしているため、他社に負けないよう差別化するためにも競合分析・調査は重要です。しかも商品やサービスの差別化には、調査結果から分析したものを自社に取り入れて改善する姿勢が必要でしょう。
しかし、競合分析・調査には手間やコストが掛かるものです。そこで効率化・簡易化してくれるツールも存在するため、普段のサイト分析などに取り入れてみましょう。
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