ライブ配信を活用したECが盛況です。
リアルタイム・双方向でコミュニケーションを取りながら商品を紹介する手法は「ライブコマース」と呼ばれ、多くの企業が成功事例を確立しています。
ただ、ライブ配信開始のハードルになるのが、人やコストの問題です。また使う媒体や手法が分からず、ライブコマースに二の足を踏む事業者も多いのではないでしょうか。
今回はライブコマースをこれから始めたい事業者に向けて、基本的な知識を解説します。ライブコマースの概要から成功する配信方法、おすすめの配信媒体も紹介しました。
ライブコマースの全体像を理解し、自社商品の販路を拡大するヒントとして活用してください。
目次
ライブコマースとはどのような販売手法か
ライブコマースは、ライブ配信と物販を組み合わせた新しい販売手法です。2017年頃から始まり、動画市場の人気とともに利用が広がっています。
有名インフルエンサーを起用し視聴者を集めるやり方が一般的で、1時間の配信で数億円を売り上げる事例もある規模に成長しています。
ライブコマースの出演者と消費者がリアルタイムでやりとりできる利便性は、販売側・購入側双方にとってメリットとなります。
はじめにライブコマースのやり方や市場概況を、簡単に解説します。
ライブコマース先進国・中国の市場概況
ライブコマースの先進国は中国です。
中国はライブコマースが盛んで、インターネット人口7.3億人のうち半数以上が「ライブコマースで購入した経験がある」との調査結果もあります。およそ3.6億人以上のライブコマースユーザーがいる計算になります。
また、中国のライブコマース市場は2021年には1兆9,950億元(約33兆9,150億円、1元=約17円)に達すると見られています。
(※ 画像:ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国) | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ)
2019年の新型コロナウイルスによる外出規制は、中国国内にライブコマースを急激に普及させるきっかけになりました。
中国でライブコマースが人気を獲得した背景には、偽物が一般的に販売されていたという文化的な背景があります。
偽物をつかまされたくない消費者は、信頼できる人から購入しようとします。「有名なインフルエンサーが配信するライブコマースなら、怪しい商品は紹介しないだろう」「このインフルエンサーが勧める商品なら、安心して買えるだろう」という心理が、購入の後押しとなるわけです。
また中国には、ライブコマースとの親和性が高い土壌があったことも、急激に普及した要因です。
中国ではもともと、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーが人気を博していました。
KOLはさまざまなイベントを開催し、多くの人を集め集客力を高めます。
後にKOLのファン層がKOLが配信するライブコマースに移行し、ライブコマース全体の利用者を増やしたと見られています。
日本国内のライブコマース事情
日本でも、2017年ごろからライブコマースが始まりました。ただし、中国を始めとする諸外国のように、急激な一般化は見られていません。
「世界8都市オンラインショッピング利用調査2023」によると、ライブコマースでの購入経験がある人・知っている人の割合は、主要8都市中で東京が最下位となりました。
(※ 画像:「世界8都市オンラインショッピング利用動向調査2023」|トランスコスモス)
ただし、コロナ禍の巣ごもり需要が、ライブコマースの認知と利用を後押ししたと見る向きもあります。
国内のEC市場は堅調な伸びを続けており、利用者にとってのメリットも大きなライブコマースは、これからに期待が持てるといえます。
ライブコマースの基本的なやり方
ライブコマースの基本的なやり方は、以下の4ステップです。
<ライブコマースの基本手順>出演者を選定配信売上集計分析 |
ライブコマースは、ライブコマースが可能なプラットフォームを利用して配信します。ユーザーが多く無料で利用できるSNS(Instagram、YouTubeなど)には、すでに成功しているライブコマース配信も多数あります。
ライブコマースのやり方について詳しくは後述します。
ライブコマースの成功実例
日本でいち早くライブコマースを導入し、成功した企業の実例を5つ紹介します。
ターゲット層に合わせた配信手法に注目してみてください。自社の販路拡大のヒントがきっと見つかります。
ユニクロ
「ユニクロ」は、2020年からライブコマース「UNIQLO LIVE STATION」を定期的に実施しています。累計視聴者数は1,000万人を超え、国内でも有数規模のライブコマース規模を誇ります。
ユニクロのライブコマースは、ユニクロの衣料品を実際に着用したモデルが登場します。服の特徴や着心地、おすすめのコーディネートやシーンを解説するスタイルです。
ファッションモデルやインフルエンサーのほか、その道の著名人が登場することでも知られています。タレントやアウトドア専門スタイリストが登場したこともありました。
リアルタイムで寄せられる視聴者の質問や悩みにも対応し、売上を伸ばしています。
無印良品
人気雑貨店である「無印良品」のライブコマースは、商品の紹介にプラスアルファされた情報が人気の秘密です。
日々の生活に活かせる知識を商品と一緒に紹介することで、視聴者はその商品を手に入れた未来をリアルに想像できるようになります。商品を手に取りたい気持ちが強くなり、購入の動機になるという仕掛けです。
過去には次のようなお得情報がありました。
- 【刺繍アレンジ企画】プロに学ぶ簡単で楽しいアルファベット刺繍
- 【開発担当に聞く】スキンケア用品の選び方
- リネンを長く楽しむコツ
無印良品のライブコマースには、実際に店舗で働くスタッフも登場します。
ニトリ
「ニトリ」は毎月、ライブコマースを配信しています。売上高が伸びる背景には、ライブコマースでニーズに合った商品を紹介し、購入を促した効果もあるといわれています。
ニトリが取り扱う商品は家具や生活用品がメインです。実際の使い心地やサイズ感、便利な使い方などは、ECサイトだけでは紹介しきれません。
そこでライブコマースでは、消費者が気になるちょっとしたポイントを徹底的に解説しています。
CMやWebで話題になったトレンドテーマを取り上げるキャッチアップ力にも長けています。
またライブ配信中にクーポンを配布するなど、ユーザーの購入を促進する工夫も評判です。
しまむら
トレンドを押さえたアイテムを低価格で提供し、人気を博している「しまむら」もライブコマースで成功した企業です。
しまむらは自社スタジオを利用し、人気インフルエンサーを起用して配信しています。ターゲットに合わせたインフルエンサーの選定やコラボ商品の開発がヒットし、完売商品が続出しました。着用感や素材感、サイズ感がわかりやすいと評判となっています。
しまむらのEC売上高は、2023年2月期で41億円(前期比46.4%増)です。アパレル各社が苦戦する中、ライブコマースの人気が下支えになっていることは否めません。
ミルボン
「ミルボン」は美容業界向けの製品を提供するメーカーです。美容室専売品が主力製品だったために、品質が良くても一般消費者に届きにくいという悩みを抱えていました。
その課題を解決すべく導入したのが、ECサイトとライブコマースです。「わざわざ美容室に行かなくても、お気に入りのシャンプーが買える」という利便性から、会員登録が予想以上の伸びを見せました。
ライブコマースでは、店頭では不可能なリッチな接客体験に重きを置きます。美容室では説明しきれない細やかな解説や、納得いくまで対応する質問対応が購買意欲を掻き立てました。
今後は美容室の店頭販売と、ECサイト・ライブコマースが補完し合う仕組みを目指しています。
ライブコマースを導入するメリット
ライブコマースのメリットは何でしょうか。「インターネットを利用した販売手法」という共通点があるECサイトと比較しながら、ライブコマースならではのメリットを解説します。
メリット1.商品の魅力を多方面から伝えられる
テキストと画像がメインのECサイトより、伝えられる情報量が圧倒的に多いのがライブコマースのメリットです。
ライブコマースは動きと音、身振り手振りを加えて商品紹介ができるため、視聴者にECサイト以上の情報を伝えられます。
◎ アパレルなら…素材の透け感やサイズ感、風が吹いた時の広がり方、着脱のしやすさ、全体のバランスまで ◎ コスメなら…アイテムごとの微妙な色の違い、ラメのきらめき具合、伸び方、ボリュームの出方まで |
また出演者が自分の言葉で伝えるため、視聴者にとって説得力のある訴求ができます。
年代が近く親近感を持てるインフルエンサーの言葉のほうが、公式サイトの商品説明よりリアルな商品情報として視聴者に届きやすいでしょう。
メリット2.視聴者と双方向コミュニケーションが取れる
ライブコマースは、リアルタイムに視聴者と双方向のコミュニケーションが取れます。コミュニケーション機能を使い、商品に対する質問や問い合わせをその場で解決できる点がメリットです。
「その場ですぐに疑問を解決できる」スピード感は、視聴者の購入意欲喚起に役立ちます。
ECサイトでは、問い合わせと回答にタイムラグが生じます。「メールフォームに記入して送信する」「ショップからの回答を待つ」「回答を見て購入を検討する」といった工程ごとの時間経過とともに、購入意欲が減退することは珍しくありません。
またメールフォームへの記入が面倒で、そもそも問い合わせをせずに購入を見送る消費者もいます。
チャット感覚で気軽に問い合わせができるライブコマースは、販売者と消費者の双方に利便性をもたらします。
メリット3.インフルエンサーの影響力を活用できる
ライブコマースで起用するインフルエンサーは、独自のファン層を持っています。
自社がまだ開拓できていないターゲット層をファンに持つインフルエンサーを起用すると、どうなるでしょうか。
インフルエンサーを目当てにライブ配信を視聴した人にも、自社商品を知ってもらうチャンスを獲得できます。
インフルエンサーにとっても露出の機会が増えることは、メリットになります。新しいジャンルの商品と接点が生まれれば活躍の機会が広がり、さらに影響力を増せる可能性があるためです。
ライブコマース導入に当たっての注意点3つ
ライブコマースを始める前に、配慮すべき注意点が3つあります。
ライブコマースは誰でも簡単に始められる一方で、ミスやトラブルが起きやすいことを肝に銘じましょう。
これから解説する注意点を踏まえ、配信成功への一歩としてください。
注意点1.配信トラブルが起きないよう細心の準備が必要
ライブコマースは生放送です。
アーカイブとして録画を後から視聴できるようにする仕組みもありますが、あくまでリアルタイムの配信が基本である点を押さえましょう。
「通信回線が不調で配信が途絶える」「機材トラブルで配信を中断せざるを得ない」といった不手際は、視聴者の信頼を失います。
また出演者が慣れていないと、言葉に詰まったり、商品を間違えて紹介したりといったミスも起こりえます。
回線や機材は十分に点検して万全を期し、出演者には台本を渡しておくなど、トラブル回避策を徹底しましょう。
注意点2.事前に告知し集客しておくことが必要
ライブコマースは集客が命です。いくら配信しても、視聴者がいなければ売上に繋がりません。
ライブコマースを配信する前に、視聴者を集めるあらゆる手段を講じておきましょう。
<ライブコマース視聴者を集める方法>
- プレスリリースを配信する
- メルマガで会員に周知する
- SNSでフォロワーに告知する
- 公式サイトで開催予告をする
単に配信予告をするだけでは、爆発的な集客は期待できないかもしれません。「ライブ配信で使えるクーポンを配布する」「限定セールを予告する」といった、視聴者にとってのベネフィットもあわせて知らせると効果的です。
注意点3.出演者のパフォーマンスに注意が必要
ライブコマースで起用したインフルエンサーやスタッフへの注意喚起も大切です。「不用意な言動をしない」「炎上しそうな発言は慎む」といった、基本的な対応を指導しておきましょう。
現代はSNSで簡単に拡散・炎上する時代です。ライブ配信の内容が炎上すると、簡単にブランドイメージが傷ついてしまいます。
また配信前に、出演者が十分に商品を理解しておくようにしましょう。商品を紹介する人が商品を正しく理解していないと、意図せぬ説明・誤った説明をしてしまう危険があります。
理解できない説明や正しくない情報は視聴者の不信感を招きます。
【4STEPで解説】ライブコマースの始め方
「ライブコマースを始めて、販路を拡大しよう」と思っても、何から手を付ければよいかわからず困るかもしれません。
ここからは初めてライブコマースを導入する人がすべき、事前準備を解説します。
ライブコマースに必要な準備は、全部で4ステップです。一つひとつ、チェックしていきましょう。
STEP1.配信するプラットフォームを選定する
まず、ライブコマースを配信するプラットフォームを選定します。
ライブコマースが可能なプラットフォームは、2つに大別できます。
- ライブコマース専用のツール
- SNSのライブ機能
専用ツールを使うと、配信から決済まで他のページに遷移せずに完了できます。視聴者にとっての手間が少なく、離脱のリスクを減らせる点がメリットです。
ツールによって使える機能が異なるため、自社の商品に適したツールを選んでください。
SNSのライブ機能は、ショップのアカウントからすぐに配信が可能です。フォロワーへの告知も容易で、視聴者も使い慣れているというメリットがあります。
できるだけ初期費用をかけずにライブコマースを始めたい人は、SNSの活用を検討してみましょう。
STEP2.出演者(インフルエンサー)を選定する
ライブコマースは「誰が配信するか」が大切です。
<ライブコマースの出演者>
- インフルエンサー
- 社員・スタッフ
インフルエンサーへの依頼は、出演料がかかります。一方で、インフルエンサーが持つファン層に訴求できるメリットもあります。
インフルエンサーに出演を依頼する場合は、商品の特性に合う人材を選定しましょう。
社員・スタッフが配信を担当しても構いません。商品をよく理解しており、視聴者からの質問にも詳しく返答できるでしょう。
ただし慣れないうちは良くも悪くも「素人っぽさ」が出ます。トークが間延びし、視聴者を飽きさせることがないよう、事前に十分練習を積むことをおすすめします。
STEP3.購入までの導線を設計する
ライブコマース配信中に、スムーズに商品購入できる導線を整えます。導線が不明瞭だと視聴者の購買意欲を削ぎ、販売機会を逸しかねません。
またライブコマースとECサイトを連携させておく準備も大切です。ライブコマースのセール告知バナーをECサイトにも設置するなど、見る人にとってわかりやすい導線を確立しましょう。
STEP4.販売する商品を決定する
ライブコマースで販売する商品を決定します。
現在のライブコマース市場では、アパレルや雑貨、化粧品などが盛況です。これはライブコマースと親和性が高いためです。
ただし、これ以外の商品はライブコマースでは売れないというわけではありません。アウトドアや家電、家具などさまざまなジャンルの商品も参入を始めています。
今後はより多くの商材が、ライブコマースで販売されるようになると考えられます。
ライブコマースと相性の良い商品
ライブコマースと商品の相性は、以下のようにまとめられます。
- 相性◎⇒商品の効果がわかりやすい/見栄えが良い
- 相性△⇒商品の効果がわかりにくい/映えない
アパレルや化粧品は、ライブコマースで訴求しやすい商品の代表例です。華やかで見栄えが良く、商品の使い方や効果がよく伝わるためです。
一方、健康食品は長い期間摂取して、はじめて効能を実感できる商品です。ライブコマース1回の配信で効果の実感を表現することは難しく、ライブコマースとの相性はイマイチです。
ここではライブコマースと特に相性の良いジャンル3つと、その理由を解説します。
アパレル
アパレルがライブコマースと相性が良い理由は、次の3つです。
- 季節ごとに新作商品が出る
- カラフルで見栄えが良い
- 視聴者に伝えるべき情報が多い
毎年のトレンドがあり、季節ごとに新商品が出るアパレルは、新鮮な情報に満ちています。
商品もカラフルで見栄えが良く、視聴者を飽きさせません。
さまざまなコーディネートや着心地など、伝えるべき情報が多い点もライブコマースに向いています。
コスメ・化粧品
コスメや化粧品は、次の3つの理由でライブコマースとの相性が良いです。
- 店舗さながらの接客体験を提供できる
- 新商品が多く、伝える情報が多い
- 出演者が伝えられるオリジナル情報が多い
テクスチャや使用感は、実際に使わないと実感できません。ECサイトでは伝えきれない細やかな部分までリアルに伝えられるライブコマースは、コスメ・化粧品ジャンルと相性抜群です。
出演者がメイクやカバーの仕方、トレンドのメイクアップのコツなどを実演しながら伝えられ、購入以上の価値を提供しやすい点もライブコマースならではのメリットです。
百貨店・雑貨用品
百貨店や雑貨用品店は、多くの種類の商品を扱っています。
季節やトレンドにあわせてテーマ設定し、ライブコマースをコンテンツ化できる強みがあります。
複数企業の同じ商品を比較したり、地域に合わせた情報を提供したりと、幅広くライブコマースを活用しています。
今後、さまざまなジャンルに広がる可能性大
これまでライブコマースは、相性が良いといわれる業界が先行的に活用してきました。
ただ、近年は消費者の購入チャネルの多角化が激しい時代です。ライブコマースの認知が広がり、さまざまなジャンルが参入し始めています。
すでにグルメや生活家電、キャンプ・アウトドアなどの業界が、ライブコマースを始めました。
今後もより多くのジャンルの参入が予測されており、ECサイトと並ぶ購入チャネルになる可能性も秘めています。
ライブコマースを成功させる5つのポイント
ライブコマースは、ただ配信しても成功しません。成功させるには、コツがあります。
ライブコマースを成功に導く、大切な5つのポイントを解説します。
双方向コミュニケーションであることを意識する
ライブコマースとECサイトの最大の違いは、双方向性の有無です。ライブコマースは視聴者とリアルタイムでコミュニケーションできる強みを、十分に踏まえましょう。
視聴者は、リアルタイム・双方向のコミュニケーションを期待してライブコマースを利用します。期待通りのやりとりができればエンゲージメントは向上します。
ライブコマースでは、テレビショッピングのような一方的な配信では成功しません。
出演者も双方向性を積極的に楽しみ、双方向だからこそ成立するコンテンツを用意しましょう。
- 視聴者に向けて話す
- 名前を呼びかける
- ライブ感を醸成する
これらの工夫は、ライブコマース成功に欠かせない前提です。
出演者に商品・サービスを十分に理解してもらう
タレントやインフルエンサーなど、自社スタッフ以外の人材を出演させる場合は、商品について事前に十分な理解を求めます。
ライブコマースに出演する人の役割は、商品やサービスの魅力を視聴者にわかりやすく伝えることです。最終的にはコンバージョンが目的であり、楽しい配信にすることは目的達成の一つの手段に過ぎません。
商品の特徴やメリットを、魅力的に伝えられる知識を持っているかチェックしてから出演してもらうようにしてください。
もし理解が不十分だと視聴者からの質問にスムーズに答えられず、商品や配信への信頼が低下します。
ブランディングに合ったコンテンツ作りを心掛ける
出演者やコンテンツは、自社のブランドに合致したものを選びましょう。
視聴者は、ブランドから連想できる内容の配信を期待します。期待を裏切られればエンゲージメントは低下し、コンバージョンには至れないでしょう。
ただし、ブランドと異なるイメージをあえて打ち出す戦略を採用する場合もあります。想定される視聴者の反応が理想通りか慎重に検証した上で、配信を決定しましょう。
配信時間・頻度に注意する
ライブコマースの配信時間は、ターゲットに合わせて決定します。一例を見てみましょう。
ターゲット | 配信時間 | 理由 |
---|---|---|
ビジネスマン | 平日の昼頃、夜間 | 仕事の昼休みや終業後の視聴を期待 |
主婦・シニア | 平日の日中 | 家族が不在の自由時間に視聴を期待 |
学生 | 深夜、土日 | 学校やアルバイトがない時間帯の視聴を期待 |
配信頻度は、多すぎても少なすぎてもいけません。一般的に、週に1~2回行っている企業が多いようです。
タイミングを変えつつ数回配信し、ベストな時間帯と頻度を見つけてください。
ライブコマースの拡散を狙う
せっかく配信するライブコマースです。より多くの人に見てもらい、販売チャンスを増やせる施策を打ちましょう。
ライブコマースはSNSと親和性が高く、拡散を期待できます。事前告知だけでなく「配信中」というメッセージを流す、リツイートを条件にクーポンを発行するなど、拡散による視聴者増加を目指しましょう。
ライブコマースができるアプリ・サービス11選
これからライブコマースを始める場合に、おすすめしたいアプリ・サービスを厳選して11個紹介します。
それぞれの特徴やメリットを理解し、自社と相性の良いサービスを見つけてください。
Instagramにあるライブ配信機能を使い、ライブコマースを始められます。アカウントを持てば無料で配信でき、開始までのハードルが低い点がメリットです。
Instagramは若者からシニアまで、幅広い年齢層の人が利用しています。もともと視覚コンテンツをコンセプトとしており、見映えの良いライブコマースとの相性もばっちりです。
フォロワーが視聴者となる可能性があり、スタート直後から視聴者を集めやすいのが特徴です。ライブ配信画面にもEC商品のタグ付けができ、購入までの導線もシンプルです。
YouTube
YouTubeでは、YouTube Liveという機能でライブコマースを配信します。利用料は無料です。ライブコマースの配信にチャンネル登録者数の基準などはありません。アカウントを持っていれば、誰でも始められます。
膨大なYouTubeのユーザーが潜在的な視聴者になるため、視聴者を集めやすい点がメリットでしょう。YouTubeのユーザーは動画コンテンツに魅力を感じて集まっているため、ライブコマースへの関心も高く自然に視聴が始まりやすい特性があります。
資格要件(※)を満たせば、ライブ配信に商品のタグ付けも可能です。
※資格要件には「ブラジル、インド、イギリスまたはアメリカを拠点にしている」との項目があります。拠点が日本の事業者は、タグ以外の手法でECサイトに誘導します。
LIVE BUY
LIVE BUYは、LINEが提供するライブ配信ツールです。月間ユーザー数9,500万人ともいわれるLINEのユーザーに向けて、ライブコマースを配信できます。
LIVEBUYは、配信から決済までLINEの中だけで完結できるシンプル設計が魅力です。商品代金の支払いにはLINE Payが利用でき、ユーザーの手を煩わせません。
配信前後に公式アカウントで、配信に関する情報を提供して集客することも可能です。
LIVEBUYの開始には、LINE公式アカウントが必要です。LINE公式アカウントを取得した上で、LIVEBUYの出店申請を済ませると配信できるようになります。
LIVEBUYの出店申請には発行から3ヶ月以内の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が必要です。時間的に余裕をもって準備を進めましょう。
Live Commerce force
Live Commerce forceは、InstagramやTwitter(現X)を使ったライブコマースのパフォーマンスを向上させるツールです。
ライブコマースで起こりうるフェーズごとの問題点をピンポイントで解決する機能を搭載しています。
注目すべきは「残したいデータを残せる」点です。ライブコマース視聴者のコメントログの保存や顧客の追随など、通常配信では消えてしまうデータを蓄積します。
定量・定性の分析精度が高まり、ライブコマースの訴求力向上に貢献します。
https://livecommerceforce.livuru.jp/
TIG LIVE
TIG LIVEはライブコマースに特化した、配信プラットフォームです。同一Webサイト内で、配信から購入まで完了できる点が強みです。
SNSやアプリを使ったライブコマースは、商品を購入する際に別のサイトに遷移させなければなりません。この遷移が厄介で離脱するユーザーの存在が、デメリットでした。
TIG LIVEはライブコマース専用に設計されているため、ユーザーはライブ視聴しながら同一サイト内で商品購入が完了します。ユーザーにとっては手間が軽減され、配信側にとっては離脱を防げる点がメリットです。
ただしSNSのように、はじめからフォロワーがいる状態で配信はできません。TIG LIVEを利用する場合は、集客戦略が重要になります。
https://www.paronym.jp/tiglive/
HansUP
HansUPはライブコマース初心者に嬉しい機能が揃った、配信プラットフォームです。
HansUP内でECストアを立ち上げられ、ライブ配信、購入、セールスプロモーション機能も整備されています。直感的に操作できるUIは、ライブコマースが初めてでも使いやすいと評判です。
複数のSNSを使ったライブコマースの同時配信も、HansUPなら実現できます。SNSのフォロワー数が多い企業が利用すれば、より多くのユーザーに効率良くアプローチできるでしょう。
SHOPROOM
低年齢層をターゲットとする事業者におすすめなのが、SHOPROOMです。ライブ配信のプラットフォームであるSHOWROOM内のサービスで、アイドルやアーティストの関連商品などがよく紹介されています。
SHOPROOMは、若者層に人気のインフルエンサーやタレントを起用したライブコマースとの親和性が高めです。出演者とのやり取りを楽しんだり、出演者のオリジナル商品が好まれたりする傾向があります。
https://www.showroom-live.com/shoproom
LIVEPARK
視聴者がインタラクティブに参加しやすいライブコマースを作りたいなら、LIVEPARKがおすすめです。
LIVEPARKは、配信中のコミュニケーション機能の充実に定評があります。
ライブコマースコンテンツの企画や配信のサポートサービスがある点も、LIVEPARKのメリットです。東京都渋谷区にあるスタジオの利用も可能です。
優良顧客に限ったプレミアム配信をしたい場合は、コードを発行して入場を制限する機能を利用しましょう。社内のセミナーやイベントにも利用できます。
ライコマ
ライコマは、ECサイト・カートとの連携機能に優れたライブコマースツールです。自社ECサイトに埋め込んでのライブコマースが可能で、配信画面とカートへの追加が同時にできます。
ユーザーの画面遷移が少なくて済み、シームレスなUXを実現します。また離脱防止に効果的です。
ライブコマースを息の長いコンテンツに育てるために、コンサルティングサービスも実施しています。コンテンツの作成から配信、顧客の追随まで、ライブコマースとマーケィングのプロがアドバイスします。
楽天市場ショッピングチャンネル
楽天市場に出店している事業者なら、楽天市場ショッピングチャンネルを導入してみませんか。
楽天市場ショッピングチャンネルは楽天市場内のショップページで、ライブコマースができるサービスです。楽天市場内の配信のため、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなどのイベントと連動可能。販売チャンスを最大化します。
ライブコマース限定のクーポン配信も、ユーザーからの注目度が高いおすすめの施策です。
https://event.rakuten.co.jp/campaign/live-shopping/shop/
Abema Shopping
インターネットテレビ局「Abema TV」内で配信されているライブコマースです。
商品を紹介するのは芸人や声優、タレントである点が特徴的。番組内では本気の商品紹介合戦が展開され、互いに販売数を競い合います。販売戸数はリアルタイムで表示され、番組を盛り上げます。
Abema Shopping自体のエンタメ要素と集客力が強い点がメリットです。視聴者を惹きつけて飽きさせない工夫が満載で、新しい販路が開拓できるかもしれません。
ECサイトのライブコマース導入ならライフエスコートにご相談ください
本場、中国ライブコマース企業とのタイアップの実績があります。
ライブコマースプラットフォームのご提案、企画づくりから撮影、LP制作、キャスティングのお手伝いまで一貫して対応できます。ライブコマースの取り組みがしたいけれども、何から始めればよいか分からないという企業様も安心してご相談いただけます。
私たちと一緒に新しい取り組みを始めてみませんか。
まとめ
ライブコマースはSNSや専用ツールのライブ配信機能を利用して、視聴者とリアルタイム・双方向でコミュニケーションを取りながら商品を紹介する販売手法です。
インフルエンサーやタレントを起用し注目を集めることが可能で、新しいターゲット層や販路の開拓にも効果が期待できます。
ライブコマースの成功には、魅力的なコンテンツの作成や集客、購入導線の明瞭さなど、いくつかのコツがあります。
初めてのライブコマースでやり方に困ったら、ぜひプロのサポートを頼りましょう。
ライフエスコートはECサイトの解説からライブコマースの導入、配信結果の分析、顧客の追随まで一気通貫でサポートします。
まずはお気軽にお問い合わせください。
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