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スマホと一眼レフの写真の違いとは? プロが教える使用シーン毎での使い分け

自社のECサイトに掲載する写真を、スマホで撮影していませんか?

皆さんが普段持ち歩いているスマホは、簡単かつ気軽に写真や動画を撮影できます。最近は「三眼スマホ」と呼ばれるスマホも登場し、スマホの画質は年々向上しています。そのため、「スマホで十分だから、一眼レフカメラは必要ない?」と思っている方も多いのですが、実はスマホと一眼レフカメラには機能面で多くの違いがあります。

今回は、弊社スタジオに在籍しているプロカメラマン達の視点から、さまざまな違いやシーンによるスマホと一眼レフカメラの使い分けまでを詳しく解説していきます。「自社の商品やサービス紹介をより良く見せたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

一眼レフとスマホの大きな違いは3つ

一眼レフカメラ(以降、一眼レフ)とスマホには、機能や撮影する仕組みなど数多くの違いがあります。まずは、代表的な3つの違いを主にご紹介します。

1.光を受け止めるセンサーの大きさ

基本的に、カメラは光を取り込み、取り込んだ光を「センサー」で画像に変換するという仕組みです。そのため、センサーはカメラの心臓部とも呼ばれています。センサーのサイズが大きいほど、より広範囲で光を受け止めることができ、高画質の写真になります。

図のように、一眼レフのセンサーの大きさは、フルサイズで35mm(36mm×24mm)、またはAPS-C(23.6mm×15.mm)。対して、スマホのセンサーは1/ 3インチ(4.8mm×3.6mm)程度です。本体の厚みによって、大型化は難しいとされています。ただし、三眼スマホが登場したように、スマホのセンサーサイズは今後大型化していくとみられます。

CCDイメージセンサーとは?

CCDイメージセンサーの「CCD」とは、昔のカメラで言うと「フィルム」にあたります。CCDは、受け取った光の信号をそのままバケツリレーのように運び、出力時に電気信号に変換します。そのため、ノイズの影響を受けやすく、画像処理後の色の豊かさや劣化具合などは、このCCDの大きさに左右されます。

CMOSイメージセンサーとは?

「CMOS(シーモス)」と呼ばれるイメージセンサーは、CCDよりも電気信号の高速転送が可能なセンサーです。そのため、電気によるノイズを抑えられるほか、明るい場所で写ってしまう縦すじ(=スミア)や、強い光によって画面が白く抜けてしまう(=ブルーミング)現象が発生しません。

※注:あくまで極端なイメージです

CCDよりも安価かつ消費電力も低いので、現在は多くの一眼レフで採用されています。また、これまで一眼レフはCCDと CMOSが、スマホはCCDの搭載が一般的でした。しかし、三眼スマホではCMOSイメージセンサーが採用され、今後はさらに複眼化が進み、スマホの画質が向上すると予想されます。

【参考】
CCD or CMOS? −撮像素子の特長−|Tech Mag
CCD(撮像素子)の仕組み|Panasonic
CMOSイメージセンサーとは?|Nanotec Museum

2. ピント・手ブレ補正

ピントとは、カメラのレンズの焦点のことで、被写体にピントが合うと、鮮明な写真を取ることができます。ある部分にはピントが合っているが、ブレている部分もある「ピンボケ」がよくある、手ブレによって画像が綺麗に撮れない、といった声は多く聞きます。

ピンボケと手ブレ

一眼レフの場合、タッチでピントを合わせることが可能で、手ブレ補正も高性能です。また、魚眼レンズや望遠レンズなどに交換することで、焦点距離を調整することも可能です。一方、スマホのレンズは固定のため、撮影後に画像を加工しています。そのため、上の画像のように、一眼レフと似たような画像を残せるものの、粗い画像となってしまいます。

参考:基本はピント!ピンボケと手ブレの見分け方とは?|フォト アドバイス

3. ズーム

スマホのズームは、デジタル処理を行うため、遠景を撮影すると画像が荒くなってしまいます。一眼レフの場合は、レンズによって光学的に、まるで望遠鏡のようにズームができます。2でご紹介したとおり、被写体の距離に合わせてレンズを交換できるので、遠景もクリアに撮影することが可能です。さらに、レンズによって写真を写せる範囲(画角)も変わるので、撮影できる写真のバリエーションも増えます。

「競合他社の写真とは雰囲気を変えたい」という方は、一眼レフのレンズを換えながら撮影すると、オリジナリティーのある画像に仕上がるでしょう。

しかしながら、三眼スマホでは、スマホのズーム問題が解決されていると言われています。レンズを複眼にすることで、複数の画像を合成して画質を上げているほか、従来の2〜3倍の光学ズームも可能になったようです。

参考:スマホカメラに「3眼時代」到来 ズームの弱点を克服|NIKKEI STYLE

他にもある、さまざまな違い

価格

最新のiphoneSE 128KBで5万円、三眼スマホのiphone 11 proで8万円ほどです。一眼レフは低価格帯のNIKON D3500レンズキット(本体+レンズ)で、4万円程度です。より専門的な機材を揃えようとした場合、何百、何千万円する機種もあります。やはり高価なレンズは、高速かつ高精度でピントを合わせられるので、より解像度・画質が高くなります。

画素数

iphone 11 Proで約1200万画素、NIKON D3500で約2400万画素です。例えば、imacの最大解像度は1450万画素位なので、印刷をせず、画面に表示させるだけであればiphoneの画像で十分だといえます。

周辺機器

機材

一眼レフなどのカメラの周辺機器は、スタジオで使用するようなストロボや大型の三脚など、撮影をなるべくスムーズに進めるための専用品が主となります。その他、接眼目当てやストラップなど、撮影を楽にするための小物も豊富です。

また、スマホ(特にiphone)にも多様な撮影用周辺機器が発売されています。スマホ用三脚・望遠レンズ・ワイヤレスリモコンなど、中にはカメラの機能自体を向上するようなグッズも存在しますが、一眼レフの画質には及びません。

記録方式

意外と大きな差を生むのが、記録方式の違いです。一眼レフには、JPEG以外の拡張子による無圧縮で撮影する方式があり、画像&映像処理をしても画質が悪くなりづらい(=画像処理耐性が高い画像が撮影できる)という特長があります。

スマホの場合、基本的に撮影した画像はJPEGで圧縮状態になります。パッと見た感じでは綺麗ですが、画像処理耐性が低い状態の画像と言えるでしょう。

そのため、プロは撮影後の画像処理を見越して、カメラ内で画像処理がされないニュートラルな画像を撮影します。スマホでも、アプリを使って無圧縮撮影はできるのですが、一眼レフほどの画質にならない上、データ量が重くなるため、後々画像処理が必要になります。スマホの折角の汎用性が低下してしまうので、あまりおすすめできません。

耐久性・耐水性

落下などに対する耐衝撃性や、暑さや寒さなどに対しての耐性などは、通常の状態であれば一眼レフに分があります。ただし、強度のあるカバーを使用すれば、スマホも耐久性を大きくアップさせられます。

一方で、雨の日や水中への落下などに対する耐水性の面では、スマホが優れています。一眼レフ全般に言えることですが、あくまで機械のため防水性能はありません。そのため、雨の日や水際での撮影には、注意が必要です。スマホの場合は、日常で使うことが想定されているため、数多くの機種に防水性能が備わっているようです。

このように、一眼レフとスマホにはさまざまな違いや機能差があります。これらを踏まえて、一眼レフ・スマホそれぞれに向いている撮影シーンをご紹介します。

一眼レフでの撮影がおすすめなシーン3つ

シーン1. 対象との距離がある撮影

野鳥にカメラを構える姿
被写体との距離が長く、ズームして撮影しなければならない場合、望遠レンズを取り付けられる一眼レフが有利となります。
スマホにも、背景をボカしたり、被写体に合わせた撮影モード・アプリはあるものの、ボケ感を撮影後に作り出しているため、平面的だったり不自然な画像になる場合があります。そのため、野鳥や動物、スポーツや鉄道などを撮影したい方は、一眼レフで撮影するのがおすすめです。

シーン2. 暗い場所での撮影

暗所撮影例

夜景やイルミネーションなどの撮影は、特にセンサーのサイズが影響しやすいシーンです。暗い場所で写真を撮って、画像にギザギザとしたノイズが表示されたことはありませんか?一眼レフの場合、センサーで光を多量に取り込めるため、ノイズは少なく、明るく綺麗に撮影することができます。スマホの場合は、一眼レフに比べるとノイズが多いのですが、HDR機能を使えば、それなりに綺麗な画像を撮影することもできます。

シーン3. 背景をボカしたい、小物の撮影

ポートレート

小物を一眼レフで撮影すると、自然なボケ感で、ふんわりと綺麗な印象を生み出すことができます。スマホでは背景がボケず、全体的にごちゃごちゃした印象になりがちです。そのため、自社の商品の使用例などを撮影する際も、一眼レフを用いると良いでしょう。

スマホが向いている撮影シーンもある

明るい環境で対象があまり動かないシーンが得意

最近のスマホのCCDと画像処理の能力は素晴らしく、明るい環境であれば一眼レフと画質の差は少なくなっています。ある程度明るさのある風景や記録用の画像などを撮影するには、スマホが非常におすすめです。
また、近年は皆さん普段からスマホを使用して撮影したりされたりすることに慣れています。そのため、スマホ環境に抵抗がなく、人物撮影時にお互いあまり緊張しないで撮影できるでしょう。商品撮影をする際も、厳密な色の指定が無く、とりあえずスマホやWEBで形状を見せたいという程度であれば、スマホを活用してみてください。

店内やスペースの少ない場所での取り回しが良い

カフェで撮影している姿

スマホの大きな特長として、とにかく軽く小さい点が挙げられます。例えば、撮影可能なショップの中で大きな一眼レフを持ち出すよりも、スマホでサクサク撮影した方が良い場面は少なからずあります。また、カフェなどでちょっとした写真を撮る際にも、雰囲気を壊さないようスマホで撮影するのがおすすめです。

一眼レフとスマホかで迷ったら、画像の使用方法で決定する

最後に、一眼レフかスマホかどちらを使用するか悩んだ場合に役立つ、最終的な判断の目安をご紹介します。

写真展などの印刷や大型表示させる場合は「一眼レフ」

A4より大きいサイズで印刷する、大型ビジョンに投影する、美術品など、かなり正確な色を発色させる必要がある場合や緻密な画像処理が必要な場合、一眼レフを使用する方が良いでしょう。また、静止画ではなく、プロモーション用や映画のような動画を撮影する際も、同様の理由でスマホよりも専用のビデオカメラを使用した方が遥かに良い結果が得られます。

それ程大きくない表示先の場合は「スマホ」も可

SNSやスマホ向けのECサイトなど、スマホなどの画面で見るような画像の場合、スマホで撮影してしまった方が良いこともあります。スマホ~A4タブレットまでのサイズであれば、画面の解像度に限りがあるため、拡大しない限り一眼レフとの違いはそこまで感じ取れないでしょう。例えば、飲食店にあるB5程度のメニュー用の撮影などは、スマホでの撮影で十分な場合が多くあります。小さい間取りでオークション用の商品撮影をしなければならない場合も、スマホが向いていると言えます。他にも、簡単なインタビューや風景、インサート用の簡易な素材撮りなどもスマホで問題ありません。

撮影から掲載までの時間を含めて考えても、撮ってすぐにデータを加工・送信できるスマホの方が作業効率が高くなります。スマホはいつでも取り出すことができ、気軽に撮影できるのが大きな魅力です。大きく重い一眼レフを、無理して使用する必要はありません。ただし、競合他社の商品やサービスよりも高画質な画像を撮影・掲載したい場合には、一眼レフで撮影するのがおすすめです。

ネット通販の商品撮影で困ったらお気軽にご相談ください!

一眼レフを追いかける形で、スマホの機能も日々進化しています。最近は、高いカメラを使用すれば良いといった時代は終わり、撮影シーンに適宜対応しながら撮影する技術が大事な時代になっています。そのため、画像を使用する媒体毎に機材を使い分け、各々備わっている機能や操作性を駆使することが必要です。今回ご紹介した一眼レフ・スマホそれぞれの特徴を頭に置いて、シーンに合わせて使い分けてみてください。

ただし、何よりも重要なことは、どのような画像が「気持ち良いもの」なのかを周囲の人達と共有することです。例えば、クライアントを含む制作チームと広告用の撮影を行う場合、「流行り」や「流れ」を共有し、どのような仕上がりにしていくか、どんな要素が必要かを具体的に引き出すことが必要となります。また、SNSなどではどのようにセルフプロデュースしたいか、個々人が最後まで「自分」を通して絵作りを行ことが重要です。

株式会社ライフエスコートでは撮影技術提供のだけではなく、ニーズに合わせた機材提案や撮影フローの最適化なども行っております。ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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ABOUT US
多賀井隆之
2005年にEC支援フルサービスの提供をスタートのを皮切りに、2010年には完全自社で撮影できるスタジオ等を設立。実績は、一部上場企業ECサイト運用、輸入タイヤ通販会社経営、現在では別会社で小型家電をOEMで作りD2Cサイトを運営し、常にノウハウを検証しながら顧客へ売上改善、在庫最適化、作業効率化などを提供中

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