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出荷業務の効率化には倉庫との協力関係とシステム化が必要

こんにちは、株式会社ライフエスコートが運営する、ECサイトの開業、運用、マーケティング支援などの情報をお届けするお役立ちサイトEC-howtoです。

EC業務とは、「基本的にはネット上でお客様が購入した商品をお届けすること」をさします。一方で最近は、動画配信やSNSなどのコンテンツを販売することも一種のEC業務と呼ばれていますが、今回は「ネット上でお客様が購入した商品をお届けすること」について取り上げます。

EC業務と広くいっても、ECサイト自体の更新などの「ECサイト運営」、お客様がECサイトで注文した内容を確認する「受注数管理」、実際に商品を梱包して商品をお届けする「出荷業務」、そして商品の「在庫管理」、「商品登録業務」やお客様のレビューや質問に対して回答する「カスタマー対応」もあるでしょう。

主なECサイト業務
  • ECサイト運営
  • 受注数管理
  • 出荷業務
  • 在庫管理
  • 商品登録
  • カスタマー対応

その中でも今回は、特に課題が多いとされる「出荷業務」の際の倉庫との連携についてまとめてみます。

出荷業務にかかせない倉庫のシステム化

出荷業務にかかせない倉庫のシステム化

個人経営に近いお店の場合、お店の中で商品を梱包して運送会社に配送をお願いすることになりますが、一定以上の規模の会社であれば、店舗とは別に在庫を管理する倉庫をもっているのが一般的です。

そして商品を出荷するためには店舗と倉庫で緊密に情報共有して在庫を把握し、受注・発送までを行う仕組みつまり、倉庫をシステム化する必要があります。

マルチチャネルとは?

倉庫のシステム化で特に難しいのは、マルチチャネルの場合です。マルチチャネルとは、一言でECサイトと言っても自社サイトのこともあれば、楽天やYahoo!・Amazonのようなモールで出店してるケースもあります。売上を増やしていくために、自社サイトを運営しつつ、様々なモールに同時展開することは決して珍しいことではありません。ECサイトだけに限っても、複数の販売チャネルをもっているケースが一般的です。

さらに支店など複数の実店舗や他社への販売委託を行なっていることもあります。このように複数の販売ルートを持つことを「マルチチャネル」と呼びます。

マルチチャネル化を支えるシステム

マルチチャネル展開をしている場合は、どのようにそれぞれの受注を把握し、倉庫での在庫管理や発送をしているのでしょうか?

注文数が少量で、担当者が簡単に把握できる数量であればそれぞれのモールで対応すればよいのですが、一定以上の注文があるとどうしても処理しきれなくなります。

その場合は、受注データを一元管理できるような管理ソフトを導入して各モールと連携することで業務の効率化を図ることが必須となってきます。

出荷の際に起こる様々な問題

出荷の際に起こる様々な問題

マルチチャネルへの対応のみならず、出荷の際に起こる倉庫での様々な問題を解決するために倉庫のシステム化が必要となります。

出荷の流れとして、お客様から注文が入ると、担当者は出荷指示書を倉庫へ送付します。倉庫側は、出荷指示書の内容に合わせて出荷を行います。倉庫が出荷した結果を発注担当者に送付し、担当者は追跡番号や出荷通知をお客様に連絡するというのが通常の流れになります。

実際にはこの簡単に見える流れの中に、様々な事件が発生します。ここではまずは出荷の際におこりうる問題を過去にあった事例を踏まえて、お話できる範囲で簡単にご紹介したいと思います。

その1:当日出荷

Amazonのマーケットプレイスでは、お客様が注文をした当日での出荷が必須となります。楽天・Yahoo!でもそれぞれあす楽・あすつくというサービスがあります。

それぞれのモールで若干出荷条件が異なりますが、共通しているのは、担当者がその日の受注データを確認して即日で出荷指示書を作成して倉庫に送ることです。

店舗の規模によって、毎日出荷依頼をするのであれば、この業務をルーチン化できると思いますが、注文が毎日あるわけではない、または当日出荷が毎日あるわけではなく、たまに当日配送がある場合など、不定期で当日出荷が発生するのであれば、当日出荷すべき注文の見落としがないようにフォローを考えなければいけません。

当日出荷に間に合わせるために、現在の作業に当日出荷分の割込みが可能かという状況確認も必要になってきます。

この「当日出荷の仕組み」を作っていない企業は、トラブルにつながるケースも多くあります。

その2:調査・検品

次に、意外とよく発生している事例が、お客様からの商品に対するクレーム、お問い合わせの調査・検品の対応が整っていないためのトラブルです。

カスタマーの窓口が倉庫の近くになければ、問合せが発生するたびに倉庫に状況を確認しなくてはなりません。

倉庫側のミスがなくても、お客様の勘違いなどでも商品に対するクレームや問い合わせがおこる事があります。

例えば、お客様から「違う色が届いた」というお問い合わせ。カスタマー窓口側は、商品番号などで商品の発送履歴を確認することになるのですが、購入商品と発送商品に間違いがなくても、サイトで見た色と違うと言われてしまう事があります。

このお問合せの要因として、ECサイト上での見栄えを良くするために、商品画像の色補正をしていて実態と差が生じてしまっている時もありますし、お客様の閲覧環境による発色の差、お客様との感覚の差が要因のこともあります。

また、ECサイトのシステムが問題である場合もあります。例えば、同じ商品でカラーバリエーションがある場合、カートシステムにいれたタイミングで商品画像が対象の色になっている場合は問題ありませんが、カートに入れた段階ではトップ画像の写真が表示され、自分が購入した色がわからない場合は、特に問い合わせも多くなります。

さらに、不良商品の交換時など、再送したものが再度不良品だった場合にはお客様のクレームにつながりますので、出荷時に丁寧な確認を依頼する必要があります。

ここで起こりうるのは契約の問題です。倉庫業務を外部委託している場合、不良品の割合にもよりますが、検品作業の契約がなかったために倉庫から「検品できません」と言われてしまうこともあります。いざという時のために、検品作業については、事前に倉庫側と方法や金額などの契約内容をきっちりとつめておきましょう。

倉庫と連携・管理するためのWMS

倉庫と連携・管理するためのWMS
EC業務を効率化・管理するためのシステムのうち、特に倉庫業務を支援するシステムのことをWMSと呼びます。

WMSとは

WMSとは、Warehouse(倉庫)Management Systemの略で、「倉庫管理システム」と訳されます。

製造業のほか、小売・卸売業・通販・ECなどの倉庫管理で導入されています。

WMS導入のメリット

倉庫業務のスピードアップ

WMSのメリットは、なんといっても「倉庫業務を効率化」してくれることです。

倉庫に複数の商品がある場合、複数の商品の中から受注されたものを取り出すことになります。

この時、倉庫のどこに何が置いてあるのか全てを把握できていなければ目的のものをみつけるまでに時間がかかってしまいます。もし、システムにより倉庫内の場所(ロケーション)まで指示してくれたらどうでしょうか?

誰でも迷わずに早く取り出しが可能になります。

このWMSによる速度アップにより、倉庫内の人員削減、出荷時間の短縮だけでなく、当日出荷の締め切り時間を延長することができ、お客様サービス向上などの効果が期待できます。

業務の属人化からの脱却

WMSが導入されていない場合、早く業務を終わらせようとするとどこに何が置いてあるのか、どのような手順でやればいいのかなど全てを把握できていないといけません。

人を増やしても知識がある担当者からの指示がなければ、倉庫業務が回らないということになってしまいます。

WMSを導入すれば、そうした知識の多くをシステム側のデータベースが補完してくれます。その結果、「業務の属人化」を排除し、人員の流動性を担保しやすくなります。

出荷精度の向上

WMSを導入すると、多くの場合バーコードを使ったデジタルチェックを行うことになります。

これは、目視だけでのチェックに比べて、誤出荷が減り、出荷精度がアップするというメリットにつながります。

半導体、化粧品、手芸雑貨など、よほどその商品について知識がある人でなければ目で見ても判別しづらいものであれば、よりその効果を実感できるでしょう。

正確な現品在庫の把握

入出庫の際にバーコードを読み取ることで、モノの動きと一致した在庫情報をリアルタイムに把握することができます。

マルチチャネル展開をしていたとしても、実際の倉庫在庫をリアルタイムで共有できていれば、販売予定数を細かく修正していくことが可能となります。

企業によってはWMSの在庫情報をもとにユーザーへの在庫問合せ対応から発注計画まで作成することもあります。

オムニチャネルと店舗・倉庫の関係

オムニチャネルと店舗・倉庫の関係
最近、ECをされている方はほぼ必ずと言っていいほど聞く単語の一つに「オムニチャネル」という言葉があります。

オムニチャネルとは?

オムニチャネルとは、店舗やイベント、ネットやモバイルなどのチャネルを問わず、あらゆる場所でお客さまと接点を持とうとする考え方・戦略のことです。

チャネルの例

・店舗
・ネット(通販サイト、ファンサイト、コーポレートサイトなど)
・カタログ
・モバイル
・SNS
・マスメディア
・コールセンター
・屋外広告
など

先ほど述べたマルチチャネルとよく混同されますが、マルチチャネルはそれぞれのチャネルで個別に店舗展開していますが、オムニチャネルでは相互に連携して顧客にアプローチしています。

これのわかりやすい例がスマートフォンで提供されているお店やブランドのアプリです。

ユーザーはスマホのアプリから最新の商品情報を得たり、好みに合う商品を探して、そのまま買い物まで可能になりました。

そして店舗でもアプリを提示するとポイント特典を受けとれるようにし、オフラインとオンライン(ECサイト)を同じIDで利用できるようにしています。

買い物の手段・場所ではなく「誰にどうやって買ってもらうか」に注視した販売戦略にシフトしてきているのです。

倉庫もチャネルの影響を受ける

近年、物流コストが年々高騰していますので、遠くに送る際にはその分コストがかかり利益が圧迫されます。

そこで、最近の物流の考え方のトレンドとして、お客様の近くから発送すればその分物流コストも下がるのでは?という考え方があります。

お客様に近い分商品受け取りまでにかかる時間も短縮され、お客様にも喜ばれます。

最近は、リアルな店舗も全国展開しているブランドのECサイトでは、購入者に一番近いお店が倉庫に代わって商品を発送するところもあります。

この時必要になってくるのが各倉庫・店舗との緊密な連携です。

まず、出荷指示をする側はそれぞれの倉庫や店舗の在庫を正確に把握し、出荷指示書を作成する必要があります。

在庫が分散しますので場合によっては分割して送ったり倉庫に集約したりすると出荷するまで時間がかかったりと、様々な問題がでてきます。

先に述べたように倉庫管理システム(WMS)の利用による効率化が期待されるところです。

連携によって各店舗や倉庫の在庫を消化できますが、個人情報の取扱いや出荷業務の優先順位をどのようにするか?などそれぞれの企業で検討すべきことは多いでしょう。

まとめ

・マルチチャネル化やオムニチャネル化への対応で、倉庫に求められるのはセールスの現場との緊密な連携や情報共有
・倉庫での問題の解決や倉庫と各販売チャネルの連携強化、倉庫業務の効率化のために、倉庫管理システム(WMS)の導入を検討しましょう

当社ではECサイト運営に欠かせないささげ(撮影、採寸、原稿)代行全般から、今回ご紹介したような倉庫管理システム導入などの受注状況に関することまでトータルでサポートさせていただいております。

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自社だけでやっているとこれでいいのかな?など不安になることも多いでしょう。ささいなことでもお気軽にご相談ください。気になる企業様はこちらのフォームからお問い合わせください。

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ABOUT US
多賀井隆之
2005年にEC支援フルサービスの提供をスタートのを皮切りに、2010年には完全自社で撮影できるスタジオ等を設立。実績は、一部上場企業ECサイト運用、輸入タイヤ通販会社経営、現在では別会社で小型家電をOEMで作りD2Cサイトを運営し、常にノウハウを検証しながら顧客へ売上改善、在庫最適化、作業効率化などを提供中

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