家庭で使用される約460品目もの電気製品は、使用者の安全を守るために「PSEマーク」の表示が義務付けられています。PSEマークが必要な製品にマークを表示しないまま販売するのは法律違反となり、ペナルティが適用されます。
PSEマークは、然るべき手順を踏めば自社でも表示させることは可能です。ただし手続きは複雑です。現地工場や検査機関との折衝が必要になるケースもあり、簡単ではありません。
そこでおすすめなのが、PSEマークの認証を代行業者に依頼する方法です。この記事ではPSEマークの認証を業者に依頼するメリットや、おすすめの代行業者を紹介します。
必要な手続きはサッと済ませ、製品の販売に注力するのが業績アップの秘訣です。新製品をスピーディに販売開始するヒントとして、ご活用ください。
目次
PSEマークとは
PSEマークとは「電気用品安全法」という法律により、約460品目の電気用品に表示が義務付けられているマークです。消費者が事故・危険の心配をせずとも、安心して電気製品を使えることを示します。
PSEマークはひし形と丸型の2種類があります。
ひし形 | とりわけ高い安全性が要求される「特定電気用品」が対象。電線、ヒューズ、コンセント、マッサージ器、子どものおもちゃなど。 |
丸型 | 特定電気製品以外の341品目が対象。家庭で一般的に使われる電気製品のほとんどが該当する。家電、照明器具、リチウムイオン蓄電池など。 |
本来ならPSEマークが必要な製品であるにもかかわらず表示しないまま販売すると、行政処分などのペナルティが課される場合があります。ペナルティは基本的に製造業者・輸入業者が対象ですが、販売店の責任が追求される可能性もゼロではありません。
コピー大国と呼ばれる中国製の電気製品のなかには、正規ではないPSEマークを附したものもあるようです。PSEマークには届出事業者名の併記が必要な点を見極めポイントとし、偽物のPSEマークを取り扱わないよう、細心の注意が必要です。
自分でPSEマークの認証を取得する方法
輸入製品に表示するPSEマークは、経済産業省に必要な届出をし取得します。以下に、届出の手順を簡単にまとめました。
<PSEマークを取得する手順>
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上記5つの手順のうち、ハードルが高いのは3の「検査」かもしれません。検査を実施できる機関は限られており、費用が数十万円~百万円に達する場合もあります。
検査費用を節約する合法的な方法を紹介しましょう。それは1つの製品だけ検査を受けさせ、型番違いはPSEマークを使いまわす方法です。
「サイズ違いにより、電力がごくわずかに違う」などの場合、本来ならすべてのサイズでPSE検査を受けなければなりません。しかし手間もかかるため、基準となる1つの型番だけを検査し、他サイズは社内評価レポートを残すという形でマークを使いまわしても構いません。
ただし、この方法がとれるのは丸型PSEマークのみです。また社内レポートは必要な情報を漏れなく記載したうえで、保管する必要があります。
PSEマークの認証は代行業者に依頼できる
PSEマークを自力で申請し認証を受けるのは、手間も費用もかかります。PSEマークに気を取られ、本業がおろそかになっては元も子もありません。
PSEマークの認証は、専門家(代行業者)に委ねるのが得策です。代行業者をつかってPSEマークの認証手続きを進めるメリットとデメリットを解説します。
PSEマーク認証を代行してもらうメリット
PSEマークの認証手続きを代行業者に依頼するメリットは、次の3つです。
- スピーディーに認証が進む
- 専門的な部分を任せられる
- 販売に専念できる
PSEマークの認証代行業者は、“その道のプロ”です。手続きに必要な書類の種類や申請方法を熟知しています。また専門知識も持ち合わせており、いちいち調べなくても専門用語を理解しています。
自分たちで認証を進めようとしたときにありがちな「何を・どうやって準備すれば良いかわからない」「専門用語がわからない」という困りごとに直面することなく、スピーディーに手続きが進みます。
結果、ショップは専門分野の理解に時間を割く必要はなく、本業である販売に専念できるでしょう。代行業者によりPSEマークの表示が可能になった新製品のマーケティングを積極的に進め、売上を伸ばす環境が整います。
PSEマーク認証を代行業者に依頼するデメリット
PSEマークの認証手続きを代行業者に依頼するデメリットは、2つあります。
- 認証ノウハウが蓄積されない
- 費用がかかる
代行業者にPSEマークの認証手続きを依頼すると、書類の準備からすべて業者が担当します。社内で主体的に手続きを進める機会がなくなるため、申請ノウハウが蓄積されない点はデメリットといえるかもしれません。
しかし申請ノウハウは、かならずしも販売店が持っていなければならないともいえません。「毎週のようにPSEマークのない新製品を輸入している」といったケースでない限り、社内に申請ノウハウは不要です。
PSEマークの申請ノウハウをストックする代わりに、マーケティングと販売に専念し伸ばしたほうが会社全体の売上アップにつながります。
また認証代行業者に依頼すると、代行費用がかかります。申請にかかる費用は業者や製品によって差があるため、いくつかの業者から相見積もりをとって比較しましょう。
忘れてはいけないのは、PSEマークは消費者の安心・安全に関わっているという点です。代行費用の安さばかりに注目してずさんな手続きにならないよう、信頼できる業者を選定してください。
記事の後半でPSE認証を代行しているおすすめの業者を5つ、紹介しています。ぜひ参考にしてください。
PSEマーク認証代行業者が請け負ってくれること5つ
PSE認証代行業者は、具体的にどのようなサポートをしてくれるのでしょうか。多くの代行業者が行っている業務を5つピックアップし、解説します。
1つでも「それをやってくれると助かる」という部分があれば、代行業者の利用を前向きに検討して良いでしょう。
認証までに必要な申請・手続きのすべて
PSEマークをはじめ、国の認証や許認可をとる手続きは複雑怪奇です。経済産業省のホームページはお役所ならではの言葉で書かれており、初めての人が一読して理解するのは不可能に近いです。
また必要な手続きが理解できたとしても、実際に始めようとすると「何から手を付ければ良いのか」と途方にくれる人も少なくありません。
PSEマークの認証代行業者は、数多くの申請経験から手続きを完了させる確かなノウハウを持っています。認証に必要な、文字通り「すべて」を託せるため、自社の負担を大幅に削減できます。
現地工場・現地責任者との折衝や連絡
PSEマークの認証申請には、数多くの書類や資料が必要です。なかには製品を製造している現地工場でないと出せないものもあります。
またひし形のPSEマークが必要な特定電気用品の認証では、認証機関による工場への立ち入り検査も必要です。日本から検査員を派遣できない場合は海外の認証機関に検査を代行させるしかなく、さらにやるべきことが複雑になります。
現地の言葉で、さらに専門用語を使っての折衝……、想像しただけで手を引きたくなるのではないでしょうか。
PSE認証代行会社は現地との交渉・連絡も担います。日本の規則や事情に明るい現地人のスタッフを雇用し手続きに当たらせる会社もあり、申請が円滑に進むこと間違いありません。
検査機関とのやりとり
PSE認証に欠かせない認証機関での検査も、トラブルが起きやすいポイントです。海外製品の認証には、海外基準の製品を日本仕様に合わせなければならないためです。
検査機関は「日本の基準はこうですよ」と法律に関しては教えてくれますが、製品のどこを・どのように・どのくらい調整すれば認証をパスできるのかを具体的には指摘してくれません。こちらは認証機関のヒントをもとに、調整が必要な部分を見つけなければならないのです。
もちろん、調整後は認証機関に製品を再提出し、チェックを受ける必要があります。
製造工場ではない販売店が「法律基準を踏まえ」「製品の仕様を確認し」「製造工場に調整を指示する」ことは、現実的に可能でしょうか。
PSE認証代行業者なら、ここまでの業務も担ってくれます。
PSE以外に必要な認証の代行
PSEマークが必要な製品を取り扱う販売店であれば、他の認証に悩むこともあるのではないでしょうか。PSCマークや技適マークなど、国の認証を必要とする製品は数多くあります。
<PSCマークとは> 「消費生活用製品安全法」によって10品目に表示が義務付けられているマーク。消費者の生命・身体の安全を守ることが目的。10品目は以下のとおり。 ・特定製品
・特別特定製品
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<技適マークとは> 「電波法」が定める技術基準に適合していることを示すマーク。無線を発する機器に表示が必要。 携帯電話・スマートフォン、パソコン、Wi-Fiルーター、ベビーモニター、ワイヤレスマイク、Bluetooth機器など身の回りの多くの製品が該当する。 |
PSE認証代行業者の多くは、PSEだけでなく他の認証も手掛けています。必要な認証をまとめて依頼すればやりとりが一本化でき、認証業務の効率化が叶います。
製品の販売コンサルティング
PSEマークは、取得して終わりではありません。取得した製品の販売を伸ばしてはじめて、売上が拡大します。
売上を伸ばすには、製品の魅力をあますことなく伝えて消費者を買いたい気持ちにさせる「マーケティングスキル」、キャンペーンやイベントなどの販売機会を最大に活かした戦略、また適切な在庫管理などさまざまな営業要素が絡み合います。
PSE認証代行業者のなかにはECサイトのコンサルティングを手掛けている会社もあります。せっかく費用と手間をかけてPSEを取得した製品のシェアを伸ばしたい販売店には、一気通貫で依頼できるコンサルティング兼務の会社がおすすめです。
誰も教えてくれないPSE認証についてお伝えします!
PSEマーク認証代行業者のおすすめ5社を比較
PSEマークの認証を代行している業者のなかでも、おすすめの5社を紹介します。それぞれの特徴や得意とする領域を比較し、自社に最適な代行業者を選ぶヒントにしてください。
ライフエスコート
ライフエスコートでは、小型家電を扱う関連会社「Smativ」を運営しており、各種申請を行っております。そのノウハウを活かして、日本国内の手続きだけでなく、中国を中心に海外の工場と直接やり取りし、日本基準取得の支援ができます。
また、日本の各種手続きに必要な技術支援者とのネットワークがあること、主たる事業であるEC運営代行の強みを活かし、売れる商品の販売をスピーディに認証手続きからサイトへの販売まで対応できます。経験と実績からオンラインだけではなく、オフラインへの橋渡しも可能です。お気軽にご相談ください。
Smativ:https://smativ.tokyo/
PSE問い合わせフォーム
INSIGHT WORKS
INSIGHT WORKSは各種許認可と、輸入ビジネスのコンサルティングを専門とする会社です。とくに中国方面に強みを発揮します。現地工場との折衝はもちろん、開発した新製品を製造してくれる工場を見つけるのも得意です。
これまで数多くの製品の認証を実現してきた実績は、一見に値します。ワイヤレス製品や布団クリーナーといったベーシックな製品はもちろん、自動販売機や電動キックボードなどの大型製品、さらに2019年から規制が強化されたモバイルバッテリーまで全ジャンルの製品に対応します。
見積もりや手続きのスピード感にも定評があります。見積もりを比較する際は、ぜひ候補に入れたい1社です。
公式サイト:INSIGHT WORKS
シンクロテック
シンクロテックは電子機器開発を土台に、機能製品の研究・開発を手掛ける会社です。サービスの一環として認証取得代行も行っています。
シンクロテックの強みは、製品開発の現場を知り尽くしている点です。PSEマークの認証を取得するには、法律基準に則った製品であることが大前提となります。製品の仕様や製造過程の微妙な調整は、開発の知識なくしては成し遂げられません。
シンクロテックは自社が長年蓄積してきた電子機器開発のノウハウを、PSEマークの認証手続きでも生かしています。
「手続きをできるだけスムーズに進めたい」「やり直し、提出し直しは避けたい」という事業者は、ぜひ一度シンクロテックに相談してみてはいかがでしょうか。
公式サイト:シンクロテック(認証取得代行)
http://www.syncretic.jp/high-tech/pse.html
CERTEC(サーテック)
CERTEC(サーテック)は製品の安全性試験や各種認証取得サポート、コンサルティングを手掛けています。
サーテックの強みは輸入販売だけでなく、輸出販売分野への造詣も深い点です。EU圏に商品を輸出したいときに必要となるCEマークの取得代行や必要書類の作成サポートが必要な事業者には、うってつけの代行業者でしょう。
そのほか海外の安全規格認証も支援しています。
北米のUL認定取得やCSA認定取得、ヨーロッパのTUVラインランド・TUVスッド、また国際規格であるCBレポートの取得も依頼できます。
輸入販売・輸出販売をともに手掛ける事業者は、販売支援まで含めてサーテックに相談してみてください。
公式サイト:CERTEC(サーテック)
http://certec.jp/pse.html
イーエムテクノロジー
イーエムテクノロジーはPSEマークに適合するために必要な支援を、技術的な面から行ってくれる会社です。「認定試験に出したが不合格になった」「適合するように改善したい」といったニーズに対応します。
業務を担う社員の多くは、元登録検査機関やメーカーのハード設計エンジニアです。製品の技術的な理解と安全設計ができる点は、イーエムテクノロジーならではの強みです。
自社で電気安全規格の製品構造評価を行うための支援や、欧州向けCEマークの適合支援も行っています。「難しい話を分かりやすく説明してほしい」「プロの目線でPSEマークに適合するよう改善点を指摘してほしい」といった事業者におすすめです。
公式サイト:イーエムテクノロジー
https://www.em-technology.biz/pse-service.html
まとめ
PSEマークは製品を使う人の安全を守るため、特定の電気製品に表示が義務付けられているマークです。ひし形と丸型の2種類があり、表示するためには法律で定められた安全基準を満たさなければなりません。
輸入製品は日本の規格に合わないケースも多く、安全性検査機関から不合格となって戻ってくることもあります。基準を満たすよう仕様を改善しPSEマークを取得するまでは、販売できない点に注意しましょう。
販売機会を最大に活かすためには、スピーディーで効率の良い申請手続きが欠かせません。専門用語や現地工場とのやりとりが必要になる煩雑な手続きは、代行業者に依頼してしまいましょう。
記事を参考に製品と自社に合う代行業者を見つけ、まずは相談してみるのがおすすめです。