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顧客体験(cx)とは?withコロナを生き抜くEC戦略を考える

数ある商品・ブランドのなかから自社が選ばれるためには顧客体験の向上が重要だと言われています。特にスマホ中心になり顧客接点が複雑になった現在では、顧客にどんな体験を提供できるかを考え、施策として実行していくことが差別化につながります。

新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少しているアパレルブランド・店舗においても顧客体験の向上は非常に重要です。そこで本記事は、これからのEC戦略を考えるうえで不可欠な「顧客体験(CX)」について、理解を深めることを目的に解説していきます。

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顧客体験(cx)とは何か

顧客体験(cx)とは何か

顧客体験(Customer Experience)とは、企業が顧客に商品・サービスを販売する際に提供する“一連の“体験のことです。英語の頭文字を取ってCXとも呼ばれます。

一連の、というのは、顧客が商品・サービスを見つけてから情報を集めて購入し、購入後に評価するまでの「はじめから、おわりまで」のすべての体験を含みます。

Web広告で商品のことを知る、クチコミサイトで購入者の評価を調べる、YouTubeで説明動画を視聴する、メーカーに問合せする、ECサイトで商品をカートに入れる、といったものはすべて顧客体験のひとつです。ひとつひとつの顧客体験を「顧客接点」と呼び、顧客接点をつなげたものが「顧客体験」と言い換えることもできます。

従来商品・サービスを販売する際には、モノとしての機能や価格といった物理的な価値を訴求していました。しかし消費者のニーズは、商品を所有するモノ消費から、体験に対価を払うコト消費、さらには特定の場・時・人でしか体験できないトキ消費へとシフトしています。

それに伴い企業・店舗側では、従来とは異なる価値として、顧客体験を向上して消費者に満足してもらうことで、自社の商品・サービスを選んでもらう必要が出てきています。

顧客体験(cx)が重要視される理由

顧客体験(cx)が重要視される理由

近年、マーケティングにおいて顧客体験が重要視されているのは以下のような理由です。

理由① 顧客接点が複雑化しているため

かつては、AIDMAやAISASに代表される顧客販売モデルのように、顧客が商品と出会い、購入に至るまでの経路は単純化して理解することができました。2005年に登場したAISASであれば、電車の中吊り広告で商品を認知して興味を持ち(Attention・Interest)、インターネット検索で情報を調べ(Search)、店頭で購入し(Action)、使用感をクチコミサイトに投稿する(Share)といった消費行動に沿って、広告やプロモーション施策を組み立てれば商品を買ってもらえた時代でした。

しかし現在は、スマホ中心の行動や情報源としてのSNS普及といった要因も含め、顧客と企業とが接する経路が多様化・複雑化しています。単純化して顧客の動きを把握するのが難しくなったため、顧客を理解する手段として、顧客接点や顧客体験を考えていくことが重要になっています。

さらにひとつひとつの顧客接点で顧客に良い体験を提供し、企業や商品に対してファンになってもらうという戦略が重要になっています。

理由② データを細かく取得できるようになったため

スマホの位置情報、Webサイトの閲覧履歴、広告のクリックなど、技術進歩によって顧客の動きを細かく捕捉できるようになりました。今ではインターネット上で顧客がどのページをよく見て、どのタイミングでWebサイトから離れていってしまうか、どのキャッチコピーが書かれたボタンがクリックされているか、といったデータを容易に取得することができます。

さらにスマホから取得できる情報やユーザー登録の情報も加えると、「首都圏在住20~40代の女性で〇×広告経由で商品紹介ページを閲覧した顧客は、商品を購入する確率が高い」といった分析もできます。データに基づき分析・判断ができるようになったことで、顧客に合わせた体験の最適化が可能です。

特に新型コロナウイルス感染症予防の影響で、実店舗利用を控えてインターネット上で商品を購入する人が増加しています。数ある顧客接点のうちリアルな接点が減少した分を補うためにも、データを分析してオンライン上での顧客体験をより良くしていく必要が出てきています。

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顧客体験(cx)を向上するためのポイント

顧客体験(cx)を向上するためのポイント

重要度が高まった顧客体験を向上するためには、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

ポイント① 現状を把握し課題を明確にすること

顧客体験を向上するためには、まず現状把握をおこなうことが必要です。顧客接点を把握するにはカスタマージャーニーマップを作成すると有効です。

カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスを購入するまでに辿るプロセスを指すことばです。ペルソナという架空の人物を設定し、その人がどのようなきっかけで商品・サービスを知り、関心を持ってから購入意欲を醸成し、購入にいたるかを旅(ジャーニー)として“時系列で”理解しようとします。顧客の心理的、行動的な変化をビジュアルで表したものがカスタマージャーニーマップです。これは企業が顧客のキモチを理解することを目的に作成されます。

カスタマージャーニーマップは、いわば顧客が辿る理想の顧客体験の図です。マップと現実を比較して不足している部分が課題になります。課題が明確になることで、次に行うべきことが見えてきます。

ポイント② オンライン完結の経路も考えること

前項でも触れたように、新型コロナウイルス感染症予防の影響で、実店舗利用を控えてインターネット上で商品を購入する人が増加しています。商品販売の8割以上を実店舗が占めるアパレル業界ではその影響は大きく、販売減を補うためのデジタル化対応が急務です。

しかし顧客が商品・サービスと出会い、購入するまでのカスタマージャーニーで、オフラインの顧客接点が多ければ多いほど、今の時期は顧客体験の向上を目指すことが難しくなります。

「店舗で商品を手に取ってもらい商品の良さを知ってもらう」という体験に代わるものとしてオンライン上で接客するデジタル接客を導入する、「電話の問合せでネットではわからなかった疑問点を解消する」という体験に代わるものとしてFAQページを充実させる+チャットボットを活用するなど、オンラインで完結するカスタマージャーニーも用意する必要があります。

ポイント③ きちんとPDCAをまわすこと

PDCAとは、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)のサイクルをぐるぐると繰り返し、常に改善していく手法を指します。顧客体験の向上においても、課題を明確にした後に仮説を立て、施策を実行した後にデータで検証していくことが重要です。仮説検証を行う中で、カスタマージャーニーマップもブラッシュアップされてより良いものになっていきます。

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顧客体験創出のために構築・運用するツール

顧客体験創出のために構築・運用するツール

顧客体験を創出するためには、以下のようなツールを導入すると効果的です。

パンフレット・リーフレット・DM制作

従来からある顧客接点ですが、改めて印刷媒体の価値が見直されています。紙には長期間保管できるという特性があり、インターネット上では獲得が難しい見込み顧客の獲得に使われるほか、凝ったデザインのパンフレットを休眠顧客に送付し、掘り起こしを行うといった用途にも活用されています。

また、ECサイト上でカゴ落ちした顧客に対して、商品のクーポンを印刷したDMを送付し顧客にアピールするといった事例もあります。

SNS

TwitterやInstagramは、顧客と双方向でコミュニケーションできる手段として重要度を増しています。漠然と利用するのではなく、顧客接点のひとつとして役割を与え活用するのが効果的です。特にアパレルとInstagramの親和性は高く、無料でアカウントを開設できることからファッション系の企業では積極的に活用されています。

大手衣料品販売のユニクロでは、Instagramで商品のコーディネート写真や動画を投稿し、ブランディングやプロモーションに活用しています。ハッシュタグ経由で顧客以外のユーザーにも投稿を見てもらうことができるため、無名のブランド・商品でも認知度をアップできる可能性があります。

MA導入

マーケティングオートメーションとは、見込み顧客を育成し、売上をアップさせる目的で、さまざまなマーケティング施策を自動化するツールのことです。特定の条件(スコアリング)を満たした顧客に対して、クーポンを配信するなどのアクションを設定できるため、ひとりひとりの興味関心に合わせて施策を行うことができます。

たとえば全員一律に同じクーポンを配信するのではなく、Aの商品ページを長く閲覧している顧客に対してAに使えるクーポンを配信することによって、自分に向けた情報が届くという満足感を与えるとともに、Aに興味がない顧客に対して無関係な情報が届き満足度が下がるリスクを回避します。

ポップアップストア

既存の商業施設や店舗の一部を期間限定でレンタルして商品を販売する形態をポップアップと呼びます。近年実店舗を持たないECサイト専業のD2Cなどで、顧客接点を増やす目的でポップアップを出店する例が増加しています。

顧客にとっては実際に商品を手に取って確かめられるメリットが、店舗側にとっては顧客の反応がわかるメリットがあります。シェアリングサービスとして空き店舗やスペースを貸し出すマッチングサービスもあり、コストを抑えて出店することも可能です。

withコロナを生き抜くお手伝いをいたします

顧客体験が重要になってきた背景には、モノ(商品)を中心に考えていたマーケティングが、ヒト(顧客)を中心に考えるようになったことがあります。顧客中心主義(Customer-Centric)とも呼び、顧客の立場に立ってニーズや課題を理解し解決する手段を提供することを指します。

顧客が求めるものは何かを喩えたもので、「ドリルを買いに来た人がほしいのはドリルではなく穴である」ということばがあります。古い喩えですが、顧客が求めているものを把握して提供するという意味では、今でも同じでしょう。

新型コロナウイルス感染症の影響で、スーツの販売が落ち込みました。ただでさえクールビズなどの影響でビジネススーツの需要が落ち込んでいたのに追い打ちをかけたかたちです。同じようにビジネスシューズ・ドレスシューズやハイヒールの売上も減少しています。

代わって売り上げを伸ばしたのがユニクロの在宅勤務用ジャケット、高品質の部屋着、スニーカーなどカジュアルで着心地が良い商品です。家でリラックスするための衣類や、たまに外出するときに特別感が感じられる高級スニーカーなどの販売が増加しました。

この場合、顧客のニーズは「家の中でも快適に過ごしたい」であり、顧客がほしいものは、「快適さ」や「良い商品を身に着けている満足感」だと言えます。

今後ECサイトの方向性は、顧客中心主義的な販売手法になっていくと考えられます。そこで重要になるのが、顧客接点であり、顧客体験です。たとえば着心地が良い部屋着を販売するショップであれば、綿花のなかでも特に質の高い部分だけを採取して製造されたコットンを使用していること、環境に配慮したブランドであることをSNSで情報発信する、着心地の良さをアピールするといった施策が考えられます。

ほかにも顧客からの問合せに丁寧に回答する、YouTubeで風合いを損なわない洗濯・お手入れ方法を配信する、商品購入した顧客向けに快適な生活を送るためのヒントが掲載された冊子を定期的に送付する、なども有効でしょう。「快適な生活を送るためのヒント」や「この商品を選ぶべき理由」を提供することで顧客に満足してもらい、「このショップの、このブランドの商品を購入したい」という指名買いをしてもらえるのがゴールです。

アフターコロナ、withコロナの時代が来たとき、少なくとも、低価格やキャンペーンばかりを前面に押し出しても、期待するほど商品は売れないことは明白です。そのような中で商品を販売するためには、顧客を中心に考え、顧客体験を向上することで優位性・競争力を獲得することが必要になります。

株式会社ライフエスコートでは、お客様の運営するネットショップ、ECサイトでどのような方法で顧客体験を演出するのか、何が必要で何が足りていないのか。ECコンサルタントがwithコロナを生き抜くための戦略を共に考えていきます。お気軽にお問い合わせください。

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ABOUT US
多賀井隆之
2005年にEC支援フルサービスの提供をスタートのを皮切りに、2010年には完全自社で撮影できるスタジオ等を設立。実績は、一部上場企業ECサイト運用、輸入タイヤ通販会社経営、現在では別会社で小型家電をOEMで作りD2Cサイトを運営し、常にノウハウを検証しながら顧客へ売上改善、在庫最適化、作業効率化などを提供中

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