すでに楽天で出店中の方や出店を検討している方は、配送品質向上制度の「配送認定ラベル」について押さえておくことが大切です。
楽天はSKU管理への移行など、さまざまなシステム変更が近年になって行われています。今回の配送認定ラベルについても、しっかり情報を収集して、自店舗に活用することが求められます。
今回この記事では、ラベルの取得を目指すのかどうかを決めるためにも、配送品質向上制度や配送認定ラベルの取得条件、メリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。
目次
楽天の「配送認定ラベル」とは?配送品質向上制度の概要
配送認定ラベルは、ユーザーが楽天市場で商品の探索や購入をしやすくするために導入される「配送品質向上制度」の1つです。楽天は顧客満足度を高めて、ユーザーニーズを反映した大型モール系のECサイトを目指しています。
楽天は出店者がそれぞれショップや専用ページを構えています。そのため、ユーザーは同じ商品の購入であっても、別の出店者から買うことがよくあります。つまり、商品を選ぶと同時に、ショップも選ぶのが楽天の特徴です。
しかし、商品を探すときに、それがネックになってしまうことも珍しくありません。価格や条件が同じでショップだけが違う場合、「どちらから買えばよいのか?」と悩んでしまうことがよくありますよね。
そこで、商品をより早く、そしてユーザーの希望日に合わせてお届けしてくれると認定された店舗に付与されるのが「配送認定ラベル」となります。
これによって、ユーザーは同じ商品でも「配送認定ラベル」が付与された店舗から商品を購入することで、自分の希望日に合わせて商品の受け取りが可能になります。
このシステムに近いのがヤフーショッピングの制度です。ヤフーでは、すでに配送認定ラベルの制度に似た「優良配送」の表示を行っています。優良配送とは、条件付き(正午注文の対象エリア内)で2日以内にお届け日を設定すると取得できる認定マークです。認定されるとマークの表示と検索で有利になります。
楽天では、それら競合他社に負けないために、2023年6月からお届け日の表示を開始し、2024年の第2期(4~6月)には配送認定ラベルを表示する予定です。
配送認定ラベルを取得するために必要なステップ
配送認定ラベルの取得には、お届け日を早くすることだけでなく、さまざまな条件・基準をクリアすることが必要です。そこで条件を満たして、配送品質向上制度を受けられるように準備しましょう。
以下は、ラベル獲得までの大まかな流れです。
①楽天SKUに対応する
まずは、楽天SKUに対応して、配送のラベル取得をできるようにすることです。楽天は2023年4月からスタートした「楽天SKUプロジェクト」にあわせてSKU単位の管理に変更しています。
楽天SKUとは、SKUを単位にする商品登録・管理の方法です。これまでは同じ商品でもカラーやサイズが異なる場合に1単位として、別々の商品単位が適用されていた経緯があります。そのため、同じ商品でもページが分かれるなど、ユーザーが使いにくさを感じることが多々ありました。しかし、楽天SKUの導入で不便が解消されています。
制度上、楽天SKUのプロジェクト自体がユーザーの使いやすさを高めるために行われているため、SKUへの移行はセットで考えるべきでしょう。
楽天SKUの登録の方法は以下です。
- SKU画像の取得(検索エンジン用)
- タグID・商品属性の見直し
SKUにすることで旧体制のシステムにはなかった入力・設定項目も出てきます。例えば、SKUは文字で「商品属性」(商品タグなど)を入力して設定できます。これまでタグIDだった数字(7桁)の入力ではなくなるため、変更時に少し手間がかかります。
管理状況の現状を確認した上で、変更が必要か個別に判断しましょう。ただし、SKUの設定自体は楽天出店の必須事項でなくても、配送認定ラベルの取得にはSKUへの変更が不可欠です。
②届け日表示機能に対応する
楽天SKUに対応したら、次は届け日表示機能に対応することです。配送品質向上制度で重要なのは届け日がわかりやすく、そして迅速であることです。届け日が表示されていないとユーザーは商品を探すときにわかりにくいでしょう。
そのため、配送スピードを表示するのに必要な「SKU単位での発送元住所・出荷リードタイム登録」がされていなければ、配送認定ラベルは取得できません。
ちなみに、発送元住所・出荷リードタイムを登録するには、「出荷元住所設定」と「出荷リードタイム設定」の2つをSKU単位で設定することが必要です。これにより、最短の届け日設定が可能となり、商品画面には「最短の届け日(日付)」が表示されます。
具体的には、これまで「2~3日以内に発送」となっていたのが、今後「15時までの注文で最短1/1お届け」のような具体的な日付表記に変わるのです。
③店舗と商品の認定基準をクリアする
店舗基準 | 商品基準 |
①納期遵守率: 96% | ①365日出荷可能 |
②6日以内のお届け | ②午前の注文は翌日、午後の注文は翌々日 |
③出荷研修:100件以上 | ③日付指定可能 |
④送料込みラインの導入 |
楽天SKUの登録と届け日表示機能に対応した後は、店舗と商品の認定基準をクリアするのが最後の関門です。
店舗基準の4つの条件
店舗基準の4つの条件は以下のとおりです。
①納期遵守率:96%
納期遵守率とは、一般的に注文の受注件数から納期内に納品された件数を示す割合のものです。ECサイトでは、発送予定日までに出荷が行われた件数の割合に該当します。
楽天が納期遵守率を96%に設定しているのは、実態のほうを重視しているためです。出店者の中にはラベルを得たいがために、表示だけ1~2日の届け日にして、実際にはその日程に出荷していないケースも考えられます。
条件を厳しくすることで、配送認定ラベルはユーザーの使いやすさを主眼に置き、表示通り商品を配送している出店者を対象条件にしているのです。
②6日以内のお届け
商品にはさまざまな発送条件のものがあり、例外を除いて基本的に6日以内の商品到着が条件となります。6日以内ということは1週間以上出荷・配送に時間がかかる場合は、配送認定ラベルは得られません。6日以内に配送ができるような出荷体制や配送業者の選定が必要になります。
③出荷件数:100件以上
配送認定ラベルは誰でも取得できるのでは意味がないため、最低でも月に100件以上の出荷件数を確保する必要があります。100件を切る出店者にはラベルが与えられないため、継続的な販売の意思と実態が必要なことを示しています。
④送料込みラインの導入
共通の送料込みラインとは、楽天が導入した送料体系のことです。楽天では送料の条件がわかりにくいショップがユーザーの不満点となっていたため、「共通の送料込みライン」を設定し、わかりやすい送料体系にすることが条件となります。
商品基準の3つの条件
店舗に加えて、商品の基準も以下の3つがあります。
①365日出荷可能
まずは、365日の出荷が可能なことです。年末年始や月に1度は休業しても問題はありません。しかし、この例外を除いて出荷可能でない日が月に何度もある場合、その商品は不適格となります。
もちろん、例外もあり、季節のイベント・年中行事の商品や予約商品などはこの基準から除外されます。
②午前の注文は翌日、午後の注文は翌々日
発送のタイミングにも条件があります。午前注文なら「翌日お届け」指定、午後の注文は「翌々日お届け」指定をできることが条件です。
ただし、例外として土日祝日は通常の注文締切り時間を「最短午前9時」に設定することができます。
③日付指定可能
配送予定日の指定ができることも条件の1つです。商品を出荷時に、配送業者に引き渡します。その際に、日付を指定することで、届ける日程がわかりやすくなります。
そのためには、注文の段階で事前に日付を指定できる必要があります。出店者の中には、日付指定のできないケースもあるため、配送認定ラベルを取得したい場合は、注文・出荷体制を見直しましょう。
配送品質向上制度による運営側のメリット・デメリット
楽天に出店して自社ショップを運営するときに気になるのが、配送品質向上制度のメリットやデメリットです。以下、運営側のメリット・デメリットをチェックして、判断材料としましょう。
配送品質向上制度によるメリット
配送品質向上制度のメリットは、以下の3つです。
- 条件をクリアすることで認定ラベルが付与され、ショップの信頼性がアップする
- 顧客満足度をあげられる
- 取得していない店舗との差別化がはかれる
1つ目は、条件をクリアして認定ラベルが付与されることで、ショップが信頼されることです。ネットショップ利用のユーザーは信頼できないショップを使いたがらないため、集客効果が高まります。
2つ目は、顧客満足度が向上することです。配送品質向上制度で認定ラベルを取得するための基準が高く、結果としてユーザーが利用しやすい環境が整います。
3つ目は、競合する他の出店者に対して、認定ラベルがあることで差別化を図れることです。同じ商品で近い価格・発送内容でも、ラベルの有無はユーザーに大きく影響します。優先的に買いたくなるように、ショップ自身や商品の付加価値を高めることができるでしょう。
配送品質向上制度によるデメリット
配送品質向上制度には、デメリットも当然ながらあります。
主に次の2つは、自動連携で商品・在庫管理を行う出荷・配送の指示ができない出店者にとっては、デメリットになりやすい部分です。
- 365日(年末年始、月1以外)の出荷業務が発生する
- 365日(年末年始、月1以外)稼働しなくてはならない
まず、単純に休める日数が少なく、出荷手配や指示を運営者側が行うことで実働を必要とする場合、年末年始以外は月に1日以上、業務が発生します。
もちろん、実働が必要ならその間は休めなくなります。稼働日が増えることで、法人の出店なら対応できますが、個人事業主の出店で認定ラベルの取得は厳しくなります。
条件をクリアするために365日出荷可能な体制作りを整えよう!
配送品質向上制度の配送認定ラベルに必要な条件は、365日出荷可能なフルフィルメントです。
注文・確認・出荷指示・準備・配送は、それぞれつなぎ目で指示が必要になるだけでなく、連携が途切れていると次の作業に申し渡しが必要になります。
フルフィルメントの体制を整えることで、一度注文を受けたらそのまま出荷まで一連の流れで進めることが可能です。特に運営側が人手の労力をほとんど必要としない出荷指示についての自動化ができれば、認定条件は十分にクリアできます。
365日出荷が可能なフルフィルメント
おすすめのフルフィルメント代行サービス・倉庫管理システムサービスを3つ紹介します。
①楽天SUPER LOGISTICS
楽天RSLは、楽天が運営しているフルフィルメントの物流アウトソーシングサービスです。楽天内に出品している商品を自動連携して、効率的に商品管理することができます。
特に、配送認定ラベルの取得条件をクリアするために365日出荷可能な体制作りをするには、一括サポートが可能な楽天RSLがおすすめです。
なぜなら、あす楽対応と365日の出荷対応が可能だからです。年末年始や祝日も関係なく出荷対応してくれるでしょう。
②ヤマト運輸フルフィルメントサービス
ヤマト運輸フルフィルメントサービスは、その名の通りヤマト運輸が提供している物流アウトソーシングサービスです
物流大手のヤマト運輸は、ブランドと知名度があるため、安心して商品を任せることができます。
また、配送認定ラベルの取得に必要な365日出荷配送を可能としており、独自の物流網で迅速に商品を運べることも条件クリアには十分です。ヤフー導入のサービスですが、楽天商品でも契約すればヤマト運輸フルフィルメントサービスを利用することができます。
注※24時間365日稼働倉庫は一部拠点のみ実施
③フルフィルメントby Amazon(FBA)
フルフィルメントby Amazon(FBA)は、大手モールのAmazonが運営している365日の出荷が可能なフルフィルメント代行サービスです。一般的にはAmazonとの発送で利用されていますが、楽天との在庫連携も可能となっており、「FBAマルチチャネルサービス」では連動して運用することが可能となります。
Amazonの配送代行の品質をそのまま楽天の商品管理や配送に利用できるのは大きなメリットです。フルフィルメントの代行サービスとしては、全代行が可能です。365日出荷の条件を満たせるでしょう。
倉庫への出荷指示が自動連携可能なシステム3選
次に、倉庫への出荷を機会的に指示できる自動連携可能なシステムは以下です。
①BOSS
楽天RSLで使える受注管理システムとして「BOSS」があります。BOSSは、楽天がシステムを提供する多モール型の業務自動化システムです。このシステムにより、365日の自動出荷を可能にします。
例えば、機能として注文の処理を自動で処理できます。出荷ステータスの管理も自動ですから、少人数体制でも受注管理しやすくなるでしょう。
②TEMPOSTAR
ヤマト運輸のフルフィルと合わせて使える「TEMPOSTAR」は、受注管理を自動化できる複数ECサイト一元管理サービスです。
24時間自動で出荷指示を出すサービスがあり、個別対応が必要なければ、そのまま出荷まで完全な自動処理を行えます。
送り状も自動送信されて紐付けされるため、認定条件を満たす以外にも出荷業務の効率化に最適です。
③shippinno(シッピーノ)
shippinno(シッピーノ)は、効率化のために導入されるツールではなく、完全自動化を実現する自動出荷管理システムです。FBAマルチチャネルサービスによる連携で楽天に出品した商品にも対応してくれます。
受注から在庫の同期までを24時間365日いつでも行い、在庫確認や在庫同期などが人手を必要とせずにできます。また、出荷個数に制限はなく、注文発生の時点から10分で出荷を依頼し、14時までの注文は翌日に届けることも可能です。
よくある質問
最後に、楽天が予定している配送品質向上制度や配送認定ラベルについて細かな疑問に回答します。
Q翌日〜翌々日配送が難しい地域にお住まいの購入者に対してもこの制度は適用されるのでしょうか?
A 制度は適用されますが、表示はされません。
配送認定ラベルの取得の条件としては、全国どこでも翌日〜翌々日配送だけではありません。6日以内に届けることができれば、認定条件はクリアされます。
ただし、配送認定ラベルは翌日〜翌々日に届けられるエリアからの購入者に表示されるため、エリアによってはラベルが表示されないことがあります。
したがって、店舗の場所と届けるエリアの関係によって、制度を活用できる程度が出店者によって若干変わるでしょう。
Q:配送業者が遅延した場合は、店舗基準を満たしていないと判断されるのでしょうか?
A:いいえ、配送業者が遅延して届け日が遅れるケースでは、6日以内基準の対象外となります。
届ける日程のトラブルは、あくまでも配送後の問題で、通常なら間に合っている「発送日」ならOKです。上記のような配送が行われていれば、制度基準に適合し、配送認定ラベルも取得できます。
ただし、配送日が基準に満たず、その上で配送業者の遅延が起きた場合は、出店者か配送業者科にかかわらず、店舗基準を満たしていないと判断されることがあります。
Q:認定ラベルが付与されなかった場合、次のラベルの更新のタイミングはいつでしょうか?
A:認定ラベルが付与されるタイミングは、月単位で行われており、条件となる基準を達成した「翌月の1日」です。
ただし、店舗と商品のどちらの条件も揃っていなかった場合です。もし、店舗のみ条件をクリアしていて、商品のみ達成していなかった場合は違います。商品の条件を達成した瞬間に、ラベルの表示が始まります。
(1)店舗条件○・商品条件✕→商品条件を達成した瞬間
(2)店舗条件✕・商品条件✕、店舗条件✕・商品条件○→翌月の1日
以上、店舗条件が先に達成されているかどうかで、表示タイミンが大きく変わります。
Q:当月に条件をクリアされなかった場合、認定ラベルはすぐに取り外されてしまうのでしょうか?
A:いいえ、条件未達でもすぐに認定ラベルは取り外されません。その月の間は表示が続きます。
もちろん、ずっと表示するわけではなく、休業期間中は配送認定ラベルが表示されないことになっており、次の月は配送認定ラベルが取得できません。
休業については営業日カレンダーで確認します。配送時間の条件は、通常注文締め切り時間の確認です。これらを月ごとに判断するわけです。
まとめ
今回は、楽天が導入する予定となっている新制度・配送品質向上制度の「配送認定ラベル」について解説しました。
配送認定ラベルはユーザーがモールの使いやすさを促す工夫がされており、商品を探しやすくする目的があります。検索順位にも影響する予定となっているため、開始時から配送認定ラベルが付くように事前に準備しましょう。
条件達成が難しい場合は、フルフィルメントの代行サービスを利用するなどして、条件を満たせるように環境を整えるのも1つの手です。
すでに楽天に出品している出店者もこれから出店を予定している方も、2024年6月スタートの配送品質向上制度を十分に検討しておくことがおすすめです。
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