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2024年物流問題の今

2024年4月から「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」がトラックドライバーへ適用され、時間外労働の上限が年間960時間に制限されました。

2024年の物流問題

(参照元 全日本トラック協会 https://jta.or.jp/logistics2024-lp/)

 全日本トラック協会のリサーチによると、2023年下半期の時点で、現状の輸送力では2024年度には輸送力が14%不足すると予測されており、さらに、2030年には34.1%不足する可能性があると試算しています。

(参照元 令和3年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001494501.pdf)

 少し古い資料ですが、令和3年度の宅配便取扱個数は、49億5323万個で、前年度と比較して1億1676万個・約2.4%の増加となっています。主な要因としては、インターネット通販市場の拡大が真っ先に挙げられる状況です。

物流業界とEC事業者の見解の不一致

 物流問題に対する対策の一案として、物流業界側からは、消費者の誤解を招き運賃の適正化の足かせとなり、業界の社会的地位の低下を招く一因となっている「送料無料表示」を使用しないようEC事業者側へ改善を求めてきましたが、2023年8月10日に行われた「消費者庁 送料無料表示の見直しに関する意見交換会」で、楽天などで組織する新経済連盟は、「送料無料表示を変えても問題を解決できるイメージが持てない」とし、同じくアマゾンジャパンやYahoo!ショッピングが加盟する一般社団法人セーファーインターネット協会も「表示変更による効果が見込めない場合は見直しを求めるべきでない」と主張しました。  とはいえ、持続可能な配送サービスこそECビジネスの発展には不可欠であり、EC事業者側も行政と連携した周知・啓発・キャンペーンのほか、配達日時指定や置き配等の促進など、再配達削減に繋がる取り組みが必要であることは共通の認識であり、様々な取り組みが開始されつつあります。

輸送力不足の解消につながる各社の取組事例

▼ Yahoo!ショッピング おトク指定便

 消費者が急がない荷物について余裕のあるお届け日を指定すると、指定日によって「PayPayポイント」がもらえるサービス「おトク指定便」の提供開始。「ヤフーショッピング」の出店店舗のうち、ヤマト運輸など置き配に対応する配送会社を指定している事業者の店舗で、1回で1000円以上の商品を注文する利用者が配送方法指定画面で玄関ドア前や宅配ボックスなど「置き配」を選択した場合に10円相当のポイント「PayPayポイント」を付与するというキャンペーンが実施されました。

※2024/1/22-2/10、2021/2/19-3/15、2024/3/6-3/31期間で実施済

▼ LOHACO(アスクル)

 2022年8月より、5のつく日の注文で急がない荷物は余裕がある届け日を指定する「おトク指定便」の提供を開始。商品購入価格3,780円以上を対象とし、PayPayポイントを付与。(2024年4月現在終了日未定)また、2024年2月には置き配指定でPayPay 10ポイントを提供する期間限定キャンペーンが開催されています。

▼ ファンケル(期間限定自社ポイント付与)

 2024年1月下旬から2月末までの期間限定で、置き配(通信販売の注文時に不在・在宅にかかわらず指定場所に届けるサービスを)選択することにより、自社ポイント(1回当たり10ポイントのファンケルポイント)を付与。※2024年1月下旬から2月末実施済

▼ 物流インフラ提供会社LOCCO(Tポイント付与)

 提携通販サイトで「置き配」を指定し、同社の置き配サービス「LOCCO」を通じて手続きを行うと配送荷物1個で10ポイントを付与。ポイント原資は同社が負担する仕組みで、再配達削減効果により安価な配送料を提供できるとしています。

国による対策 ~国土交通省の物流革新に向けた政策パッケージ~

 2024年物流問題に関しては、「荷主、事業者、一般消費者が一体となって日本の物流を支える環境整備について、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一体となって総合的な検討を行うため、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」が2023年3月31日に設置・開催されました。また、2024年3月には「再配達率削減緊急対策事業の補助金に係る執行団体の公募」が行われ、事業概要として下記が挙げられました。

 

 こちらの執行団体として、2024年4月5日に国際物流総合研究所が決定されました。

今後、インターネット通販の置き配やコンビニ受け取りなど再配達を必要としない受け取り方法を選んだ消費者に、ポイントが還元される仕組みを社会実装する等の実証実験が開始されることになります。補正予算の44億五千万円が充てられ、置き配やコンビニ・営業所など自宅以外での受け取りを消費者が選択した場合や、配送日数に余裕のある日時を指定すればポイントが付与されるシステム構築やアプリ機能が検証される予定です。

 また、2024年4月は国土交通省より「再配達削減PR月間」として特設ページが設けられ、以下のようなPR内容が呼びかけられています。

  • 時間帯指定の活用(ゆとりある日時指定)
  • 各事業者の提供しているアプリ等の活用
  • コンビニ受取や置き配など、多様な受取方法の活用
  • 発送時に送付先の在宅時間を確認 など

(参照元 まるっと減らそう、再配達!!~4月は「再配達削減PR月間」!受け取りは1回で!~

https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000763.html)

宅配ボックスやコンビニ受取に続く他サービスの展開

 そのほかにも、宅配ボックスが未設置の集合住宅や、立地的にボックス設置や置き配の依頼が難しい戸建てにお住まいの消費者宛の再配達削減に向けても、様々なサービスが提供されはじめ、今後の拡大も期待されています。

▼ JR東日本

 2023年10月に、JR東日本より3年間で首都圏の駅などおよそ1000か所に宅配商品が受け取れるロッカーを整備する計画が発表されました。「JRとしては、最寄り駅などで荷物を受け取れる環境を整えることで駅の利用者の利便性の向上を図るとともに、宅配業者の負担軽減にもつなげ再配達の削減に貢献したい」と報じられています。

▼ PUDO(プドー)

 2016年という早い時期から多機能ロッカーのサービスを始めたPUDO(プドー)は、コロナ禍のいわゆる「巣ごもり需要」で通販の利用が急拡大したことなどもあり全国で設置が

の動きが広がっています。2016年には120台ほどの設置でしたが、現在では全国でおよそ6800台に拡大し、このうち首都圏の駅には400台ほどが設置されています。

▼ BOPISTA(西武鉄道)

 西武ホールディングスはベンチャー企業と共同で、西武鉄道沿線の商業施設の商品を受け取れる「BOPISTA」という多機能ロッカーのサービスを提供しており、冷蔵のロッカーも備えていることから、食品も受け取りやすいという特色を持っています。

▼ 駅中受取コインロッカー(京王線・井の頭線)

 フェデックス、DHLのWebシステム(On Demand Delivery)で配送先を設置駅のコインロッカーに指定すると、駅のコインロッカーで国際宅配便を受け取ることができるというサービスです。

 今後も各ショッピングモールや運送業者により再配達の削減や、自宅以外の配送先指定など、利便性とコスト削減に向けた機能やサービスが展開されていくことが予想されます。

サービス導入のご相談や効率化等、ライフエスコートでも様々な問題の一助となれれば幸いです。お気軽にご相談くださいませ。

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