目次
そもそもHTMLとは
ウェブサイトを構築する際にHTMLという言語を用いてページを作成することはご存じの方も多いと思います。HTMLは「HyperText Markup Language(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)」の略で、1989年に欧州原子核研究機構(CERN)の計算機科学者だったティム・バーナーズ=リーによって考案されました。
HTMLの歴史
1993年に HTML1.0 / HTML+ へと初めてバージョンアップされたHTMLは、1995年のHTML2.0以降、Web技術の標準化を行う非営利団体「W3C(World Wide Web Consortium)」によって管理が行われていきます。
年 | バージョン | 備考 |
---|---|---|
1989年 | HTML | ティム・バーナーズ=リーにより考案 |
1993年 | HTML 1.0 / HTML+ | 初めてのアップデート、同年上位互換バージョンリリース |
1995年 | HTML 2.0 | W3Cによる管理開始 |
1997年 | HTML 3.0 / HTML 3.2 | 3.0の規格が破棄され3.2がW3C勧告としてリリース |
1999年 | HTML 4.0 / HTML 4.01 | 1997年12月18日 4.0、1999年12月24日に 4.01がW3C勧告 |
2000年 | XHTML 1.0 | 2000年1月26日 XHTML 1.0がW3C勧告 |
2014年 | HTML 5.0 | 2014年10月28日 HTML5がW3C勧告 |
2016年 | HTML 5.1 | 2016年11月1日 HTML 5.1がW3C勧告 |
2017年 | HTML 5.2 | 2017年12月14日 HTML 5.2がW3C勧告 |
W3Cによって勧告されたHTML5ですが、仕様の多くはWebブラウザ開発元などで構成される業界団体の「WHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)」が取りまとめたものでした。
WHATWG(ワットダブリュージー)とは
WHATWGは、インターネットのワールドワイドウェブ技術に関するAPIの開発を進める非営利団体で、W3Cの運営方針に不満を持つAppleやMozilla Foundation、Opera Softwareなど有力なWebブラウザ開発元の開発者らによって2004年に設立されました。
W3C と WHATWG の 共同作業期
W3C のティム・バーナーズ=リーは、2006年10月に XMLへの移行には無理があったと表明し、2007年3月に発足した W3C HTML WG は、WHATWG と共同作業を開始します。同年5月には、Web Applications 1.0 を HTML5 と改名し、2008年1月に最初の草案を公開します。そして2009年7月に W3C は XHTML の開発を正式に中止することになります。
W3C と WHATWG の 分裂
WHATWG が先進的な技術を先行して取り入れ、W3C が追認の形でが正式に勧告していくかの様に見えた両者ですが、ここから迷走が始まります。
2009年10月にWHATWG が再び Web Applications 1.0 という名称を使い始め、2010年1月にはHTML5を発表します。
2011年1月にはバージョン名称の無い「HTML」に改名、2011年10月にはWeb Applications 1.0 と、バージョン名称の無い HTML を統合して、HTML Living Standard を開始しました。
一方で W3C もまた、WHATWG の仕様と似てはいるけれど細部の異なる独自仕様策定に進み始め、2012年には共同作業を中止します。
2014年10月に HTML5 、2016年11月には HTML 5.1 を独自に勧告しました。
W3C の 撤退
Microsoft は W3C をベースとしていましたが、Google の Chrome、Mozilla の Firefox、Apple の Safari、Opera などの主要ブラウザは、HTML Living Standard を標準仕様として採用し始めました。
しかし唯一の W3C 派だった Microsoft も、2018年12月6日、 Microsoft Edge を Chrome と同じ Chromium ベースに移行することを発表します。
こうした流れを受け、両団体でHTMLの標準化プロセスについて議論が行われ、2019年5月28日、W3C は独自の HTML の標準化を断念し、今後の HTML 標準化は WHATWG にゆだねることを発表しました。
有効なHTMLの標準規格 HTML Living Standard
2021年1月29日、HTML5が廃止され、WHATWGにあるHTML Review DraftがW3Cによって勧告されたことによって、有効な HTMLの標準規格は、HTML Living Standardのみとなりました。
HTML5 と HTML Living Standardの違い
HTML5 も HTML Living Standard も、実は、HTMLを書く上ではそこまで大きな違いはありません。
ただし、細かい点では新たに追加や変更された所もあるので、HTML Living Standardの仕様確認が必要です。
バージョンを示すDOCTYPE宣言
DOCTYPE宣言とは、このページは「HTML〇バージョンの仕様に基づいて記述しています」という宣言のことです。
HTML5以降のHTMLには、DOCTYPE宣言は不要ですが、ブラウザの表示モードの切り替えではDOCTYPE宣言を使用しているので、必要最低限のDOCTYPE宣言はつけなければなりません。つけていない場合、「標準モード」ではなく「互換モード」というモードで表示されることになり、レイアウトが崩れてしまう可能性があります。
追加されたもの・廃止されたもの
HTML Living Standardでは追加された要素や属性、再定義された属性、廃止された要素や属性があります。その中から一部を紹介します。
【追加された要素】
要素名 | 用途 |
---|---|
<hgroup> | 見出しのグループ化 |
<slot> | スロット |
【廃止された要素】
要素名 | 用途 |
---|---|
<rb> | 操作メニューの項目を表します。 |
<rtc> | 操作メニューの項目を表します。 |
まとめ
ここまでHTMLの歴史と HTML Living Standard ついてお話してきましたが、いかがだったでしょうか。
HTML Living Standardの基礎を知らなければ、誤ったタグ(要素や属性)を使ったり、ルールに反したHTML構造になる可能性が高まります。
不適切なマークアップをしてしまい、クローラーが理解しづらかったり、レイアウトが崩れてユーザビリティの低下に繋がれば、コンテンツの品質が下がりGoogleなどの検索エンジンに評価されづらくなってしまいます。
弊社はHTML Living Standardの基礎を把握して、適切にサイト構築をしております。
ご興味を持たれました際はお気軽にご相談ください。
現場で役立つプレゼント付き!最新ECノウハウで実践力が身につく! ECハウツー7日間 無料メルマガ講座に登録する