ECショップを運営される企業様におかれましては、日々の業務の中で、レビュー対応に追われているご担当者様、意外と多いのではないでしょうか。
「レビュー返信文がどうしてもテンプレート的になってしまう…」
「忙しくて、ひとつひとつのレビュー内容に合わせた返信を考える余裕がない…」

もし商品やショップの状況に応じた“オリジナルな返信”ができたなら──。
お客様に「な~んだ、テンプレ返信か」と思われることなく、
むしろ「きちんと自分の声を受け止めてくれた」と感じてもらえるはずです。
そんな時、改めてご注目頂きたいのは「レビュー返信にAIを活用することの可能性」です。
AIというと数値データの解析や画像生成といった分野に限られると思っていませんか?
実は、レビュー返信のように「一定のルールはありつつ、個別性が求められる業務」にとても適しており、AI活用シーンのひとつとも言えるのです。
目次
AIで作るレビュー返信文、第一歩は?
レビューの返信文作成にAIを活用すれば、効率的で一貫性のあるレビュー対応が可能になりますが、「プロンプト(指示)」の与え方を誤ると、お客様の気持ちに寄り添えていない不自然な文章になる恐れもあります。ここでは、返信文を作成する際に基本となるプロンプトと、追加するとより効果的になるプロンプトをご紹介していきます。
下記は、実際に販売されている掃除用家電製品に寄せられたレビューで作成したプロンプトになります。
このレビューに以下条件で、返信文を作成して下さい。 レビュー本文:軽くて使いやすい!3歳の娘も喜んで一緒に掃除してくれています♪ 買って本当に良かった! レビューのカテゴリ:商品 レビュー評価(5点満点中):5点 レビュー対象の商品 URL:https: 前文:この度は〇〇店をご利用いただき誠にありがとうございます。 お忙しい中、商品レビューをご投稿いただきありがとうございました。 結びの文:今後もお客様皆様にご満足いただける店舗運営を目指してまいります。 またのご利用をスタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。 〇〇店
※上記は実際に作成したプロンプト
上記にあげた①~⑥は、基本的なレビュー返信文作成の元となるAIへの指示となり、レビューに対して的確な返信をするために、該当商品や評価点等の情報を与えています。また、返信内容に表現の幅は持たせたい一方で、前文と結びの文はテンプレートで統一しています。一見して「そのショップと分かる」自己紹介や、再来店を促す結びの言葉を揃えることで、ショップの存在感を出すことができるからです。
上記プロンプトでAIに返信を作成させてみると、下記のようになりました。
この度は〇〇店をご利用いただき誠にありがとうございます。 お忙しい中、商品レビューをご投稿いただきありがとうございました。 軽量さや使いやすさをご実感頂き、お子様にも楽しくご利用いただけているとのこと、大変嬉しく存じます。 日常のお掃除をお子様とご一緒に取り組んで頂いているご様子が目に浮かび、私どもも安堵いたしました。 ご使用の際には、フィルター部分を定期的にお手入れ頂くことで吸引力を長く保つことができますので、ぜひお試し頂ければ幸いでございます。 今後もお客様にご満足いただける店舗運営を目指してまいります。 またのご利用をスタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。 〇〇店
文言は悪くはないですが、下記文章の部分が不自然に感じます。
日常のお掃除をお子様とご一緒に取り組んで頂いているご様子が目に浮かび、私どもも安堵いたしました。
そこでプロンプトを以下に追加修正してみました。
⑦ショップのトーンやブランドイメージの指針
(フォーマル、丁寧、カジュアルなどのイメージを指示)
⑧想定する返信の長さ(いくつの文章でまとめるか?)
⑨対応方針(クレームか高評価で返信内容を調整)
⑩語尾表現や言葉づかいの推奨文言
(「です→でございます」など推奨文言への言い換え)
⑪使用禁止の文字や記号(絵文字、機種依存文字など)
このレビューに以下条件で、返信文を作成してください。 結びの文の前にご使用時のアドバイスを追加してみてください。 レビュー本文:軽くて使いやすい!5歳の娘も喜んで一緒に掃除してくれています♪ 買って本当に良かった! レビューのカテゴリ:商品 レビュー評価(5点満点中):5点 レビュー対象の商品 URL:https:// 作成の指示と条件 前文:この度は〇〇店をご利用いただき誠にありがとうございます。 お忙しい中、商品レビューをご投稿いただきありがとうございました。 結びの文:今後もお客様皆様にご満足いただける店舗運営を目指してまいります。 またのご利用をスタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。 〇〇店 ショップのトーンやブランドイメージの指針:丁寧、フォーマルな対応を マル秘な提示 結び文の長さ:前文、結び文を含むと、5〜6文でまとめる。 使用例のアドバイス要素は「日常+製品+改善点」、高評価維持できるよう配慮する。 例:軽量のクリームを長持ちさせる簡単な手入れの説明、 長期間使うための掃除頻度文言、 お子様も一緒に使えるの例文案を。 例文: ・日常のお掃除もお子様と一緒に楽しく して頂けましたら幸いです ・ご使用の際には フィルター部分を定期的に お手入れいただくと吸引力が長持ちします ・お子様と一緒にご使用頂けて嬉しいです → 使って欲しくない文字や記号:!
⑦と⑨は、ショップやブランドが目指すイメージや、レビュー内容に応じて返信文のニュアンスを調整してくれます。返信文は短すぎるとそっけない印象になり、長すぎると読まれません。⑧で文章量を調整します。また、⑩、⑪で言葉遣いや文字、記号などの表現に統一感を出し、レビュー毎に異なる返答ししつつも、ショップの統一感が確保されます。
基本形のプロンプトだけでは違和感のあった表現が、進化型では、特別な表現の指示はしなくても以下のような違和感のない返信文になりました。
この度は〇〇店をご利用いただき誠にありがとうございます。 お忙しい中、商品レビューをご投稿いただきありがとうございました。 軽さや使いやすさをご実感頂けたとのこと、さらにお嬢様にもお喜びいただけたと伺い、大変嬉しく存じます。 ご家族で楽しくお掃除にご活用頂けているご様子に、私どもも安堵いたしました。 ご使用の際には、定期的にフィルターやダストボックスのお手入れをして頂くことで、より長く快適にご利用頂けますのでお試し頂ければ幸いでございます。 今後もお客様にご満足いただける店舗運営を目指してまいります。 またのご利用をスタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。 〇〇店
お客様が問題なく商品を使うことができた点、掃除の時間を家族との楽しいひと時を過ごせている点について、ショップも嬉しく思っていることを伝えると共に、お手入れ方法のアドバイスも添え、お客様に寄り添う返信内容になっています。
この返信であれば、お客様との会話のキャッチボールも成立し、テンプレ返信にありがちな、一方的なイメージも感じられません。
このように「最低限必要な情報」を明確に記載することがAIでレビュー返信文を作成する上での第一歩となります。
その上で、ショップ独自のトーンや方針を加え、テンプレート部分と可変部分を分けたプロンプトにすることで、安定感と個別性の両立が図ることができるのです。
AIで競作!複数の返信文から出来のいいものを選ぶ
一方で、お客様がECショップを利用し、大きなトラブルがない限り、感想に大きな違いが出にくいのがショップの雰囲気や対応に対して寄せられるショップレビューです。「無事に商品が届いた」「届くのが早かった」「スタッフの対応が良かった」等、当然、返信文も似通ってきます。
また、クレームレビューが発生した時、お客様にかける言葉を選ぶあまり、たった1通の返信文を作成するのに長時間を要してしまったご経験はないでしょうか?
こんな時もAIの出番です。ここは複数のAIに返信文の作成を競わせてみましょう。
前章のプロンプトで、③レビューのカテゴリーを「ショップ」に、前文と結びの文を店舗レビュー用のテンプレに変更し、ここで「ChatGPT」「Gemini」「楽天AI(※)」を使って、同じレビューに複数の返信を作成してみました。
※楽天モールに出店している場合、レビューにAIで返信作成する機能がありプロンプトの有無で返信作成を選べます。
<ショップレビューの返信を複数作成>
【レビュー本文】 発送も早く 問題なく買い物することが出来ました
異なる3つのAIで、返信文を作成してみると、テンプレートである前文、結びの文以外の、下記太字の部分が、それぞれのAIによって生成された文章となります。
【ChatGPT の場合】 前文:テンプレート 発送対応につきましてご満足頂けたとのお声を拝し、 大変安堵いたしました。 今後も迅速かつ丁寧な対応を心掛け、より良いサービスの提供に努めて参ります。 結びの文:テンプレート
【Gemini の場合】 前文:テンプレート 迅速な発送についてお褒めの言葉を頂戴し、大変光栄に存じます。お客様に問題なくお買い物を楽しんでいただけたご様子もうかがえ、安堵いたしました。 結びの文:テンプレート
【楽天 AI プロンプトありの場合】 前文:テンプレート ご注文の商品が無事にお手元に届き、問題なくお買い物いただけたとのこと、私どもも安堵いたしました。 迅速な発送を心掛けておりますので、その点をご評価いただき、大変嬉しく存じます。 結びの文:テンプレート
どれを選んでもレビュー本文に対しての返信としては問題なさそうです。
<※ここで注意!!>
しかし、これらをこのまま返信に使うのではなく、担当者によるもうひと手間が必要になります。
このレビューでは、上記【Geminiの場合】を元に、文章の1人称となる「スタッフ一同」を付け加えて「誰が話しているのか」を明らかにし、トラブルが回避された時のニュアンスを含む「安堵いたしました」を、お客様への共感にもなる「大変嬉しく存じます」に変更することで、お客様と一緒に喜ぶ表現に修正し、右記返信文を完成型としました。
高評価レビューなら、お客様に共感し一緒に喜ぶ内容にするのが最善の返信となるからです。
【実際の返信文】 この度は〇〇店をご利用いただき誠にありがとうございます。 お忙しい中、店舗評価をご投稿いただきありがとうございました。 迅速な発送についてお褒めのお言葉を頂戴し、誠に光栄に存じます。 お客様に問題なくお買い物を楽しんでいただけたご様子をうかがい、スタッフ一同、大変嬉しく存じます。 ぜひ商品に関するご意見ご感想も頂けましたら幸いでございます。 またのご来店を心よりお待ち申し上げております。 〇〇店
AIに任せきりにすると、こうした返信のトーンが、ショップの伝えたい雰囲気とは変わってくることがよくあります。
<クレームレビューの返信を複数作成>
クレームレビューにおいても、前章のプロンプトがあれば、あとはレビューの個別情報を入れ替えるだけで、その内容に沿った返信文を作成することができます。
当然のことながら、レビューは他のユーザーの目にも触れます。
高評価レビューならお客様に共感する内容の返信で、お客様とショップの「相思相愛」感を打ち出し、レビュー全体の雰囲気を明るく盛り上げていけますが、クレームレビューの場合は、全方面から見て誤解を生まない、なおかつ不快感を感じさせない返信内容にする必要があります。
【レビュー本文】 配送がかなり遅れていた。 仕事で使いたかったが、使いたかった日に使えなかった。
こちらも4通りの返信文を作成してみたところ、いずれもお客様のお困りに寄り添いつつ、当たり障りのない返信文となりました。そして意外にも【楽天AI お任せ(プロンプトなしの場合)】が、とても細やかな返信文を作り出しました。
【ChatGPTの場合】 前文:テンプレート このたびは配送が遅延し、ご予定のご使用日に間に合わなかったとのことで、多大なるご迷惑をお掛けいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。 今後は社内体制を改めて業務フローを一層強化し、同様のご迷惑をお掛けすることのないよう努めて参ります。 結びの文:テンプレート
【Geminiの場合】 前文:テンプレート お届けまでにお時間を頂戴し、ご予定されていた日にご使用いただけなかったとのこと、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。 今後は、より迅速な配送に努めてまいります。 結びの文:テンプレート
【楽天AI プロンプトありの場合】 前文:テンプレート 配送の遅延により、お客様にご迷惑とご不便をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございません。大切な用途でのご利用を叶えられず、深くお詫び申し上げます。 今後は発送手配および配送状況の確認を一層徹底し、同様の問題が発生しないよう改善に努めてまいります。 結びの文:テンプレート
【楽天AI お任せ(プロンプトなしの場合)】 この度は配送が遅延してしまい、大切なご利用予定に間に合わなかったとのことで、お客様にはご不便とご迷惑をおかけいたこと、深くお詫び申し上げます。 お客様のお仕事でのご利用合わせて商品をお届けできるよう努めるべきところ、今回それが叶わなかったことを大変重く受け止めております。 今後は発送準備および配送管理の体制をさらに強化し、同様の遅延が発生しないよう徹底してまいります。 何か他にお気づきの点やご不明点がございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。 またのご利用に際しては、より安心・快適なサービスをご提供できるよう努めてまいります。
「意外にも」としたのは、
高評価レビューでの返信作成に【楽天AI お任せ(プロンプトなしの場合)】を使用してみると、文言の統一感のなさや、推奨していない文字が使用されてしまうなど、ショップのイメージを保てない文章となってしまったため、当初、プロンプトなしでの返信作成は想定外としていました。
しかし、クレームレビューでここまで緻密な返信文が作成できるなら、部分的に文言を利用するのもアリかもしれません。
しかし実際のところ、クレームレビューにはお客様の勘違いやまれに事実とは異なる内容も含まれており、返信をする前に、お客様がなぜそのようなクレームを書くに至ったかについて、事実関係や経緯を確認する必要があります。単に謝罪を返信すれば良いのではなく、経緯の説明やショップができる改善策について確認し、それに沿った返信文を作成しなければならないのです。上記レビューでも販売担当者に経緯を確認した上で、結局はレビューとは別に直接の謝罪対応が必要と判断し、謝罪文を手作業で作成、返信となりました。生成された文章をそのまま使うのではなく、AIで下書きを作り、人間が微調整かつ返信文のヒントを得るということが最もバランスが良いAI活用法と言えます。
では具体的に、AIを使用して返信文を作成する時、どんなことに気を付けたらよいのでしょうか?
AIでレビュー返信文を作成する際の注意点
AIでレビュー返信文を作成する場合、効率化や返信内容のクオリティだけでなく、リスク管理も大切です。特に「情報漏洩しない」「お客様に不快感を与えない」という観点は重要なポイントとなります。以下に注意点を整理しました。
<1>プロンプトに、個人名・住所・電話番号・メールアドレス・注文番号は入力しない
・個人情報・機密情報保護の観点から、お客様・ショップ担当者の特定につながるような情報は
プロンプトに書き込まない。
・必要以上に「お客様が購入した日時や履歴」などを具体的に書かない。
・個人情報保護の観点に基づいた規定のルールに沿ってAIを使用する。
・プロンプトではお客様の名前を「お客様」「ご購入者様」、ショップや担当者の名前も同様に「○○店」「担当者」などに置き換える。
もし宛名や固有情報入りの完成文が必要な場合は、プロンプトで差し込みが必要な部分に「◯◯」で表現し、AIが作った文章に、最後にご担当者ご自身で「◯◯」の部分へ宛名や固有情報を差し込むようにすると安全で確実です。
<2>つじつまの合う内容になっているか確認する
・返信内容が的外れになっていないか。
・機械的で冷たい印象になっていないか。
クレームレビューなら「ご指摘ありがとうございます」だけで終わらず「謝罪+改善策」が提案できているか、それは実際に対応可能な改善策であるか等、必ず確認しましょう。
<3>プロンプトに書いた通りの表現、ニュアンス、文章量になっているか?
・一文の長さが極端な短文もしくは長文になっていないか
・プロンプトの指定通り、適切な文章量に収まっているか
・誤字脱字や不自然な言い回しがないか
・不快感を与える表現がないか
また、指示した通りの内容になっているか、全体の統一感が取れているか、を必ず人間の目で確認しましょう。
結果~AIの活用でもたらされたもの

弊社では、自社のECショップ、クライアント様のECショップの両方でレビュー返信を行うにあたり、実際にAIを使用して返信文作成を行ったところ、高評価レビューの返信では、より人間らしい表現の幅を持つことができ、無味乾燥なテンプレ返信に頼らない、顧客に寄り添った返信対応が可能となりました。
また、クレームレビューの返信においても、ほんの数秒で返信文が作成できることから、担当者の心理的及び作業上での負担を大幅に軽減でき、謝罪文作成に悩む時間を、事実確認や問題解決に充てられるようになりました。そしてこの手順はレビュー以外でのお問い合わせ対応にも幅広く転用でき、顧客満足の獲得に向けた、より迅速な対応が可能となったのです。
最後に
ここまで、AIを活用したレビュー返信文作成についてご案内してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
これまでの成果を受け、今後は複数のレビューを一括してプロンプトに組み込み、まとめて複数の返信文を作成できれば、さらなる効率化を図ることができると想定しています。
また、人間の判断力を通じAIの弱点を理解した上で、沢山のトライ&エラーを繰り返すことでAIの経験値を上げていけば、より文章生成の完成度が深まり、新規、リピーターを問わず顧客満足度をUPさせる、より緻密な返信文の作成が可能となります。
お客様の心をつかむレビュー返信対応についてご興味を持たれました際は、ぜひお気軽にライフエスコートにご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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①レビュー本文
②レビュー対象の商品ページURL
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④レビュー評価
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⑥結びの文(テンプレート)